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第8章:謎の封筒*香澄

last update Terakhir Diperbarui: 2025-09-05 22:25:14
遥花とは小学校からの幼馴染みで、高校までの腐れ縁だった。クラスでも、体育の列に並んだら一番前になるのは当たり前なくらい、背も低かった遥花。「ちっちゃくてカワイイ!」と思って、私が誰よりも先に友達申請したような記憶がある。

「私、香澄っていうの! 遥花ちゃん、めっちゃかわいいね! お友達になろっ!」

今でも思い出す。いくら子供だったとはいえ、よくもまぁそんな絵に描いたような陽キャな誘い方を出来たものだなと、当時の私に感心する。うん、偉いぞ香澄。

遥花は血のつながらない両親と暮らし、とても厳しく躾けられているとかで、最初はなかなか心を開いてくれなかった。けれども私が多少強引にグイグイせまり、学校でも一緒に遊ぶようになって、ゆっくり、少しずつ仲良くなっていったと思う。

他の友達にはなかなか心が開けず、「鋼の女王」だなんて異名を持っていたけど、私にとっては小動物みたいな? あるいはポヨポヨしたマスコットキャラみたいな愛らしさだった。

そんな遥花が、いつの間にか結婚して、離婚して。だけどお腹に双子がいて、めっちゃお腹も大きくなって。大人になるって怖いことだ。けれど、凄いことだとも思う。

離婚した
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  • 百合な親友と共に双子を育てる離婚妻。元夫とのすれ違い愛には裏があった   第113章:残された時間*遥花

    【2025年11月】病院の個室は静かで、白いカーテンが柔らかい陽射しを遮っていた。香澄はベッドに横たわり、点滴のチューブが腕に繋がれている。顔色はまだ青白いが、目だけは昔のままの優しさを取り戻していた。私はベッドの脇に座り、香澄の手を握っていた。彼女の指は細くて冷たい。でも、握り返してくれる力が、確かにあった。「遥花……ありがとう。来てくれて」香澄の声は弱々しかったが、穏やかだった。私は微笑んで、首を振った。「ありがとうはこっちよ。戻ってきてくれて」香澄は小さく笑った。目尻に、涙が溜まる。「戻れたのは、遥花のおかげ。蓮の作ったコードがなかったら……私はまだ、sophilaのままでいた」蓮のコード。あの子の執念が、封印を解いた。統合の瞬間、香澄の体が震え、過去の香澄とsophilaが一つになった。あのときの衝撃で、腫瘍が一気に悪化した。医師の診断は、残酷だった。「脳腫瘍、末期です。手術はもう不可能。余命は……数週間から数ヶ月」その言葉を聞いたとき、私は膝から崩れ落ちた。香澄はベッドの上で、静かに泣いていた。でも、今は泣かない。泣いている暇はない。残された時間を、一緒に過ごすために。「香澄……私たち、残された時間を一緒に過ごそう」私は、香澄の額にそっとキスをした。彼女は目を閉じて、頷いた。「うん……お願い」※病院の廊下で、蓮と菖蒲が待っていた。菖蒲はマネージャーの奥野さんと一緒に来ていて、今日は撮影の合間を縫って駆けつけた。「ママ! 香澄さん、どう?」菖蒲が駆け寄ってきて、私の腰に抱きつく。私は菖蒲を抱き上げて、頷いた。「少し落ち着いたわ。ありがとう、来てくれて」蓮はノートパソコンを抱えたまま、静かに言った。「遥花……ステアリンググループの件、終わったよ」私は目を丸くした。「終わった……?」蓮はパソコンを開いて、画面を見せてくれた。株価チャートが、急回復している。赤かった線が、緑に変わっていた。「香澄さんのサーバーから抜き出した不正データ、全部公開した。ネットブロード社のハッキング証拠も、警察に提出した。ユナイトコーポレーションの買収計画は凍結。総帥に就任した悠真……父さんの采配もうまくいってる」菖蒲が目を輝かせた。「すごーい! ざあこお兄ちゃん、めっちゃカッコいいじゃん!」蓮は照れくさそうに頭を掻いた。「でも

