Masukスキルがないからと婚約破棄をされたうえに家から追い出されたギジマクス伯爵家の長女リンドラ。 スキルに関して今は亡きお母様との約束で公開していないが、持っている。“降水量調節”。お母様曰く「自然の摂理に逆らうものだから安易に使ってはダメ。スキルがあることを秘密にしなさい。この人なら大丈夫!って人が現れるまでは公開してはダメよ」ということで、家族には言っていません。 そんなリンドウが追い出されたあと、路上で倒れていた所、公爵様に拾われましたが……
Lihat lebih banyak「君とは婚約を破棄したいと思う。そして、私は君の義妹のナターシャと婚約したいと思う。これは既に君のお父様も了承済だ」
私になんの拒否権もないじゃない。うちはギジマクス伯爵家だけど、私が幼い時に私の母が亡くなり、父が子連れの人と再婚。それからというもの、私は家族に虐げられて生活をしていました。
「ごめんなさいねぇ?お義姉さまぁ。スティール様もなんのスキルも持たないハズレのお義姉さまよりもぉ、“緑化”のスキルを持っている私の方が魅力的だって言ってくださっているのぉ」
多分、それだけじゃなくて今、彼の腕に押し付けられている胸とかでしょうね。私はストーンとした貧乳だから…。
それと、スティール様を上目遣いで見る大きな目でしょうか?下品と言えば下品な感じにみえてしまう胸元がこれ見よがしに開いたドレスもポイント高いでしょうね。上からの眺めはイイでしょうね。
私はこのギジマクス伯爵家の長女のリンドラ。スキルに関して今は亡きお母様との約束で公開していないが、持っている。“降水量調節”。お母様曰く「自然の摂理に逆らうものだから安易に使ってはダメ。スキルがあることを秘密にしなさい。この人なら大丈夫!って人が現れるまでは公開してはダメよ」
つまり、スティール様はこの人なら大丈夫!に該当しなかった。ので義妹に婚約者を取られても特に何も思わなかった。
「あれぇ?お義姉さま、強がりしてるんですか?泣いても叫んでもスティール様はナターシャのものですよ!」
「おいおい、ナターシャが私のものなんだよ」
もうどっかで繰り広げて下さい。バカップル。
スティール様の侯爵家の領地で砂漠があった。そこでは作物が育てられず、その部分が領地においてまぁ、無駄だった。何も育てらんない=税金を取れないから。
ここで、現れたのがナターシャ。
「見ててください、スティール様!ナターシャがこの砂漠を緑化します!スキル“緑化”!」
すると、砂漠だった土地が熱帯雨林のように生い茂った。
「うん、まずは木を切り開いてから土地を作らないとな。さすがはナターシャだな」
「えへへっ。スティール様が見つけ出してくれたからですよ!」
領民も「どこかでやってくれよ。バカップル」と思っている。
私はお父様に「役立たずだなもうこの家から出ていけ!跡取りの事なら心配ない。お前たちのイトコの中から優秀な男を選ぶ」
と、家から着の身着のまま追い出された。
さて、どうしようか?雨にさらされるのは嫌だから、ちょっとだけスキルを使います。「スキル“降水量調節”」なんとか、雨はしのいだ。あてもなく歩いた。靴の底も擦り減った。
街中で「最近、雨が降らないよなぁ」という声を聞いた。―――ゴメンなさい。私のせいです。
フラフラになって、私は意識がなくなってしまった……。
「ナターシャのおかげで今年の領民からの税金が右肩上がり。税率を上げても良さそうだぞ?はははっ」
「スティール様、あの……どうやら私は妊娠しているようで…」
「なんてことだ!いいことというのは続くものなのだなぁ。この家の事を思うと男の子が生まれてきてくれるといいんだが、ナターシャに似た女の子は可愛いだろうなぁ」
「まぁ、スティール様ったら!」
……領地で起きている異変にはまだ気づいていないようだった。
