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大学生青年と吸血鬼少女の強奪Ⅷ

Author: kumotake
last update Last Updated: 2025-07-21 19:30:20

この場所は、あまりにも寒かった。

 時刻はとっくに、深夜を通り過ぎて朝日が昇る手前の時間だ。

 これは相模さんからのアドバイスである。

『家に帰り、夕食を済ませたら、布団で寝て、そして朝日が昇る直前に、それを持って、この場所に行けばいい、そうすれば君は、彼女に会える。そして彼女に会って、それを使って、君が決めたことを、やればいいさ』

 そう言いながら渡された、新聞紙に包まれた物と一緒に渡された小さな紙切れには、ある場所が記されていた。

 こんな所に、こんな時間に、女の子が一人で居るのは、それはあまりにもおかしなことだと、普通では考えられないことだと、そう思った。

 けれど......

 もしもその女の子が『吸血鬼の異人』という存在ならば、きっとそれは異常なまでに、正常な光景なのだろう。

 月の姿は見えなくとも、空の冷たい空気と、彼女の姿があまりにも、それがあまりにも、似合い過ぎているのだから......

 だからきっと、今彼女はこの場所に居て、然るべきなのかもしれない。

 そう思いながら、階段を登り終えた先に視線を移すと、やはり彼女はそこに、風を感じるようにして立って居た。

 そして僕は、そんな彼女に声を掛けた。

「琴音さん、こんな所で何をしているの?」

 その僕の声に気付いた彼女は、振り返り、少し驚いた表情をした後に、言葉を紡ぐ。

「なんで......なんで君が、ココに居るの......?」

「そんなの、決まっているでしょ?琴音さんを探しに来たんだよ......だからさ......」

 そう言いながら、僕は彼女に一歩近づく。

 しかしそうすると、彼女は二歩程退いて、僕が近づくことすら拒む。

「ダメだよ......来ないで......」

「どうして......?」

「どうしてって......もう知っているでしょ?私は、人を殺したんだよ......」

「うん、知っているよ......僕を刺した通り魔を、あの場で、殺したんでしょ?」

 そう僕が言うと、彼女はまた二歩程後ろに退いて、そして僕とは視線を合わせずに、弱々しい声で言う。

「そうだよ......殺したんだよ......今まではちゃんと、上手くやっていたのに、それなのに、それなのに私は、あの一瞬だけはどうしても......どうしても抑えられなかった......」

「それはどうして......?」

「......わ
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