  • 百合な親友と共に双子を育てる離婚妻。元夫とのすれ違い愛には裏があった   第110章:統合の瞬間*sophila

    頭が割れそうだった。膝をついた瞬間、世界が音を失った。社長室の床が冷たくて、指先が震える。遥花の声が遠くから聞こえる。「香澄……過去のあなたを、解放するわ。もう、恐れなくていい」その言葉が、胸の奥に突き刺さった。次の瞬間、私の意識は体から引き剥がされた。暗闇の中に落ちていく。まるで深い井戸の底へ、ゆっくりと沈んでいくような感覚。そこは、真っ白な空間だった。どこまでも続く白い床と、白い天井。まるで病院の無菌室のようだ。私は立っていた。黒いスーツを着た「反町香澄」――sophilaの私が。そして、向かい側に、もう一人の私がいた。白いワンピースを着て、長い髪を肩に流した、昔の私。高校時代の、柔らかい笑顔の香澄。二人の私が、静かに向き合っていた。「……やっと、会えたね」過去の私が、優しく微笑んだ。私は、唇を歪めた。「会いたくなんてなかった。私は弱い。すぐにあなたに頼ってしまう。だから……」過去の香澄は、静かに首を振った。「あなたが私を封印したせいで、遥花は泣いたわ。私が、遥花を悲しませてしまった」怒りか、悔しさか、自分でもわからない。「違う、あなたじゃない! 遥花を悲しませたのは私のせい……私は、あなたを独占しようとしたの!」しかし過去の香澄が否定する。「あなたはただ、強くあろうとしただけ。弱いままじゃ、遥花を幸せにできない。隆一に作られた道具のままじゃ、彼女を傷つけるだけだと思った。だから、私を封印したんでしょ。強くなって、すべてを壊して、遥花を自由にしてあげようとしたんじゃない」過去の香澄がゆっくりと近づいてきた。彼女の瞳は、涙で濡れていた。「違うわ。私は、ただ怖かったのよ。弱いままで、遥花に嫌われてしまうのが。遥花に、愛され続ける自信がなかった。だから、あなたを閉じ込めて、強がった。復讐なんて、ただの言い訳。本当は、遥花に触れたくて、抱きしめたくて、でも怖くて……」白い空間に、私の声が反響する。頭痛が、再び激しくなる。腫瘍が、脳を締め付ける。過去の香澄は、悲しげに微笑んだ。「もう、いいのよ。遥花が来てくれた。彼女は、私たちを愛してくれている。sophilaも、香澄も、全部愛してくれているって……抱きしめてくれた」その瞬間、外の世界から、遥花の温かさが流れ込んできた。彼女の腕の感触、唇の柔らかさ、胸の鼓動。遥花が、私を抱きし

  • 百合な親友と共に双子を育てる離婚妻。元夫とのすれ違い愛には裏があった   第109章:再会への旅*遥花

    朝の陽射しがカーテンの隙間から差し込む。リビングのテーブルに、蓮と菖蒲の朝食を並べながら、私は静かに息を吐いた。今日は香澄に会いに行くと決めた日。「ママ、どこか行くの?」菖蒲が目をこすりながらリビングに入ってきた。彼女の髪は寝癖で跳ねていて、いつものように可愛い。私は微笑んで、菖蒲の頭を撫でた。「うん、ちょっと用事でね。一人で出かけてくるわ」菖蒲の目が、大きく見開かれた。「え……一人で? また、帰ってこないつもり?」「心配しないで、夕方には帰るから」菖蒲は、唇を尖らせた。「ママ……絶対帰ってきてね。菖蒲、ママがいないと寂しいもん」その言葉に、胸が締め付けられた。菖蒲の小さな手が、私の服の裾を握る。私はしゃがんで、菖蒲を抱きしめた。「うん、絶対帰ってくる。菖蒲と蓮とパパと、一緒にいるよ」蓮が階段を降りてきた。ノートパソコンを抱えている。「遥花……僕のアプリで、香澄さんの位置は追えるよ。リアルタイムで。危なくなったら、すぐに連絡する」蓮の声は、落ち着いている。でも、目が少し赤い。私の決意を、止める気はないみたいだ。「ありがとう、蓮。頼りにしてるわ」悠真は、朝から会社に出かけていた。昨夜、すべてを話した。香澄に会いに行くこと。過去の香澄を救うために、一人で行きたいと。彼は悩んでいたようだが、もう私を止めることはしなかった。ただ、「気をつけて。帰ってきてくれ」とだけ言った。家を出た。菖蒲は玄関で手を振って、「ママ、絶対帰ってきてね!」と泣きながら叫ぶ。蓮は「アプリで追ってるから、大丈夫だよ」と静かに言いながら、私に笑顔を向けてくれた。電車の中で、過去の記憶が蘇る。香澄と出会った子供の頃。彼女はいつも明るくて、私の厳しい家庭環境を笑い飛ばしてくれた。香澄は、私の初めての友達……そして私が双子を身ごもってから、とても短い間だけど、共に暮らし、共に双子を育て、そして愛し合った、かけがえの無い家族だ。今、香澄は反町香澄として、私たちの敵になっている。でも、私は信じている。彼女の中には、まだ過去の香澄がいる。sophilaが封印した、優しい香澄が。東京駅に着き、ネットブロード社の本社へ向かうタクシーの中で、蓮からLINEが来た。「遥花、香澄さんの位置は最上階の社長室。アプリでリアルタイム追跡中。……でも、解放コードを入れるには、香澄さんのデバイ

