ようこそ万来堂へ!〜先輩から教わった接客技術で看板娘、がんばります!〜

ようこそ万来堂へ!〜先輩から教わった接客技術で看板娘、がんばります!〜

last updateآخر تحديث : 2026-03-23
بواسطة:  柊雪鐘مستمر
لغة: Japanese
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木の上で降りられない猫を助けてあげよう。 そんな気持ちから木に登り、手を伸ばす女子高生・東都明音。 しかし無情にも枝は折れて明音は転落死してしまった――から始まる異世界転生。 新たな世界は定期的に異世界転生者が現れる魔法の世界!?その名もフォス=カタリナ。 転生者には転生者免許というものが与えられ、原住民に似た生活ができるみたい。 魔法の代わりに一つのスキルを貰える転生者だけど、明音が貰ったスキルは一体なあに? そのスキルで何のお仕事をする? これは新たな世界で新しい人生を謳歌する、元女子高生のお仕事日記。 明音があなたを素敵なレストランに案内します! 【※現在不定期更新により作者Twitterで確認下さい】

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1食目・ようこそ万来堂へ!
静かな店内、明るい日差しが窓を通して室内を照らす。モップや雑巾を使って清掃、お客様に出すお水の準備、備品の整頓や補充……。厨房からは「あれ切って!」「ソースの準備はしたか!?」「もうそろそろ時間だぞ、揃えとけ!」と慌ただしい声と一緒にほんのりと美味しい匂いが漂ってくる。カチリ、と時計の長い針がもうすぐオープン時刻であることを知らせると、厨房の人も接客係の人も、お店の責任者みたいな人も、皆が一人のお姉さんを囲むように並んだ。私達の前に立ってこちらに振り向く女性は「おはようございます!」と元気で明るい声を上げると、両頬に人差し指を当てる。そして、「朝礼最後の準備運動!ニッコリ笑顔で」と満面の笑みを見せた。「――復唱!いらっしゃいませ!」「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」「ありがとうございました!」「少々お待ちくださいませ」「少々お待ちくださいませ」「申し訳ございません」「申し訳ございません」「お待たせいたしました!」「お待たせいたしました!」「では今日も一日頑張っていきましょう!」「よろしくお願いします!」女性の掛け声に皆が同じ言葉を繰り返し、最後には頭を下げて挨拶を終える。そのまま女性は私の手を引き、皆の前に立たせた。「こちらのルシェット・サイファ=明音さんが今日からこの万来堂の仲間になります!お仕事は初めてだということなので、皆で協力して明音さんを支えていきましょう。それでは今日もお店の無事を祈って!」「よ、よろしくお願いしますっ!」「お願いします!」並ぶ従業員たちの前で深く頭を下げる。纏め上げた髪、着慣れないフェイトレスの制服。恥ずかしくて、不安で、緊張しちゃって。それでも挨拶をすれば、皆も挨拶を返してくれる。そんな、明るくて皆が真面目そうなこの雰囲気なら、お仕事頑張れそうな気がするって思ったんだ。この世界、フォス=カタリナは私が生まれた世界じゃないけれど、落胆なんてしてられない、楽しそうな世界だと思った。***「もう、ちょっと……大丈夫だからね、猫ちゃーん」木の上にいた白い猫に向けて、私は手を伸ばしていた。もうすぐ届く距離、まるで「助けて」と何度も無く子猫に向けて。手が届けばもう大丈夫。私が助けてあげる。そんな気持ちで、ちょっとの高さに心臓を震わせながら、手を伸ば
