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第209話

Autor: ザクロ姫
そう言いながら、まだ不安そうな顔をしている杏奈を見て、健吾はくすっと笑った。

「鈴木グループは全国に事業を展開していて、財力もすごい。鈴木家にとって、あなたという娘がいることは、本当に幸運なことだよ」

杏奈は、はっとして健吾の顔を見た。

「幸運なのは、私のほうじゃないの?」

「鈴木家は何代も男ばっかりだったんだ。ずっと女の子が欲しかったけど、なかなか生まれなくてね。あなたの代でやっと女の子が生まれたんだから、ご先祖様も喜んでるだろうさ」

健吾の言葉に、杏奈は思わず笑ってしまった。

久保家での一件以来、彼女は家族というものにあまり期待しなくなっていた。

三人の兄と再会して、実家がとても裕福だと知ったとき、杏奈はまた少し怖くなってしまった。

鈴木家も久保家と同じような場所だったらどうしよう、と彼女は怖かった。そして、自分が鈴木家を怖がることで、兄たちを傷つけてしまうかもしれないとも思った。

でも、健吾の一言で、心の中の不安がだいぶ軽くなった。

こうして杏奈の中で、健吾という友人の存在が、また少し大きくなった。

それから、二人は車で翠の庵に着いた。

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