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第6話

Auteur: クレヨンおじさん
夜、藤原家の食事会は相変わらず華やかで、香水の匂いと笑い声、グラスの触れ合う音が入り混じっていた。

晴美は控えめな黒のロングドレスに身を包み、静かに隅に立っていた。その姿は、周囲の賑わいからぽつりと切り離されたように見えた。

彼女の視線の先では、修二と雨子が並んで立ち、人々の賛辞を受けながら、完璧で穏やかな笑みが浮かんでいた。その光景は、彼女の目が痛むほどまぶしかった。

ふと、砕かれた絵の数々が彼女の脳裏によみがえってきた。心血と感情のすべてを注ぎ込んだあの一枚さえも、結局は無残に壊されてしまったのだ。

「晴美ちゃん、どうしてこんなところで一人なの?」

背後から甘ったるい声が響いた。その過剰な親しげな調子に、思わず眉をひそめてしまった。

晴美は振り向かなくても、誰の声かすぐに分かった。

彼女は応えもせず、ただグラスを手に取り赤ワインに口をつけた。冷たい液体が喉を通り過ぎても、胸の奥に渦巻く苛立ちは少しも和らぐことはなかった。

雨子は、晴美が明らかに会話を拒んでいる様子を理解していないかのようだ。いや、そもそも彼女は晴美の表情など気にも留めていないのだろう。

彼女は勝手に晴美の傍らに立ち、いかにも心配そうな声で言った。

「顔色があまり良くないわね。ここ、少しうるさすぎるのかしら?それとも……体の具合でも悪いの?」

晴美はワイングラスを握る指先に力を込め、何も言わなかった。赤ワインを彼女の顔に浴びせたい衝動を、必死に抑え込む。

その後、およそ一時間もの間、雨子はまるで影のように、いつも一定の距離を保ちながら彼女につきまとい、変わらず穏やかな口調で、執拗に話し続けた。

食事会の話題からインテリアの話へ、そして晴美のドレスの話へと移り変わり、やがて彼女はさりげなく、修二から受けた行き届いた気遣いについても口にした。

晴美が一言も応じなくても、彼女は飽きることなく、独り言のように語り続けていた。しかし、晴美の忍耐はすでに限界に達していた。

彼女は勢いよく身を翻し、雨子を見据えた。その瞳の奥には、抑えきれない冷ややかな嫌悪が宿っている。「藤原さん、よければ上で話しませんか?」

雨子の目に一瞬、策略がうまくいったような鋭い光が走った。だが顔には、相変わらずの無邪気で何の悪意もないような表情を浮かべ、うれしそうにうなずいてみせた。

「ええ、ちょうど私もここは少し息苦しいと思っていたところよ」

二人は、一人が先に立ち、もう一人が後に続くように、比較的静かな二階の休憩スペースへと向かった。

立ち止まった途端、雨子のほほえみがひっそりと引っ込んだ。彼女は晴美を見つめ、それまでになく確信に満ちた口調で言った。

「妊娠しているんでしょ、あなた?」

晴美の心臓が高鳴り、思わず両手が腹部に当たった。

まさか雨子がこの秘密を知っているとは、夢にも思わなかった。

彼女は唇を固く結び、肯定も否定もせず、ただ相手を警戒するように見つめていた。

その無意識のしぐさを目にした雨子は、自分の推測が正しかったことを確信した。

彼女は一歩前に進み、声をひそめて、哀れみを含みつつも、むしろ脅しに近い口調で言った。

「小山晴美、この子が無事に生まれてくると思う?

小山おじさんと修二さんが、こんな『予定外』の出来事を許すと思う?」

晴美の顔から一瞬で血の気が引いた。

雨子の言葉は、晴美が最も恐れ、最も悩んでいることを、鋭く突いた。

そのとき、雨子の目の端に、廊下の奥からゆっくりと歩いてくる修二の姿が映った。

彼女の顔は一瞬でまたあの無力な表情に戻り、晴美に向かってほほえみかけた。

そして晴美が反応する間もなく、彼女は鋭く叫び声を上げると、その場から後ろに倒れ、階段口で大きく転んだ!

「きゃっ!」

鋭い悲鳴が瞬時に階下の人々の視線を引きつけた。

修二はすぐさま駆け上がり、床に倒れたまま痛々しく身を震わせる雨子を抱き起こした。

「どうしたんだ?」

雨子は修二の胸に寄りかかると、たちまち目尻を赤く染めた。涙に曇った瞳を上げ、呆然と立ち尽くす晴美を一瞥しながら、声を詰まらせつつも思いやるような口調で言った。

「修二さん……晴美ちゃんを責めないで。きっと、うっかり私を押してしまっただけよ。それより、私が足元をふらつかせたからだわ……」

一瞬にして、すべての視線が晴美に注がれた。

修二は顔を上げ、複雑な表情で晴美を見つめた。しかし、大勢の人の面前、しかも藤原家の年長者たちが見守る中、彼は藤原家との表面上の和を保たなければならない。

深く息を吸い込み、冷たく沈み込んだ声で、抗いようのない命令の響きを帯びて言い放った。「晴美、さっさと雨子に謝れ」

晴美は、懐かしくもどこか見知らぬ彼の顔を見つめ、胸の奥が一瞬で凍りつくのを感じた。

かつて彼は、今の雨子を守るように、彼女を自身の背後に引き寄せ、彼女を少しでも辱めようとする者があれば冷たく睨みつけ、そして笑顔で彼女を慰めていたものだ。「俺の晴美を、誰にも傷つけさせはしない」

けれど今、彼は婚約者のため、小山家のために、迷うことなく彼女を疑う側に立ち、敵となってしまった。巨大な理不尽と鋭い痛みが、彼女の全身を飲み込んだ。

晴美は修二を見つめて、ふっと笑った。その笑みは虚ろで、冷たい氷のようなものだ。

驚きのあまり無意識に伸ばしていた、雨子の手を掴もうとした腕を、彼女はゆっくりと引き戻した。

そして、誰も――修二も雨子も――予想していなかった視線の中で、彼女は一歩前へ進み、足を振り上げ、まだ床に座り込んでいる雨子の腹部めがけて、勢いよく蹴りつけた。

「きゃっ!」

その瞬間、雨子の声には、紛れもない恐怖と驚きが混じっていた。彼女の身体は階段を転がり落ち、無様な姿をさらけ出した。

場内は一瞬にして水を打ったように静まり返った。

晴美は階段口に立ち、高みから、下で転び、髪を乱してもはや完璧な仮面を保てなくなった雨子を冷ややかに見下ろしていた。それから、手につくはずのない埃を軽く払うと、何事もなかったかのように雨子へと謝った。

「ごめんなさい」

そう言い終えると、晴美は顔を真っ青にし、瞳を震わせている修二へと視線を向けた。首をかしげた彼女の目には、すべてを諦めた後の静けさと、どこか挑むような光が宿っていた。

「これで満足?お兄ちゃん」

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