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第五十五話:陰から現れたのは……

Penulis: 古紫汐桜
last update Tanggal publikasi: 2026-03-10 19:38:05

僕たちが駆け付けた場所は、廃ホテルだった。

人が入らなくなった建物には、独特の淀んだ空気が漂っている。

来人と車から降りると、早速ライトが吠え始めた。

「これはこれは……狗飼家の恥晒しがお出ましですか?」

建物の中から、見たことのない男が現れ、来人に言い放った。

短く切り揃えた髪。

神経質そうな眼鏡。

しかも瘴気を祓いに来ているのに、スーツとか……笑。

──と、心の中で毒づいていると、

「おや? そちらは最近、猫柳家の元当主・咲月様の連れ子の……あぁ、春馬さんでしたか?」

嫌味たらしく言われ、僕は来人の後ろに隠れた。

来人は僕の前に手を広げ、

「相変わらず嫌味ったらしい奴だな。神蛇直己」

と吐き捨てた。

来人の言葉に、はっとする。

蛇一族の長──神蛇家。

その嫡男か……。

「まったく……きみのお陰で、とんだとばっちりですよ」

直己は眼鏡をクイッと上げながら呟く。

「祐巳一族の残党と恋仲だったなんて……汚らわしい」

見下すような視線に、

「なっ!」

思わずキレそうになったその時だった。

「わんわんわんわん!」

ライトが激しく吠え始めた。

しかも、瘴気にしか見せない牙を剥き出しにして唸っ
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