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第59話・キガネズミ

Author: 新矢識仁
last update Last Updated: 2025-12-27 05:41:46

「村?」

「はい……我々は西のビガスから逃げてきました」

「西のビガス」

 シャーナが呟く。

「あの地域なら、まだもつとこの神殿から出て行った人々がいたのに……」

「……はい、ビガスは穀倉地帯でしたから、まだ穀物も動物もいました……あの時までは」

「あの時?」

 俺の言葉に、娘を連れた父親が頷いた。

「私はアンガスです。これは娘のイリス。ビガス村長の息子です……」

「……アンガスさん、説明してくれないか? ···って一体?」

 アンガスさんは痩せ細った顔を青くして俯いた。

「ビガスは昔から凶作などに備えて、大量の穀物を確保していました。伝説で言う生神様が降臨するまでは何とかもつか、と父と話していました」

「もたなかったのか?」

「理由はいくつかありますが、大きなものは二つ。リザーの神官長が言ったように、穀物がある、と言う噂が流れて、大勢の人間がやって来たこと。そして……」

 アンガスさんは娘を抱く手を震わせて、言った。

「キガネズミの大量発生」

「キガネズミ」

 シャーナは口を押えて青ざめ、リーヴェは軽く首を振り、ヤガリくんは深いため息をついた。

 何か、よっぽどヤバいモンスターっぽいけど。

 俺は端末でヘルプした。

【キガネズミ:凶作の時に現れる、敵対勢力に創り出された超小型の魔獣。子供の掌大の大きさしかないが、常に飢え、満腹すると言うことを知らず、飢餓の時に数千と言う群れで現れて確保していた穀物を食い荒らし、異常なスピードで増殖していき、食物がなくなれば最終的に共食いを始めて全滅する】

「無窮山脈のラスト・モンスターに近いのか……いや、食い物を食い荒らす分、ラスト・モンスターより質が悪い」

「キガネズミが現れたのですか」

 シャーナが深刻な顔をした。

「では、ビガスは……」

「穀物を食い荒らされ、飢えたネズミは人間さえも食い荒らし始めたのです……!」

「うげ」

 俺は自分の顔が青くなるのを感じた。掌大のネズミに食い荒らされる人間って、それキツイわ……。

「父……村長は残った穀物を比較的若い民に渡し、そこから出すことによって、生き残る可能性を少しでも増やす道を選び……数組に分けて、あちこちに向けて旅立たせました……。私たちは原初の神殿で生神様が降臨される可能性に賭けてここに辿り着いて……」

「よく頑張った」

 俺はアンガスさんの肩を叩いた。

「あんたたち
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