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2食目・どうも、異世界転生者です。
目の前に立つ祭祀みたいな人は、『神官』というお仕事の人で、どうやら私みたいに一度死んだ人に現状の説明とか、何があってそうなったのかを教える担当の人みたい。白いローブは裾に金色の装飾がされていて、手には宝石が付いた長い杖を持っている。そんな姿でさえ、神聖さを感じる。優しい声と丁寧さのせいかな。怒りが湧いたりとか悲しい気持ちにもならなくて、寧ろちょっと疲れてそうな雰囲気からお手を煩わせて申し訳ない、と口に出そうだ。「――ということなんです」「えっと、つまり……ここはフォス=カタリナって名前の世界にある、エ、エルドアマリナ王国?の王都で、人と魔物が生きてる世界。この世界では魔法があって、召喚術で異世界から人を呼んでたから、その影響で私も呼ばれた……ってこと?」「ざっくり言うとそんな感じです。いやあ、貴女はお若そうなのに冷静で、理解が早くて助かります」「そんなことないとは思いますけど……だって、もう死んじゃったし帰れないんでしょ?」「そうですね……」「魔法があるからやれ!ってゴネても無理なものは無理でしょ?」「戻ったとして、死んじゃってますしね……」「じゃあ、どうしようもない」「大変申し訳ないです」 神官のお兄さんは深々と頭を下げる。とは言うけれど、でもこればかりは自分の不注意で、お兄さんが悪いことは何もない。事故と事故が重なったとか、そう思うしかないような気がする。強いて言うなら、両親に早く死んでしまったことを私が謝罪したいくらいだ。「お兄さんはこうして私みたいに呼ばれた人に説明をする係なんでしょ?別にお兄さんが悪いって訳でもないし、謝らなくていいよ」「うう、貴女みたいに出来た人がこちらに来てしまうことに、心が痛んでしまいそうです……。あ、そういえばちゃんとした自己紹介がまだでしたね。私の名前はクリステフ・アマデイラと申します。貴女のお名前は?分かりますか?」「切り替え早っ……わ、私は東都明音です」「明音、ですか。素敵な名前ですね。おいくつですか?」「17です……でした……?」「貴女が通った召喚術式は、死んだ状態のまま即こちらに飛ばされますので、継続で大丈夫ですよ」クリステフさんはちら、と床に大きく広がった魔方陣に視線を向ける。私も併せて顔を向けたけど、私が来た瞬間に輝いていた魔方陣は、今は床に線
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3食目・転生者、名前をもらう。
どうやら私が居る場所は、エルドアマリナ王国の王都、スカイクートの王城内らしい。 なのでこれから城下町に降りるのかな……と思ったけど、どうやら違ったみたい。 「明音。まずはこの世界を知り、楽しんで」 優しい笑顔と一緒にそんな言葉をクリステフさんにかけられて、再び杖が振られた時には……知らない場所に居た。 煉瓦が積み上がった壁、木製の作業台には大きな桶と鍋が置かれていて小さいながらキッチンだと分かる。 ダイニングテーブルは私がよく知るものだけど、野菜が置かれた棚や壁際に積まれた木製の箱は完全に私が知らない文化だ。 どうやら、本当に異世界に来ちゃったみたい。 辺りをキョロキョロとしていると、「ちょっといいかしら?」と背後から声が聞こえた。 振り向けばさっきのご婦人が立っている。 「えっと、もう一度挨拶させて頂くわね。初めまして、私はエリザ・サイファって言うの。貴女の名前、聞いてもいいかしら?」 「あ、東都明音と申します」 「明音ちゃん、ね。クリステフ神官長からかるーくお話は聞いたと思うのだけど、私ね、宿主制度に登録してたから貴女を引き取ったの」 エリザさんは「よろしくね」と柔らかい微笑みを見せた。 