「余計な邪魔が入ったが、ああアーノルドが寝たままで良かった。養子縁組をしよう」「はい」私は嬉しくなった。スティール様のいないルー侯爵家には何も恐れるものはないから。私はサインをすべきところにサインをして、正式にルー侯爵の養子となった。アーノルド、ありがとう!寝ててくれて!!ダマスス公爵家に帰りいきなり、クリスデン様が私と正式に婚約をすると公言した。(使用人の皆とか聞いてる~。超恥ずかしい!!)ダマスス公爵家では、使用人のみなさますごくよくしてくれて。あっ、サーラは私付きの侍女になりました♡クリスデン様との生活は甘々で今のところ1男1女です。まだ増える予感がします。子供達長男はアンディ。長女はセリーヌ。二人ともルー侯爵家のアーノルドを兄と慕っています。子供たちが仲良くて何より。血筋だとイトコ同士なのかな?アンディとアーノルドは領地経営について議論をしてたりする。子供らしからぬ動きです。もっと釣りとか野山を駆け巡るとかはしない。あとはチェスとか?チェスも十分子供らしくないかぁ。もっと外で大暴れ!みたいな。使用人さんが困りますよ?的な。今のところ使用人さんは「坊ちゃんもお嬢様もおとなしくらっしゃるわぁ」などと言っている。本心は「楽」だろうなぁ。セリーヌは「アーノルド兄さん♡」と「将来はアーノルド兄さんと結婚するの!」と言っては、クリスデン様を困らせている。なまじ実際に結婚出来るだけに始末が悪い。色々ありましたが現在の私は幸せです!了
流石は侯爵家。華美ではないが質素ではない調度品がそこかしこに飾ってある。「昔は置いたりもしてたんだけど、今はアーノルドが壊したりしたら危ないから倉庫に入れている」そうだ。甥の名前、アーノルドっていうのか…。「久しぶりね、リンドラちゃん」「お久しぶりです、侯爵夫人。お変わりなく、ご健勝で何よりです」「やだ~!年取ってるのよ。疲れやすくなったかしら?若い時から鍛えておけば…って今になって思うのよぉ」「肝に銘じます」侯爵は先ほど門のところにスティール様がいた件で、クリスデン様と話しているようです。「アーノルド、いらっしゃい!あなたのオバサンよ」「おばぁさん?」「違うわよ、お・ば・さ・ん」「今度、うちに養子縁組するんだから私の娘ね。オバサンじゃないわね。おかあさまよ」本当はナターシャの子なんだけどなぁ。私にはちっとも似てない(当たり前だけど)。「おかーしゃま?」「そうよ、おかーさまよ」****************「門の入り口で貴殿の息子が待ち構えていた」「それは本当ですか?」「話が通じないので、当身で気絶させて門兵に身柄を預けた」「確かリンドラと顔を合わせない約束だったと思うが?」「どういうことだ?私は『今日は大事な人が来るから部屋から出るな』としか言っていないが?」「とりあえずの処置をして屋敷の中に入った。部屋の方に乗り込んでくることも考えられるなぁ」「ペナルティとして家の地下牢にでも放り込んでおきます。その間に養子縁組をしてしまいましょう!」「よろしく頼む」********************クリスデン様も合流したなんだかやっぱり安心する。アーノルドは人見知りするようだ。私の陰に隠れてしまった。私がお母様なら、クリスデン様がお父様??「クリスデン様がアーノルドのお父様という認識でいいのでしょうか?」と、私はこそっと侯爵夫人に聞いた。「多分そうよねぇ。なんか似合わないけど」「アーノルド、この人はおとーさまよ?」「おとーしゃま?」私の陰に隠れていたアーノルドが顔を出してじーっとクリスデン様を見る。“氷に生きる新緑の貴公子”だからなぁ、大人でもビビるから、子供だったら…。「アーノルド、肩車しようか?」この一言でアーノルドは懐柔された。同年代の他の子は肩車経験ありなのに、自分のところは肩車をしても
