تسجيل الدخول木の上で降りられない猫を助けてあげよう。 そんな気持ちから木に登り、手を伸ばす女子高生・東都明音。 しかし無情にも枝は折れて明音は転落死してしまった――から始まる異世界転生。 新たな世界は定期的に異世界転生者が現れる魔法の世界!?その名もフォス=カタリナ。 転生者には転生者免許というものが与えられ、原住民に似た生活ができるみたい。 魔法の代わりに一つのスキルを貰える転生者だけど、明音が貰ったスキルは一体なあに? そのスキルで何のお仕事をする? これは新たな世界で新しい人生を謳歌する、元女子高生のお仕事日記。 明音があなたを素敵なレストランに案内します! 【※現在不定期更新により作者Twitterで確認下さい】
عرض المزيد両開きの大きな扉がゼル……さんによって開かれる。 というのも扉の横には手のひらサイズのパネルがあって、ゼル……さんはそれに手のひらを添えて扉は開いたのだ。 手の指紋を取ってるのかな?そもそもそんな技術がこの世界にあるの? そんな疑問が浮かんだけど、ゼル……さんは私のて顔を見てにこりと笑った。「気になった?これは認知式の鍵で、手を通して魔素で相手を識別するシステムなんだ。今はまだ試験段階だけどね」「魔素で識別……そんなこともできるんですね」「出来るようになった、が正しいかな。同じフォス=カタリナ人によって体を巡る魔素の属性割合って違うんだよ。それに気付けたから作ることができたんだ。ちなみにこれはまだ搭載できてないんだけど、転生者にはスキルが備わってるだろう?そっちを個体で判別できて登録できるようになったらいいなと思ってるよ」「ふえ……すごいですね……」 言ってることはあんまり分からないけど、結構高等技術っぽそう。 そういうのを研究して魔道具として取り入れるのは、なんだか学者らしいなと思っちゃう。 でもここにいるのは……発明家に近い学者、なのかな。 室内にいるみんなは白いローブにスカーフを巻いて、ゼル……さんと同じ姿。 ただ、人によってスカーフの色が違う。 皆同じ色で集まってるあたり、役割が何かが違うのかもしれない。 「ようこそ、製造ギルド魔道具科へ! ここでは様々な魔道具を研究し、製作、そして商品へと昇華させているよ。特にこの製造ギルドでは数々の魔道具が実用段階へ至る実験装置として置かせてもらっていてね。ルシェットさんもここに来るまでにいくつかは体験したかな?」 案内をしてくれるゼル……さんが、にこりと微笑みながら問いかけてきた。 思い浮かんだ魔道具は2つ。 どっちも大きなものだ。「えっと、受付にあった大きな音を消す魔道具と、さっきの瞬間移動装置、ですかね……?」「ああ、そうだね。どちらも試作段階の実験装置だよ。ここではそんな大型のものや、日常に使うような小型のものまで製作しているんだ」「ちなみにゼルディモリさん、今は何を製作してるのー?」 やけに生き生きとしたゼル……さんに、ネリーさんが質問を投げかける。 ゼル……さんは大きく頷くと「これだよ!」と手のひらサイズのスプレー缶みたいなものを取り出した。 ゼル……デッ……
「ね、ネリーさん……今のってなんですか?」 ネリーさんは「ごめんごめん、反応が初々しいから笑っちゃった…」と笑い、浮かんだ目尻の涙を拭う。 そして「これはねー」と後ろの穴を指差す。「設置型の瞬間移動装置というやつだね。闇魔法の魔素を籠めて、穴と穴を瞬時に移動できるって代物!」「はえ……もしかして、これも魔道具ですか?」「そうそう!……あれ、なんでこんな魔道具出来たんだっけ。階段の昇り降りがダルくなったから……?」「転生者が送られてくる転移魔法についての理解と実験の産物! こら、ガイドが適当な理由を作るな!」 頭にはてなマークを浮かべるネリーさんに知らない声のツッコミが入った。 びっくりして振り向けば、白いローブに赤いストールを巻いた人が立っていた。 ストールの先は腕についた金具で留められていて、中々オシャレ。 このギルドの人だと思う男性は赤い目を揺らめかせてネリーさんに指先を向けた。「あーっゼルディモリさんだ!お久しぶりー!」「久しぶりー……じゃない!アルミルァから聞いたが新人転生者のガイドをしてるんだろう?適当に抜・か・す・な」「てへー、ごめんって。なんでだったか思い出せなくて。ほら、『気分とノリで作った』代物もあるでしょ?魔道具科は」「お前はそもそも商業ギルドの人間だろう。ガイドは有難いが、なんでお前がやるんだよ」「へへーん、そりゃ私がルシーちゃんの一番の友達だからでしょ!ちゃんとした知り合いに教えてもらったほうが、ルシーちゃんもラクだと思うよぉ?」「それはそうかもしらんが、雑な説明をされるくらいならまともな奴を呼ぶ」「なにをー!」「なんだよ」 うーんこの2人、仲が良い