白っぽい金色の髪、目は黄緑色で毛先がくるんとした髪を後ろに纏めている。 少し丸っとした頬や体型がなんだか可愛らしい人だ。 ……でも、その前にツッコミたいことがある。 クリステフさん、神官長なの?……ああいや、そこじゃないか。 「宿主制度?」 「そう、クリステフ神官長も言ってたと思うけど、この国には貴女みたいに別の世界から人が呼ばれてくるの。そんな人達には家を用意しないといけないでしょ?でも、だからってお宿を準備するとかだとお金も無いのに大変でしょう?だから希望者がお家を貸してあげますよーって制度があるの。勿論それにも条件を設定できるのだけど……」 「つまり、私はエリザさんが宿主制度で引き取る条件に合ってたってこと?」 確認をすると、エリザさんは両手を合わせてぱぁと輝くような笑みを見せる。 ふわっとした声も相まって、可愛いお母さんだなあって印象がつきそう。 「そうなの!私ね、長年子供が出来なくて、夫とも離婚しちゃって一人暮らしなんだけど……よかったら明音ちゃんに、私の娘になってくれないかな
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4食目・転生者、やることいっぱい。
「はい、ルシーちゃんお待たせ!この世界のお料理が、お口に合うと思うのだけど」エリザさんは嬉しそうに抑揚のある声で目の前にご飯を並べた。出てきたのはパンとスープ、パンは外側がバリっと硬くて中はふわふわのパン、スープは抹茶みたいな薄い緑色に白いクリームのようなものがかけられている。これが異世界飯、と言いたいけど少しだけ既視感がある。ちなみにルシーとはルシェットの略称みたい。今後はどうやらルシー、と呼ばれることになりそうだ。「えっと、いただきます」「召し上がれ」手を合わせてまずはスープを一口。スプーンで掬うと少しだけとろみがあって、口に入れればほんのり甘くて豆の味がする。エンドウ豆のクリームスープ、って感じかな。「美味しいです。豆のスープですか?」「あ、分かる?ルシーちゃんの世界にもあるのねえ。ズンダー豆を砕いて濾したスープなのよ」ズンダー豆。……ずんだ?「ず、ずんだ…」「ルシーちゃんの世界ではあまり見ないかしら?昔はエフェニア地方で採れた豆だからエフェニア豆、なんて言ってたけど、私が小さい頃にはこっちに来た転生者が『ずんだの味だ』って言うから、その語感を気に入ってズンダー豆って呼ばれているのよ。確かニホンって世界から来た人だったと思うのだけど」ずんだはどうやら本当にずんだ餅から来てるみたい。話を聞く限り転生者は多いようだから、もしかしたら他のものでも馴染みのある物や音はあるのかもしれない。異世界なのに既視感があって、なんだか不思議な感覚だ。「異世界から来た人の言葉がこっちで浸透することってあるんですね」「この王国は特にだけど、実は意外と多いわよ。ルシーちゃんも通った召喚術式が呼び出す世界なんだけど、2,3つの世界から死んだ人を定期的に呼んでるからなの。フォス=カタリナ人、特に私たちエルドアマリナ王国の人間は、そんな彼らを受け入れる義務があるの。それは言語や文化も同じよ。でも異世界の文化って結構面白かったり、フォス=カタリナの元々の言語が発音が難しいこともあって、わりと異世界の言葉や文化が浸透しがちなのねぇ」「はえー、そうなんですか」行儀が悪いけど、スープを口にしながら異世界のお勉強をさせてもらってる気分。来たばかりだから仕方ないけど、この世界をもっと知らないとだめだな……。この世界で生活するんだから、もっとお話聞いておき
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5食目・異世界って本当に異世界なんだね!