再び王宮に俺、ギジマクス伯爵、ルー侯爵が呼び出された。「ダマスス公爵がなぁ、ギジマクスのもうひとりの娘と婚約したいんだそうだが、その娘は爵位が低いこと。自分は家を追い出されている事を上げているんだ。ギジマクス、そなたは娘を家から追い出したんだな?」「これには事情が…」「そなたの事情などどうでもいい。事実のみ。追い出したという事実があるんだな?」「申し訳ありません」「誰に謝っているんだ?追い出された娘ではないのか?」「……」「それでだなぁ、公爵のために、ルー侯爵のところと養子縁組をできないだろうか?」「元は愚息の婚約者だった娘です。どんな子か存じ上げております。大歓迎ですよ。リンドラが我が侯爵家と養子縁組してくれるかわからないですけど。愚息とは絶対に顔合わせないようにします!いいこだからなぁ」「だそうだ。ダマスス公爵。邸に持って帰り、リンドラに話してみます。ルー侯爵、ご協力感謝いたします」***************「という話し合いがあってな?ルー侯爵家のところで養子縁組するのはやっぱり嫌か?」「あちらの侯爵さまも侯爵夫人もいい方です。それに、スティール様には絶対に顔を合わせないという約束もしてくれましたから、大丈夫です」「因みに、ルー侯爵家には君には甥にあたるアーノルド君もいる」「まぁ」「彼が嫡男だ。スティールは廃嫡された。君の妹はスティールを捨てて実家に戻っている」ナターシャがしでかしたことも聞いた。そんな事になっていたのか…。その上でルー侯爵家は私を受け入れて養子縁組してくれると言っているんだなぁ。と思うと心がぽかぽかしてくる。「では、ルー侯爵にアポイントメントをとって、連絡がついたら顔合わせに行こう」「私は甥に会うのも楽しみです」翌々週末にルー侯爵家に行くこととなった。私は朝からクリスデン公爵様の婚約者として、磨かれ、垢を落とされ(こんなに汚れてたのか…)、素敵なドレスを着て、メイクに髪も結われて、完全武装といった感じだった。クリスデン様(呼び捨ては無理です!)は正装が美しい!流石です二つ名通り“氷に生きる新緑の貴公子”の貴公子様です。クリスデン様にエスコートされ馬車に乗り私達はルー侯爵家に向かった。門の入り口でスティール様が待ち構えていた。馬車はちょっと手前で止まって、馬車からクリスデン様だけが降りて門の入
なんでも一生懸命なのも好ましい。しかしだ!なんで俺の事を好きになってくれないんだろう?「何を今更言ってるんですか?爵位の差じゃないですか?と言っているじゃないですか」「もう、俺の方からアプローチしようかな?」「ご自由に」こうしてクリスデン公爵のアプローチ大作戦が始まった。以前、躓いたリンドラを支えたのはワザとだ。彼女に俺の事を少しでも意識されるようにだ。「あぁ、それでしたら、どうして旦那様が逞しいのか気になっている様子でした。遠回しにどうして旦那様は日課で剣術の鍛錬をしているのか聞かれましたし。旦那様の体格は意識しているようです性格は知りません」持ち上げておいて落とされたこの気分。どうしてくれようか?「旦那様!サーラ!焼きプリンが出来たそうですよ!」気分が上昇した。「はははっ、サーラ、リンドラも共にお茶にしよう!」三人でお茶会となった。「なんか今日のお茶は美味いなぁ」「ハイ!私が淹れました!」いつから挙手制になったんだろう?可愛いから許す。リンドラが淹れたお茶、噛みしめて(?)飲もう。「このお屋敷ってスイーツも絶品ですよね。シェフが素晴らしいんでしょうね」「ああ、王宮を辞したシェフをうちに住み込みで雇ってる。王宮になんか不満があったんだろうか?まだ若かったからなぁ」「そんな凄い方が日々の食事を作ってらっしゃるんですね。やはりこれは食事の前に東方の国では当然の作法である『イタダキマス』を言うべきですね。そして食後には『ゴチソウサマデシタ』と」リンドラは素直だと思う。いつのまにかサーラはどっかに行った。「リンドラ聞いてくれ。私はリンドラを好ましく思っている。リンドラにはそんな使用人のような仕事をしてほしくない。私の正式な婚約者としてここにいてほしい」「こんにゃく………こんやくしゃ………婚約者???」「そうだ、婚約者だ!」言った。言ったぞー!!リンドラは頭の中がパニック状態のようだから、「今すぐにとは言わない。リンドラの気持ちが俺の方に向いていなければ意味ないからな」「旦那様は素敵な方だとは思います。しかし、私はしがない伯爵令嬢、しかも家を追い出された身。とても公爵家には相応しくないと思います」「やはり爵位を気にしているのか…。爵位が気にならなくなったら構わないと?」「え?…まぁ、そうですけど」赤面しているリ