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第4話

Autor: ゆい
澪は表面上は平静を保っていたが、内心では不安を拭えなかった。

彼らは、本物の家族である私を選んでくれるだろうか?

だが次の瞬間、澪は4人の瞳に浮かんだ、はっきりとした申し訳なさを見てしまった。

「澪……柚奈は体が弱くて臆病だから、私たちは先に柚奈を助け出す!もう少しだけ待っていてくれ。柚奈を安全な場所へ逃がしたら、すぐにお前を助けに戻ってくるから!」

父が苦渋の決断を下すように叫び、他の者たちも黙ってそれに同意した。

彼らは澪の悲痛な視線から逃げるように顔を伏せ、柚奈の体に巻き付いたロープと配線を必死に解き始めた。

澪の心は一瞬にして谷底へと突き落とされ、絶望の涙が後から後から溢れ出し、どうやっても止めることができなかった。

こうなる結末は初めから分かりきっていたはずなのに、どうして一縷の望みなど抱いてしまったのだろう。

柚奈の拘束が解かれるや否や、結城家の3人と湊は彼女を抱きかかえ、一目散に外へ飛び出していった。澪の瞳には、彼らの冷酷な背中だけが焼き付いた。

工場の外では、柚奈が泣きじゃくりながら湊の胸に顔を埋め、両手で父母の手をしっかりと握りしめて離さなかった。

「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、湊……っ、すごく怖かった。私、本当に死んでないの?本当に助かったの?」

4人は口々に彼女を宥めすかし、愛おしそうに涙を拭ってやった。工場に取り残された澪の体に、今まさに爆発しようとしている時限爆弾が巻き付けられていることなど、もはや誰の頭からも綺麗に抜け落ちているようだった。

ピッ、ピッ、ピッ。

死神の足音のような電子音のカウントダウンは無情にも続いている。彼女は歯を食いしばり、恐怖をねじ伏せて、自力で拘束から抜け出す方法を探るしかなかった。

どれほど死に物狂いでもがいただろうか。全身の皮膚が擦り切れ、血まみれになりながらも、ありとあらゆる手段を尽くし、ようやくロープの結び目を解くことに成功した。

爆発まで、残り十秒。澪は二度と振り返ることなく、これまでにないほどの速さで工場の出口へ駆け出した。

――ズドォォォン!!

鼓膜を破るような轟音と共に凄まじい爆発が起こり、その凶悪な熱風と爆風の余波が背後から彼女を襲い、澪は地面に叩きつけられて完全に気を失った。

再び意識を取り戻した時、澪は全身の骨が砕けたかのような激痛に襲われた。

だが、さらに彼女を絶望の淵へと突き落としたのは、自分が真っ暗な部屋に閉じ込められていると気付いたことだった。

――結城家の地下にある謹慎室に放り込まれていたのだ。

拉致され、爆発に巻き込まれたばかりだというのに、病院に運ぶどころか、なぜ自分をこんな場所に監禁するのか?

底知れぬ恐怖が全身を駆け巡り、目の前の暗闇が、刑務所の懲罰房の記憶と幾重にも重なった。

刑務所での3年間、想像を絶するリンチのほかに、果てしない罵声と暴力の嵐が吹き荒れていた。不衛生なドブネズミや害虫が彼女の体を這い回り、傷口の肉を食いちぎった。

冷たい水を何度も浴びせられ、意識をはっきり保たされたまま苦しめられた。ほかにも、さまざまな手段で絶え間なく痛めつけられていた。

「許して……叩かないで……っ」

澪は泣き叫び、頭を抱えて部屋の隅にうずくまった。もはやトラウマと現実の境界線すら曖昧になっていた。

刑務所での経験から、彼女は重度の閉所恐怖症を患っており、こんな密室に閉じ込められれば、とても耐えられない。

彼女は何度も何度も重いドアを叩き、息を切らし、声を枯らして叫んだ。

「出して!開けてよ!どうして私を閉じ込めるの!」

その時、分厚いドアの向こうから湊の冷酷な声が響いた。

「澪、わめき散らしても無駄だ。今回は3日間、そこから一歩も出すつもりはない。

少しは改心したのかと思っていたが、捕まった犯人がすべて自白したぞ。あの拉致と爆発事件は、お前が仕組んだ自作自演だったとな!

柚奈があの時の恐怖で高熱を出してうなされているのが分かっているのか!?これ以上反省しないなら、ただの謹慎じゃ済まさないぞ!」

その言葉を聞いて、澪は全身の血の気が引くほどの衝撃を受けた。あれはすべて柚奈が仕組んだ陰謀なのに、どうして自分が首謀者に仕立て上げられているのか。

彼女はドアに爪を立ててすがりつき、嗚咽を漏らした。

「私じゃない……私はそんなことしてない!お願い、私、閉所恐怖症なの……ここから出して……っ」

湊は表情を曇らせた。

「昔は閉所恐怖症なんて微塵もなかったじゃないか。どうして今になって都合よく発症するんだ?見え透いた嘘をつくのもいい加減にしろ」

「刑務所で……」

彼女が必死に弁解しようとした時、不意に柚奈の弱々しい声が聞こえてきた。

「お父さん、お母さん……やっぱりお姉ちゃんを出してあげようよ。きっと、わざとじゃなかったんだから」

百合子は彼女の手を優しく握り、深くため息をついた。

「柚奈は本当に優しすぎる。お人好しにも程があるわ」

翔も苛立ちを隠せない声で吐き捨てた。

「たかが謹慎くらいで甘やかすな。今回あいつのせいで、お前はこんな目に遭ったんだぞ。それでも許してやるなんて。これはあいつが受けるべき当然の報いだ!」

湊も彼女が地下室へ向かおうとするのを押し留め、部屋に戻るよう優しく諭した。

「柚奈、君は大人しくベッドで休んでなさい。今回怖い思いをさせてしまったお詫びに、君の欲しがってた宝石のネックレスを買ってあげるから」

結城家の両親と翔もそれに機嫌よく同調した。

「そういえばシャネルから新作のバッグが出たそうじゃないか……」

足音が次第に遠ざかり、やがて完全に消えた。澪は発狂しそうな絶望の淵で、血まみれになった拳でドアを何度も何度も叩き続けた。

「出して……開けてよ……っ!」

声が枯れるまで叫び続け、極限の恐怖に体は震えた。手近にあった木の板や椅子を振り回してドアを壊そうとしたが、両手が血まみれになっても、分厚いドアはびくともしなかった。

最後にはすべての体力が尽き果て、泥のように気を失った。

――再び意識が浮上すると、病院特有のツンとした消毒液の匂いが鼻を突き、枕元でスマートフォンが執拗に振動していた。

全身の激痛に耐えながら辛うじて身を起こし、画面を見ると、発信者は光だった。

澪は這うようにして電話に出た。

「澪くん、君の航空券はすでに手配済みだ。メッセージは届いているかい?」

その言葉を聞いて、澪は慌ててメッセージアプリを開いた。発券完了の通知画面を見た瞬間、死に絶えていた心に一筋の希望の光が差し込んだ。

「届いてます……7日後の便ですね。必ず時間通りに行きます。本当に、ありがとうございます」

通話を切った直後、突然バンッ!と乱暴に病室のドアが開かれ、血相を変えた湊が踏み込んでくると、澪の手を強く掴んだ。

その声は凍りつくような冷たさを帯びていた。

「便だと?……一体どこへ行くつもりだ?」

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