キッチンにダイニング、大きな扉に階段があった一部屋は、扉を隔てて外に通じていた。 靴で生活するみたいだし、玄関っていう概念がないのね、きっと。 「ようこそ、フォス=カタリナへ!」とエリザさんのにこやかな歓迎とともに出入り口のドアが開かれると、そこは街の外。 外からぶわっと入ってきた風は不思議な匂いで、外の景色はやっぱり私が知ってる景色と違う。 柱は木製でも壁が石だったり、レンガが崩れた場所を木材で塞いでるような壁があったり、道は石畳で凹凸が整えられてたり。 でもちゃんと車2台分は通れるような広さがある。 見た目ではどうやら住宅街のようだけど人が2,3人の往来はあって、顔立ちが堀の深い人や丸い顔の人、様々だ。 「ここは王都スカイクート、西住宅地の第3区画よ。自分で住所言えるように覚えておいてね」 「あ、はい。えっと、西住宅地第3区画……」 「そうそう。今から乗合いの馬車で役所まで行くわね。こっちよ!」 エリザさんの案内を受け、家から右へ道を抜けていく。 十字路は3本目を左に曲がると、大きな道に出た。 「う、わあああ……!!」 少しずつ賑やかさは感じていたけど、大きな通りに出た瞬間その喧騒は突然大きくなった。 両脇に屋台みたいな小さなお店が立ち並び、商店街のようになっている。 闊歩する人は無骨な鎧を着ていたり、布物でも腰に武器のようなものを下げていたり、はたまた運送屋なのか大きな荷物を肩に担いで運ぶ人も。 エリザさんのようなカボチャ袖のトップスにロングスカートの主婦っぽそうな人も混じっている。 いや、シャツにベストを着たお兄さんもいるな。 とにかく見た目では判断が難しい人もちょいちょいいる。 人はすごく多く、ごった返している。 「そっちから先は商業区。日用雑貨や食材、装備屋さんにご飯屋さんも入り交じった一番賑やかなところよ」 街の光景に衝撃を受ける私に、こそっとエリザさんが教えてくれる。 気圧されて動けなかったけど、「乗合いはこっちよ」と手を引いて連れて行ってくれた。 初めてみた光景の連続に心臓がバクバクして、抑えられない。 キョロキョロとしえいると、エリザさんはくすりと笑った。 「貴女、本当に緊張していたのね。今は初めての光景にはしゃぐ子供みたい」 「わっ、えっと……」 「ごめんなさい、悪い意味じゃな
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6食目・馬車に乗って手続きへ
乗合い、とは言っていたけど屋根もある箱型の馬車に乗ってるのは私のエリザさんだけだった。 馬車は2頭の馬が車輪の付いた箱を引いている。  ステップに足をかけて乗った私達はどれも壁に沿って中央を向く椅子の、最後尾に座った。 窓枠は大きく開放的で、どこからでも外を覗けるし、外からでも馬車に乗ってる人はわかりやすそう。 窓がないけど雨が降ったらどうするんだろう? ふと天井を見上げると、窓枠の付近にラップの箱みたいなものが並んで見えた。 「ん……?」 「上の箱が気になる?あれはカーテン、雨が降ったら箱のひもを引っ張って、この窓枠の釘にかけるのよ」 私の疑問を察したように、エリザさんは颯爽と教えてくれた。 どうやら布製のブラインドが取り付けられているらしく、雨が降ったら自分で降ろしてね、ってことのようだ。 となると雨が当たるのは背中側、あ、椅子が内側向いてるのって雨対策か。 「ふふ、興味津々なのね。馬車って初めて?」 「そうですね。車っていうこういう箱を自分で運転するものが主流だったので。存在しても、他国だったし……」 「そうなの。いつかルシーちゃんの世界のお話も聞きたいわぁ」 そう言いながらエリザさんは「はい、これ」と手提げかばんに入れた巾着袋から銅色の硬貨を取り出した。 私の手のひらに乗せられた硬貨を見ると、磨かれた10円玉みたいにてらてらと鈍く光を反射している。 柄はお花で、数字は何も書かれていないけどとても綺麗だ。 「もうそろそろ役所に着くわよ。降りる時は入り口のベルを鳴らして、止まったら降りて御者さんに渡すのよ」 「分かりました」 とは言っても、馬車が動いているのに慣らしていいのだろうか? あ、次の停留所に止まった時に鳴らすのかな?と思ったけど、停留所は見当たらない。 さっきもなんか立ち止まって馬車が来るのを待ってたような? 「ルシーちゃんどうしたの?そろそろベルを……――はっ、ごめんなさいね」 悩む私にエリザさんは何かに気づいて、謝りながら手を伸ばす。 すると『からんからん』とベルが揺れた。 誰も触ってないのに。 「!?」 「ルシーちゃんは魔法が使えないのね、失念していたわ……。次からあのベルの横の席にある、優先席に座るといいわよ」 魔法。 話には聞いて
