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第164話

Penulis: 花朔
血の匂いが濃く、紅蓮と光が交錯する。

痛みこそが欲望を爆ぜさせる最良の引き金──

その一瞬で、この男の奥底に眠っていた殺気がすべて呼び覚まされた。

「さ、や──」

何度も、何度も、名前を噛み砕くように呼び、飲み込む。

たとえ胸の奥が震えるほど苦くても、彼の瞳にはますます濃く深く、ひとつの執念が滲む。

紗夜への、執念。

「天地の果てまで追いかけよう......紗夜、俺は必ず、最後まで相手をする。絶対、絶対に......逃がさない」

......

「くしゅん......」

爛上。

フラワーアレンジメントの作業をしていた紗夜が、不意にくしゃみをして口元を押さえる。

「大丈夫?風邪?」

千芳が心配そうにティッシュを差し出す。

「ううん、誰かが私のこと考えてるのかも」

紗夜は笑って受け取り、軽く冗談を返した。

「当たりだよ!」

明るくて軽やかな女の子の声が響き、紗夜はどこか聞き覚えに戸惑う。

次の瞬間、病室のドアが開き、小さな身体にパンク風の黒いレザースカートを着た女の子が勢いよく入ってきた。

「紗夜お姉ちゃん!」

紗夜の瞳がぱっと輝き、すぐに手を止めてしゃがみ込み、両手を広げる。

「瑚々!」

瑚々が駆け寄り、そのまま勢いよく飛び込んだ。

「瑚々、言ったでしょ?そんな勢いで飛びつかないって。お姉ちゃんは身体が大事なんだから」

後から入ってきた海羽が眉を寄せてたしなめる。

瑚々はハッとして少し下がり、幼い声で心配そうに言う。

「紗夜お姉ちゃんごめんなさい......久しぶりすぎて、会いたかったの」

「大丈夫よ」

紗夜は柔らかな髪を撫で、海羽に目線を向けながら唇を尖らせる。

「子どもくらいで大袈裟なんだから」

「それでも気をつけて」

海羽はきっぱりと返す。

「手術を予約してるんだし、その前に無理は禁物」

千芳も頷く。

「その通り。繊細な時期なんだから、ちゃんと気を配らないと」

「はいはい」

紗夜は笑い、瑚々におもちゃを渡して遊ばせる。

海羽は千芳に差し入れを渡し、その中には紗夜用もあった。

「ありがとう、海羽。ほんとに気が利くわ」

千芳はその手を握る。

「こんな立派な病院を手配してくれて、何から何まで......申し訳ないくらいよ。どうお礼したらいいのか......」

「千芳おばさん、私たちの間でお
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