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第6話

作者: 花散る樹
確かに、私は何度も亮平に離婚を切り出した。

けれど、彼はそのたびにまともに取り合おうとはしなかった。

あの日、夜中に彼が莉緒の部屋から出てくるのを見るまでは。怒りに震えた私は、彼の目の前に離婚届を叩きつけた。

亮平は署名するどころか、抗う私を力任せに抱え上げると、寝室へと引きずり込み、ベッドに乱暴に放り投げた。

逃げ場を塞ぐような執拗な口づけが全身に浴びせられる。

「……莉緒と寝たとでも思ったか?」

激しい衝撃が体を突き抜け、乾いた痛みに意識が遠のきそうになる。

亮平は私の顎を指が食い込むほど強く掴み上げ、その顔にはどす黒い殺気が立ち込めていた。

「美咲、どの面下げて俺をそんな目で見る。俺をここまで不幸にしたお前を、簡単に手放すはずがないだろう。一生俺の傍で、徹底的にいたぶり抜いてやる」

涙が溢れて止まらず、やめてと懇願しても彼は止めてくれなかった。

翌朝、壁にすがりながら階段を降りた私が見たのは、何食わぬ顔で莉緒の口元にキャビアを運ぶ亮平の姿だった。

顔色を失い、ふらふらになりながら階下へ降りた私を、両親は忌々しそうに一瞥した。「何しに降りてきたの。あんたの分なんて、端から用意してないわよ」

冷たく突き放すような母の言葉に、心臓を直接握りつぶされたような痛みが走り、今でも思い出すだけで息が詰まりそうになる。

亮平が本当に莉緒を愛しているのか、それとも私を怒らせたいだけなのか、もうどうでもよかった。

あの日、私は海外の法律事務所に履歴書を送り、この地獄のような家から離れる決意をした。

けれど出発直前、妊娠していることが分かった。

子供は好きだったし、亮平との子が欲しいと願ったこともあった。それなのに、その事実を知った瞬間、私の心には一筋の喜びも湧かなかった。

なぜなら、その子の存在は希望ではなく、私をこの場所に繋ぎ止める「呪いの枷」に他ならないと悟ってしまったから。

「お腹に新しい命が宿っていること」を伝えれば、冷え切った亮平の心も少しは和らぐのではないか。そんな淡い期待を抱いて、何度も彼に縋り付こうとした。けれど、彼は私の言葉を最後まで聞く耳すら持っていなかった。

そして絶望の底にいたあの日、私は莉緒に拉致され、命を落とした。

そんな過去を振り返り、私は長く重い溜息をついた。

ふと気づくと、私は実家の前に立っていた。中から
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