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7食目・異世界転生者、免許をもらう。
 大きな扉を通って中に入ると、来客者を案内するように石畳の床には紺色の絨毯が敷かれていた。 絨毯の先には長く大きなカウンターがあり、受付なのか等間隔に人が並んでいる。 ちなみに来客はエリザさんのような待ち人のような服装をしている人もいれば、お仕事をされているのか異国風でもピシッとキメた服装をしている人もいる。 みんなここに、何かしらの用事があるようだ。 あ、あの人の背中、おっきい武器背負ってる……。「ルシーちゃん、こっちよ」 受付や用事があるのか通路を移動している人がいる中を、エリザさんは迷うことなく縫うように進んでいく。 このままだと私が迷子になりそう。 大人しくその背をついていくことにした。 カウンターの端から2番目、『転生者登録窓口』の受付でエリザさんは声をかける。 「こんにちは、今よろしいかしら?」「大丈夫ですよ。本日はどのようなご要件で?」「こちらのルシーちゃん――ルシェット・サイファ=明音の異世界転生者免許の取得手続きをお願いしたいの」「かしこまりました。ではルシェットさん、こちらへ」「あ、はい」 受付のお兄さんのじっと見つめる視線に、私はエリザさんの隣に並ぶ。 するとお兄さんはまず胸元の名刺を見せてきた。「初めまして、ルシェットさん。私は今回の手続きを担うアスパィア・ヴィッヒューと申します」「あ、あす……?ゔっ、ヴィっ……」 にこりと微笑むお兄さんは気さくそうで朗らかな笑みなのに、名前の難度はとても高い。 なんて言ったかも把握できないし、何より発音も難しすぎる。「なるほど、名も苗字も馴染みのないもののようですね。あ、呼びにくいと思いますので私のことは|義政《よしまさ》でいいですよ」「急に渋いですね?」「よく言われます」「それ
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8食目・これで準備完了!……ということでもない?
 異世界転生者免許証を貰えたし、これでやることは終わりだろうか。 そう思ったのだけど、「次はこちらへどうぞ」と案内される。 エリザさんには「いってらっしゃい、ルシーちゃん」と笑顔で見送られて、向かったのは床の真ん中に大きな丸が描かれた不思議な部屋だった。 「あの、ここは?」「ここはスキル発現の陣を描いた魔法室でして、主に転生者が受けたスキルを確認する部屋ですね」「スキル?……そういえば、馬車を降りた時にエリザさんもそんなこと言ってたような……」  とは言っても、うろ覚えなのだけど。 まるで独り言のように呟いたあの時のエリザさんの言葉を思い出そうにも、中々はっきりとは思い出せない。 それでも義政さんは「ご存じであれば話は早い」と満足そうに大きく頷いた。 「もしかしたら既に目にされたかもしれませんが、この世界には魔法があります。これはフォス=カタリナの人間であれば備わっている力です。ですが、私達異世界転生者は違う」「私達?」「ええ、正式に名乗らせてもらうと、私はアスパィア・ヴィッヒュー=義政と申します」「あ、だから義政さん……」  どうやら義政さんも異世界転生者だったらしい。 義政さんは「見ていてくださいね」と丸が描かれた中央に立って、手を伸ばす。 すると目の前に半透明の板が空中に現れ、文字と写真のような絵が映し出された。 写真は人が映っているが、その顔は私。 横の文字はこのフォス=カタリナの文字のようだけど、何故か読めない。 「わっ……!ってこれ、全然読めない……」「そうでしょうね。というのも、私達異世界転生者はこちらの世界に来る際、音として聞いた言葉や目で見た文字はある程度読めるよう備わっているようです。しかし私が所持するこのスキル、『本質解』は使用者である私とこのフォス=カタリナの文字を理解している者のみが解読することが出来、公式な資料として使うことが出来ます」「つまり、この文字を読むにはちゃんとフォ
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9食目・スキル発現!私のスキルは?
