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第3話

Aвтор: 匿名
ちょうど出て行こうとしたその瞬間、鋭い痛みが全身を走り、思わず体を折り曲げずにはいられなかった。

歯を食いしばり、どうにかソファに横になる。震える手でポケットから痛み止めを取り出した――その時、姉が帰宅する音が聞こえた。

彼女の焦りと怒気を含んだ表情を見た瞬間、なぜか胸の奥がざわついた。

姉は怒りをあからさまに浮かべ、バッグを僕に投げつけてきた。すでに痛みに耐えている身体には、その衝撃さえも耐えがたいものだった。

「また何を飲んでる?」彼女は僕の手にある薬瓶を一瞥し、冷たく問い詰めた。

もしかしたら……と、一縷の望みを抱き、薬瓶を差し出そうとした。しかし姉はそれを容赦なく払いのけた。

「親許、そんな小細工でお父さんとお母さんの気を引けると思ってるの?そんな見え透いた芝居、誰が騙されると思ってるの!」

激痛に耐えながら地面の薬を拾おうとすると、姉はそれを足で蹴り飛ばした。

「親許、私の話が聞こえないの!?こんな怪しい薬を持ってきて、人を騙せると思ってるの!?」

僕は姉を見つめたまま、声が出なかった。

彼女が「怪しい薬」呼ばわりしたその薬は、僕が食費を削ってやっと手に入れた命の綱で、真夜中、痛みで眠れないときに、ようやく息をつかせてくれるものだ。

もしこれがなかったら、僕はとっくに痛みに耐えきれず、この世を去る道を選んでいたかもしれない。

姉は、僕の沈黙が気に食わなかったのだろう、平手打ちをくらわせてきた。

「親許、図に乗らないでよ!今日はお父さんとお母さんがわざわざ休みを取って海鳴を遊園地に連れて行った日なのよ!あんたが全部台無しにしたんだから!」

わざわざ休みを取ってって?

両親が海鳴のために休みを取ることなんて、別に珍しくもない。

今日は体調不良、明日は友達と喧嘩した、明後日は遊びに行きたい。彼が望みさえすれば、両親は何度でも理由を作って彼に付き合った。

じゃあ、僕は?

僕の学校での成人式でさえ、両親は時間に間に合わなかった。周りの同級生が親と並ぶ中、僕は一人で隅に隠れて泣くしかなかった。

今だって、病院で病状を確かめるための一日さえ、両親は惜しんだのに……海鳴のためなら簡単に休みを取れる。

怒りとも悲しみともつかない感情を押し殺し、僕は痛みに耐えながら立ち上がり、床の薬瓶を拾い上げた。

「そうだよ、僕は図に乗ってるんだ。これからは、この家に僕なんていないと思ってくれていい」

歯を食いしばり、荷物を引きずって歩き出した。しかし姉はそれを乱暴に奪い取った。

「お父さんとお母さんが十年以上育ててきたあんたが、勝手に出て行くわけ?犬だって十年飼えば懐くわよ!」

僕は何も言わず、ただ拳を強く握りしめた。

確かに、犬だって十年飼えば懐くだろう。

だが僕は?この数年、犬以下の扱いだった。

犬は追い詰められれば噛みつく。でも、生きている人間の僕はどうすればよかったのだ?

僕の願いはただ……最期の日々くらい、静かに過ごしたかっただけだ。

姉は僕の沈黙にさらに苛立ち、罵声を浴びせ続けた。

「そんな不満そうな顔して!この家には誰もあんたに借りなんてないのよ!結局あんたは、海鳴に愛情を分けられるのが嫌なだけでしょ!?」

僕は皮肉な笑みを浮かべた。

「本当?『基本的な親の義務』も果たしてないくせに、よくも言えるね。重病の自分の子供を放っておく親なんて、どこにいる?」

姉は鼻で嗤った。

「はっ、芝居が長すぎて役に入り込んだんじゃないの?その『可哀想な主人公』ぶるのをやめなさいよ!」

ついに、心の奥に溜まっていたものが溢れ出した。涙に視界が滲みながら、僕は言った。

「僕だって……これが全部演技ならよかったって思ってる」

僕は全身の力を使って、姉の手からスーツケースを奪い返し、そのまま家を出た。

背中に、姉の怒号が飛んできた。

「出て行くなら二度と帰ってくるな!外で死んでも知らないから!」

その言葉に、一度だけ足を止めて涙を拭った。

大丈夫だよ。今度こそ、あなたたちの望み通りになる。

僕は本当に……外で死ぬことになるんだから。

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