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第148話・新しいお役目

Auteur: 新矢識仁
last update Dernière mise à jour: 2026-02-08 06:32:33

「何すんだサーラ」

「何をしているんだ、ほめてやっているというのに」

「背中を全力で叩くのがほめるって意味?」

「聞いてないからだろう。何を考えていた?」

 それは頭の中で聞けばいいだろうに。

「な・に・を・か・ん・が・え・て・い・た?」

「分かった、喋るよ、喋るから、そのぜんっぜん笑ってない笑顔やめて」

 サーラが頭を引っ込めたので、俺はナセルさんに向かって話し出した。

「グリフォンはどれくらいの数いるんでしょうか?」

「グリフォンは神獣ですから、大事に守ってきましたので……主がいない者も含めて二百頭ほどは」

「なら行けるかな」

「我々を、荷運びに?」

「あー、嫌なら嫌って言ってくださいね。フェザーマンにもプライドがあるでしょうから、いきなり荷運びの仕事をしろなんて言えないし」

 思いついただけだから何とも言えないし。

「いえ、生神様のお考えであれば。ただ、何故そのような考えに至ったのかを教えていただけないでしょうか」

「今まで、俺が再生してきた大樹海、無窮山脈、ビガス」

 俺は指折り数えて言った。

「林業、鉱業、農業。どれも人間が生きるには必要なもの。だけど、それが回らないと何処
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