 足元に広がった魔方陣は幾何学的な模様を描いて私の足元をゆっくりと回転する。 不思議な線と淡い光は小さな不安と何が起こってどうなるのか分からない期待を強く煽っていく。 線の外で、義政さんは声をかけてきた。 「私はあなた達転生者に力を与える権限を、王より承っています。さあ、深呼吸をして目を瞑り、自身の体の変化に集中してくださいね」  それから義政さんの声は聞こえなくなった。 口は動いているから何かしら喋っている筈なのに、まるで遮断されたように床に引かれていた線から強い光が湧き出して。 結局私は言われるがままに目を瞑り、自分の体に集中した。  何か変化は訪れるのだろうか。 呼吸を深めにしてみたり、なんとなく体を左右に振ってみたり、考え事をしないようにひとまずうむむと唸ってみたり。 それとも何もしないほうがいいのだろうか。 何もしない?何もしないって……どうやるんだろう? ああ、だめだ、考えてる。 考えないようにしてるけど、考えてしまってるのが自分でもわかる。 一体どうしたらいいんだ、と途方に暮れそうになったところで、次第にぽわわわ、とよく分からない音が聞こえだす。 それは幻聴かな?と感じていたものが疑惑になって、やっぱり聞こえる!と気付いた瞬間だった。 「――開花せよ!」 ――パァン!!  目を瞑ってから初めて聞こえた義政さんの叫ぶような声。 びっくりした私は目を開いて、目の前の光景を眺めた。 まるで周囲の光が収束したように私の体に集まって、天井に打ち上がって破裂したような。 花火。 そう、打ち上げ花火を真下から見上げたような感覚だった。 「わっ……」  でも実際に見えたのは花火なんかじゃない。 破裂した光は一瞬に消えたし、併せて足元の魔法陣も消えてなくなっていた。 儀式が終わった……という事? 私は一体何を得たのだろう。 「さて、どうでしょう?」「どう……と言われましても」「体に変化とか、感じます?」「えっと……いいえ?」  きょとん、とする私と義政さん。 多分、お互いに同じようなことを感じているだろう。 私は体に変化?スキルを会得したの?って感じだし、義政さんはスキル会得した?体の異常を感じます?っといったところか。 正直、なんにも分からないです。 義政さんは「ふむ」と唸りながら私のステータスを確
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10食目・職業斡旋!転生者のお仕事は?
「お疲れ様です。転生者ルシェット・サイファ=明音の職業斡旋をお願いします」「かしこまりました」  義政さんによって連れられた先は元のカウンターが並んだロビーに戻って、更に少し真ん中寄りのカウンターだった。 義政さんは私の個人情報が書かれた書類をカウンターのお姉さんに手渡した。「貴女がルシェット・サイファ=明音さん?私はサムグロァ・メイミン、スカイクートに住む求職者に仕事を割り振っているの」「さ、サム、グロ……?」「ごめんなさいね、フォス=カタリナの原住民の発音って、どうも転生者に厳しいのよね。私の事はサミーでいいわよ」「よ、よろしくお願いします、サミーさん」 にこりと微笑むサミーさんは赤が混じった金色をポニーテールにした快活そうな女性だ。「それではこれで」と去っていく、落ち着いた雰囲気の義政さんとは違って綺麗なお姉さん、といったイメージがある。 サミーさんは私について書かれている書類を流し見ると、「うん?」と首を傾げた。「ねえルシェットさん」「あ、ルシーって呼んでもらってるので、それでもよければ……」「じゃあお言葉に甘えるわ。ルシーさんの個人スキル、『ヘビースマイル』と書かれたまま何もないけれど……」「それはさっき義政さんにスキルの発現をしてもらったんですけど、何を貰ったのか私も義政さんも分かってなくて……」「なるほど。後で把握したら記入するのね、分かったわ。じゃあルシーさんにとりあえず聞いてみるけど……ルシーさん、貴女はどんなお仕事がしたい?」 急でもないけど聞いてくるサミーさんに、私は少しだけ悩んだ。 突然お仕事、と言われても思い浮かばない。 寧ろ私学生だったし、バイトくらいならどこかのお店で働くとかしか思いつかない。 コンビニってここに
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