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第2話

Author: マリモ
次に目が覚めた時、達也が心配そうに私を覗き込んでいた。

「絢香(あやか)。

ごめん。また俺の相貌失認のせいで……お前が絢香だって、本当に気づかなかったんだ。俺のせいで……」

達也は自分を責めるように頬を叩き、何度も謝っているけれど、その謝罪の言葉はもう私の心には響かなかった。

だって、達也は人の顔がわからないんじゃなくて、心の中に私がいないだけなんだから。

まだ治りかけの傷口が、チクチクと痛んだ。

私は、ずっと心に秘めていた言葉を口にした。

「達也、離婚しよう」

達也はきょとんとして、それからいつものように優しく私をなだめた。

「俺たち、5年も一緒に頑張ってきたじゃないか。俺がどれだけ人の顔を覚えられないか、お前も知ってるだろ?ふざけないでくれよ。いつかきっと、治るから」

そうね、5年も耐えてきたんだ。

一年中季節を問わず、いつも同じ白いワンピースを着て。だから、風邪を引くのが当たり前になっていた。

同い年の女の子たちが楽しそうに買い物をしている間、私はクローゼットに並んだ同じ白いワンピースを眺めて、一人で泣くしかなかった。

髪だって、達也が私を見分けられるように、腰まで伸ばしたのに。

今日、やっと気づいた。

佳奈は、そんな努力は何もしていない。特別なルールなんてなくても、達也は大勢の中から一目で彼女を見つけ出せるんだ。

私の負けはもう、決まってるじゃないか。

達也は甘い言葉で私を丸め込もうとしていたけど、その声はもう耳には入らなかった。

彼はまた、一人じゃ抱えきれないほどのブランド物の服やバッグを部下たちに運ばせて、それから電話に出てどこかへ行ってしまった。

一目見てわかった。全部、佳奈が普段着ていたブランドの、昨シーズンのものだった。

諦めたように笑うと、ハサミを手に取り、腰まであった長い髪をザクザクと切り落とした。

達也に愛されたくて伸ばした髪が、今では重荷でしかない。

ちょうどその時、佳奈が勢いよく部屋に飛び込んできた。

「あなたがマヌケだから怪我なんてするのよ!そのせいで私と達也さんまで上司から処分を受けたじゃない!今すぐ謝りなさい!」

鬼のような形相で迫ってくる佳奈に、私は無意識に身構え、考えるよりも先に彼女の頬をひっぱたいてしまった。

そのせいで、赤く腫れていた手のひらの傷口が開き、血がどっと溢れ出した。

物音を聞いて駆けつけてきた達也が、ちょうどその光景を目にした。

私は何が起きたのか理解できないまま、突然頬に激しい平手打ちを食らった。

「何者だ、お前は?病院で暴力を振るうなんて、いい度胸だな!」

一瞬、頭が真っ白になって、何も聞こえなくなったように感じた。

そばにいた医者が目を大きくして口を開いた。「小野さん、お忘れですか?この方は……」

達也は鋭い目つきで医者を睨みつけた。

「こいつが誰だろうと関係ない。佳奈を殴るなんて許さない!一発殴り返しただけマシだと思え!」

昔、家政婦のせいで指を少し切っただけで、達也は「痛いの痛いの飛んでいけ」って息を吹きかけて、子供でもない私に飴なんか渡して、優しく薬を塗ってくれたのに。

それどころか、10年以上も彼に仕えてきた家政婦を、その場でクビにした。

でも、今となって、達也がとっさに守ろうとしたのは、私じゃなかった。

病院の服を着て、髪も短く切ってしまった私を、やっぱり見分けられなくなった。

達也はすぐに佳奈を抱きしめ、私を睨んでから病室を出て行った。

私をかばおうとする医者にお礼を言い、コートを羽織って後を追いかけた。

達也は振り返って私を見た。黒いコートに、短い髪。

彼の瞳には、まったく知らない人間を見るような色が浮かんでいた。

でも今回私は、必死になったり、大声で弁解したりはしなかった。

ただ、一つ嘘をついた。

「新しく配属されたものです。この書類にサインをいただけないでしょうか?」私は離婚届を何枚かの書類の中に挟ませて、サインしてほしいところを指さした。

達也は佳奈を慰めるのに夢中だったのか、書類には目もくれず、適当にサインをした。

浮かれた足取りで去っていくその後ろ姿と、手元に残った二人の署名がある離婚届を見比べた。

私は、連絡先に5年くらい眠っていた番号に電話をかけた。

「昔、私のために会社のポジションを空けておくと言ってくれたよね?そのお話、まだ有効なの?」
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