  • 百合な親友と共に双子を育てる離婚妻。元夫とのすれ違い愛には裏があった   第108章:暴走と家族会議*蓮

    学校から帰ってきて、すぐに自分の部屋にこもった。ノートパソコンを開いて、『Phantom Guard』のコードをいじり始める。sophila――反町香澄社長のサーバーに侵入して、彼女の秘密を探る。最新のバージョンで、今度こそ突破してやる。「よし……ファイアウォールの抜け道、昨日見つけたやつを使って……」キーボードを叩く。画面にデータが流れ込んでくる。機密ファイル、ログ……そして、変なフォルダを見つけた。「Sealed Memory」って名前。封印された記憶? なんだこれ。パスワードがかかってるけど、僕のアプリでクラック。開くと、中に古いプログラムのコードがいっぱい。隆一の洗脳プログラム……? これ、隆一が幼い頃の香澄に使ったやつだ。僕の知識で分析してみる。「これ……洗脳プログラムの一部。でも、sophilaがこれを使って、自分で過去の香澄を封印した痕跡がある……」ログを見ると、sophilaが自分の意思でプログラムを起動して、過去の香澄の人格を封印した記録が残ってる。隆一の洗脳プログラムを、sophilaが利用したんだ。自分の弱い部分――過去の香澄を、隠すために。「香澄は、自分の意思で過去の自分を封印してた……? どうして?」さらに深く掘ってみる。プログラムのコメントに、sophilaのメモみたいなものが残ってる。「弱い自分を閉じ込めれば、私は強くなれる。遥花を傷つけないために」。……遥花? ママのこと? sophilaは、ママを傷つけないために、過去の香澄を封印した? でも、今のsophilaはママを傷つけるようなことばっかりしてる。矛盾してる。「もしかして、封印したせいで、sophila自身がおかしくなっちゃったのかも……」頭を掻く。隆一の洗脳プログラムは、元々人格を操るためのもの。sophilaがそれを使って自分をいじったら、予想外の結果になったのかも。弱い自分を封印したつもりが、逆に強すぎる人格が暴走し始めた……みたいな。「sophilaを倒すんじゃなくて、過去の香澄を解放すれば……元の香澄に戻れるかも」閃いた。アプリをさらに改良して、封印データを解除するハッキングコードを書く。隆一のプログラムの構造を解析して、逆の動作をするように。理論上は可能だ。でも、実際にやるには、香澄のスマホかパソコンに直接アクセスしないと……。「まずは、