製造ギルドの大きく広い廊下を歩く。 各所でミシンの音をしていたのは次第に金属を叩く音に変わって、鍛冶を彷彿とさせる音になってきた。 それだけでなく、じわりと暑くなってきた気がする。「この辺りからちょっと暑くなるから気をつけてね」「温度が急に上がった気がします。金属の音も響いてるし、もしかして……」「ここは被服第3工房、鎧とか作ってるよぉー」「やっぱり! あ、そういえばこの辺りは洋服や防具のお話だらけだけど、冒険者は武器って使うよね……?それはこっちで作ってないの?」「武器は武器でまた違う製作所があるんだよ。入り口の騒音、覚えてる?」「あー……なんかすごくおっきい音で何かを叩く音がしましたね……」「あれは多分大剣作ってる音だね。多分作り始めでまず熱して金属の塊を叩いてるとこだよ」「はえぇ……じゃあ入口の近くで武器製作がされてるんですか?」「いや?被服第1工房レベルで歩くよ」「……」 一体どんなに大きな音を響かせて武器を作ってるんだろう。 寧ろ製作してる人達は耳とか大丈夫なのかな……? あの時でさえ体に響く音してたし、制作場所では地震レベルで揺れてそうな気もするけど……。「とりあえずこの廊下を抜けて、階段上がったら魔道具製作所になるから頑張ろー!」 ネリーさんはグーにした手をあげて廊下を歩く。 今まで気にならなかったけど、布製の被服室を通る廊下はちゃんと窓があって緑の景色が見えた。 でもこっちでは何も見えない。 その代わり窓もない廊下は吊り下げられたランタンのようなライトに照らされている。 それが少し
どうやらデザイナーさんから直接買い付ける訳じゃないみたい。 デザイナーさんが作った服を、商業ギルドが鑑定して価値を決めて世に出す。 買う時はできるだけアネットさんの服を選んでくれたらいいなってことみたい。 なお、そのアネットさんの服はネリーさんが販売してるから、どうやら私の生活に特別変わりはないようだった。「じゃあ継続モデル、やってみます!えっと、よろしくお願いします……!」 だから今度は二つ返事じゃなくて、ちゃんと頭を下げてお願いをした。 アネットさんは「ありがとう!これからもよろしくね」と微笑んでくれて。 ネリーさんは「お姉ちゃんよかったね」と笑顔だ。 そこにデザイナーさん達が拍手をして……呟く。「いいなあ、私も直接継続モデルに会いたぁい」「あなたは継続モデルがいるだけ良いでしょ?私はいないのよ?」「あんたは売上上位でしょ!流行メーカーがお黙りなさいっ」「そう言うあなたは聖職者の衣装の殆どを受けてるじゃない!独自ブランドが言うことじゃないわね。毎月安定した額貰ってるでしょ!」「あわ……あわわ……」 なんだか喧嘩が勃発しちゃった……! 「ルシー、今日はありがと。今のうちにお逃げなさい」とアネットさんに言われて、大ごとになる前に私とネリーさんは被服第1工房を抜け出したのだった……。「はあ……はあ……びっくりした……」「お姉ちゃんは比較的落ち着いてるんだけど、あそこは衣装製作の最前線だからか、或いはデザイナー生存競争の勝者の巣窟だからか、ああいうバッチバチにやり合う意思が強い人が多いんだよね…&
ネリーさんのお店で買ったワンピースを着て、髪はエリザさんがまとめてくれた。 更に耳から耳へ、頭の上を通ってリボンが編まれたカルーチャ(布製のカチューシャみたい。こういうオシャレはお洋服の規定外だから女の子のオシャレのひとつなんだって。編み方も色んな種類があって、町の女の子に大人気!)と呼ばれるものをつけているのだけど、これがまた可愛い。 耳の上で留められた編まれた細いリボンは私の髪と同じ肩の下まで垂れ流し、私が動けばひらひらと舞う。 町娘として服の型が制限されている分、こういった部分で自由さを出すのは文化の一つだと思うし、それを楽しめるオ
「本日、昼ピークもお疲れ様でした!来る明日はサルーテの日です。忙しさは勿論のこと、ミスが増えやすい日となるので心して頑張りましょう。また、本日夕方は――」 お仕事を終える5分前、ホールに集まり終礼の時間。 エラさんの前に皆が並んで、お話は明日についてだった。 夜にも始まる前に夕礼があって、伝達事項を伝えて仕事するんだって。 私がそれに参加するのはもうちょっと後だと思うけど……このお店はきっと夜も忙しいんだろうな。 そう思うほど、このお店の人気を感じる。 ご飯も美味しいし、お店の雰囲気も良い。 更には場所も商店街やギルド、役所が集まった、王都の中で人が一番多そう。 とはいえ王都
「ルシーちゃん、第1魔素にカルスキュラをお願い!」「はいっ」「次は第8ルミオールにジェプチャップ!」「はいっ」「テリュタロステーキ上がったよ」「ルシーちゃん行ける?第4サルーテにテリュタロステーキお願い!鉄板気を付けて!」「は、はいっ!」 エラさんから接客の細かな部分を教えてもらっていたら、あっという間にピークタイムが始まっていた。 お客さんはぞろぞろと増えてきて、料理もお客さんも何もかもが流れていく。
『お母さんだから』 エリザさんの言ったその言葉が、頭の中で繰り返される。 単身赴任のお父さんと、朝から夜までお仕事をしていたお母さん。 二人とも忙しくて、休みの日でも駆り出されて家を出ることがあって、私はいつも一人だった。 でも、私には友達がいた。 時間潰しの塾にも生徒がいて、喋れる仲間がいた。 だから寂しくないし、そんなもんだって思ってた。 それが普通で、当たり前だと思ってたんだ。 でも、それは違ったみたい。 『お母さんだから』 温かいご飯と、エリザさんか