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第六十六章 名を預かる部屋

Autor: chocho
last update Fecha de publicación: 2026-10-24 12:10:40

王宮の裏門は、夜になると、生け垣に溶けるように静まり返っていた。

月は細くなり始めている。

先に着いていたカスパーが、無言で門を開けた。外套を深く被ったエルフリーデが、半歩前を歩く。リーゼロッテはその背中を追いかけながら、自分の歩幅を、少しだけ詰めた。

石畳の継ぎ目に、爪先が引っかかった。

「あ」

声が出る前に、手首が掴まれていた。

エルフリーデが、振り返りもせずに、片手でリーゼロッテの手首を支えていた。指は、脈の上にあった。そこが一番いい場所だと、体が知っているみたいに、迷いがなかった。

「失礼しました」エルフリーデが言った。「足元が、悪かったので」

「ありがとうございます」

「いえ」

手首は、離されなかった。

エルフリーデは、自分の指を見下ろして、少しだけ眉を寄せた。それから、何かを諦めたように、掴んだ手をそっと下へずらして、手のひらを包み直した。

「このほうが、安定します」

それが理由として弱いことは、二人とも分かっていた。リーゼロッテは頷くだけにした。手の中で、エルフリーデの指が、わずかに強く握り返してきた。

生け垣の影を、二人は並んで歩いた。

通されたのは、王宮の奥の、小さ
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