  • 百合な親友と共に双子を育てる離婚妻。元夫とのすれ違い愛には裏があった   第107章:暗闇と頭痛*sophila

    オフィスの社長室はいつも通り静かで、冷たい。窓の外、東京湾の景色が広がっているけど、今日は霧がかかってぼんやりしている。私の気分みたいだ。デスクの上で、スマホが震えた。円城寺椿からの報告。開くと、予想外の言葉が並んでいた。「ごめんなさい、社長。私はもう、あなたの命令には従えません。遥花さんを愛してしまったんです。本気で。隆一様の仇を取るためじゃなく、私自身のために、彼女を幸せにしたいと思います」……裏切り? 椿が? あの忠実だった椿が、私の計画を捨てる?胸がざわついた。スマホを握る手が、わずかに震える。椿は、私の指示で悠真を誘惑するはずだった。遥花を巻き込んで、大道寺家を内側から崩壊させるための道具だったのに。彼女の愛が本物になってしまった……?「ふん……愚かな子ね」独り言のように呟く。部屋に誰もいない。秘書も、社員も、今日は呼びたくなかった。一人になりたかった。椿の裏切りで、急に孤独が押し寄せてきた。立ち上がり、窓辺に近づいた。ガラスに映る自分の顔。反町香澄。ネットブロード社の社長として、すべてを手に入れたはずなのに、何かが足りない。隆一の影はもうない。私は自分の意思で動いている。ステアリンググループを崩壊させるのも、大道寺家を潰すのも、私の復讐のため。私の人生を歪めたすべてに、報いを与えるため。デスクに戻り、パソコンを開く。ステアリンググループの株価をチェック。まだ下がり続けている。ユナイトコーポレーションの買収は着々と進んでいる。社内のハッカーたちに指示を出す。Slackで、グループチャットにメッセージを打つ。「ステアリンググループの機密データをさらに引き抜け。株価をさらに下げろ。内部の不信を煽るためのフェイクニュースも散布しなさい」 返事はすぐ来た。「了解しました、社長」。 これでいい。椿がいなくても、計画は進む。遥花……あなたも、悠真も、苦しめばいい。あなたが愛した「過去の香澄」は、もう私だけのもの。 でも、頭の奥がズキズキ痛む。鎮痛剤を飲む。最近、頭痛が激しい。医者は「脳腫瘍の可能性が高い」って言うけど、手術なんて受けない。腫瘍は、「過去の香澄」の残滓。彼女を切除すれば、私は一人になる。それが怖い。 「遥花を……傷つけないで……」 また、幻聴が聞こえた。「過去の香澄」の声。苛立つ。頭を振って、声を追い払う。 「私は

  • 百合な親友と共に双子を育てる離婚妻。元夫とのすれ違い愛には裏があった   第106章:忠誠心と自己矛盾*椿

    10月の暮れ。東京の空は、秋の終わりを告げるように灰色に染まっていた。 あたしは、ネットブロード社の社長室の前に立ち、深呼吸を繰り返していた。ドアの向こうにいるのは反町香澄――あたしが「隆一様の意志を継ぐ者」として仕えてきた女。彼女の命令はいつも絶対だった。でも、今日だけは違う。 ドアをノックする手が震える。入室を許されると、香澄はデスクに座ったまま、冷たい目でこちらを見上げた。黒いスーツが、彼女の肌をより白く見せている。美人だけど、どこか壊れそうな脆さがある。 「椿。報告を」 香澄の声は、いつものように感情が薄い。あたしは、喉に詰まった言葉を無理やり押し出した。 「遥花さんとの関係……順調です。彼女は、あたしを……本気で愛してくれています」 香澄の唇が、わずかに歪んだ。笑みなのか、嘲りなのか。 「順調? それは良かったわ。でも彼女、先日、私のところに来たわよ。“過去の香澄”を取り戻そうとして。まったく、どうして人間って、そんなに過去に縋りつきたがるのかしら」 まるで自分が、人間を超越した上位の存在にでもなったように言う。いや、ある意味そうかもしれない。彼女はあらゆるところが超越している。隆一様の洗脳によって作られた存在。まるで人の心が欠落している。 「遥花との関係が順調だというのなら、彼女に離婚を迫りなさい。すでに悠真にはそれを迫って、失敗したようだけど。遥花ならうまくいくんじゃないかしら。あれだけ人から傷つけられた経験を持つ彼女なら、悠真のことも傷つけまいと、あなたに従うんじゃないかしら。今度こそ大道寺家は崩壊よ。そしてそれが、ステアリンググループの崩壊の引き金になる」 だから、平気でこんな血も涙もない提案ができるんだ。あたしは拳を握った。爪が掌に食い込む。 「……できません」 香澄の目が、細くなる。 「できない? なぜ?」 「あたし……遥花さん、本気で愛してしもうたけん。隆一様の仇取るためやのうて、あたし自身のために、遥花さん幸せにしたいって……ほうじゃけんもう、彼女惑わせるようなことはしとうないし、ええとう(言いたく)ない」 部屋に、重い沈黙が落ちた。香澄はゆっくり立ち上がり、あたしに近づいてきた。冷たい指が、あたしの顎を掴む 「椿。あなたは、私の道具よ。愛なんて幻想にすぎない」 「違う……

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