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【第12話】約束

last update Date de publication: 2025-12-25 10:12:03
 初めて『言葉』を発してから数日後。

 カラミタが深い眠りから目を覚ますと、目の前には長男であるセリンが居た。しかも彼の大きな腕の中に抱えられているという状態で。反射的に「れぉにょ——」と舌足らずな状態のままレオノーラの名を呼ぼうとしたが、

「シー。お静かに。母さんはまだ寝ていますから、そのままにしてあげませんか?」と口元に指を立てながら言われた。だがカラミタは顔を顰め、それでも尚彼女を呼ぼうとする。そんな彼をセリンがレオノーラの近くにまで敢えて運んだ。そして「……貴重な寝顔が見られてよかったですね」と小声で言う。するとカラミタがぐっと強めに口を閉じた。いつも自分よりも先に起きているレオノーラの寝顔を見られて歓喜している様だ。

 少しの間。二人は揃って、眠るレオノーラの寝顔を観察した。早朝だからか彼女が起きる気配は無い。外もまだ薄暗く、やっと朝日がかろうじて姿を現したかどうかといった頃合いだ。他の部屋で休む兄弟達が起きている様子もなく、どうやらセリンとカラミタだけがかなり早く起きてしまったみたいだ。

「…………♡」

 セリンがちらりと視線をカラミタの方へやると、彼はいつも通りにレオノー
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  • 独立した末っ子が執愛属性持ち『魔王』になって帰って来た   【最終章・第9話】応接室にて①

     若干パフォーマンス感のあったひとときを終え、レオノーラとカラミタの二人は無事王城内の王太子殿下の執務室に隣接している応接室に到着した。 王族御用達の薬師であるブラル達とはあの場で別れた。過去にレオノーラの薬の恩恵を受けた身ではないものの、箔付けの一環で彼らの輪の中にいたライゼが王太子殿下の応接室までの同行を買って出てくれた。 そんな彼を筆頭に、ほぼ身内ばかりの集まりだという事もあって、挨拶もそこそこに一同がソファーに座る。もちろんレオノーラの隣には隙間無くカラミタが占領している。『レラはボクの膝にすわっ——』と言いかけたカラミタの言葉は、顔も真っ赤にしたレオノーラにより即座に断られたせいか、少し不満そうだ。 テーブルを挟んだ対面の席には、彼らを招待したアリスター・クラウ・シルト王太子殿下と冒険者ギルドのギルドマスターであるライゼが腰掛けている。もちろん聖獣達はレオノーラの肩の上だ。「セリン達ももうすぐ来るよ。末弟が、育ての親を連れて街まで戻って来るってんで、今日の午後の分と明日の仕事は全てキャンセルしやがったからねぇ」と説明したのはライゼだった。 「各所にある転移魔法陣の使用申請まで出して、文字通り『飛んで帰ってくる』って話だったよ。まぁ……彼等は長年働き過ぎだったからね、このくらいは大目に見ないと、全員が無断で実家に帰ってしまいそうな勢いだったらしいから、即許可が降りたらしい。——にしても、いやぁ、まさか此処まで若い風貌の女性だとは思っていなかったから驚きだよ」 セリン達の近況をアリスターが追加し、続いて驚きの声をあげた。「立場上、レオノーラさんの御子息達とは全員面識があって、出会った当初からよく、育ての親の話を聞いてはいたけど、有能な面々を拾い、立派に育て上げた御人だから正直歴戦の猛者みたいな御仁か、もっとこう……風貌自体も御高齢の女性を想像していたんでね。『さすらいの薬売り』として一部では有名な子連れの女性は、常に目深にフードをかぶっていて年齢不詳でもあったからね。だからカラミタが育ての親でもある女性と『結婚する』と言い出した時には、そりゃもうどう反応していいのか迷ったんだが、この対面で色々納得したよ」と言ってアリスターが楽しそうに笑う。「こんなにも愛らしい雰囲気の女性なら、百五十以上もの年の差すら、どうでも良くなってしまうよね」 彼女が

  • 独立した末っ子が執愛属性持ち『魔王』になって帰って来た   【第3章・第4話】ダンジョン攻略(レオノーラ・談)

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  • 独立した末っ子が執愛属性持ち『魔王』になって帰って来た   【第2章・第8話】《回想》冒険者ギルド④

    「まぁ、わかった。先ほどまでの話から察するに、『魔王』の『性質の支配』の影響下に無いおかげで、カラミタは『特別な個体』って事だな?」 「そう思ってくれて構わない」とライゼの問い掛けにカラミタは答えた。 「そうか……。——なあ、セリン達よぉ」 セリンを筆頭とした兄弟達の視線がライゼに集まった。窓を背にして執務用の席に座るライゼに背後から太陽の光が強く差し込み、彼の表情を分かりにくくさせている。「現・魔王は随分と『好戦的』らしいが、カラミタの『性質』は、我々にとっても、次世代の『魔王』になるに相応しいもんなのかい?」「正直な話、少なくとも『王の器』ではないですね。ですが、統治力を求めら

  • 独立した末っ子が執愛属性持ち『魔王』になって帰って来た   【第2章・第7話】《回想》冒険者ギルド③

     ギルドマスターの部屋の応接スペースに置かれたソファーに五人が腰掛ける。体が大きく、筋肉や種族特性の関係で分厚いセリンとリトスの二人が並んで座り、残りの三人はその対面にあるソファーに座った。「——んで、だ。カラミタ、お前さんの事をちょっと教えてもらってもいいかい?出来ればギルド本部への訪問の理由よりも先に、『特別な個体』である理由の方を聞かせてもらえんかねぇ。警戒心をどうにも捨てきれない儂を安心させて欲しいんだ」 ライゼにそう言われ「あぁ」とカラミタが素直にうなずく。その様子からすると、その点に関しても元々話すつもりで来ていた様だ。「かなり長くなるとは思うんだが、まずは、『魔族』の特性

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