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第7話

Author: クレヨンおじさん
修二は驚愕のあまり目を見開いて、慌てて階段を駆け下り、雨子を支えた。

顔を上げ、信じられないという目で晴美を見つめるその様は、まるで初めて彼女の真実を知った瞬間のようだ。

腕の中の雨子が苦痛にうめく声で、彼は我に返った。周囲の視線を一身に浴びながら、彼は表情を硬くして、泣きじゃくる雨子を抱き上げ、さっと会場から立ち去った。

晴美はその場に立ち尽くし、二人の背中が遠ざかっていくのを黙って見送った。

胸の奥では、鈍器で何度も叩かれるような痛みが広がり、極限まで疼ききった末に、ただ麻痺した虚しさだけが残されていた。

彼女は口元を歪ませ、泣くよりも痛々しい笑みを浮かべると、背筋を伸ばし、好奇の視線を一心に浴びながら、この息苦しい宴会場を振り返ることなく後にした。

翌日、香江市の主要ゴシップ誌の一面を飾ったのは、【小山若様の婚約者、パーティーで受けた屈辱!養女・小山晴美の傲慢無礼な振る舞い】という見出しだった。

添えられた写真には、階段から無様に転げ落ちる雨子と、階段の上で無表情に立つ晴美の姿が映っていた。

悟はそのニュースを目にした瞬間、怒りに顔を真っ赤にし、帰ってきた修二の目の前にスマホを叩きつけた。

「お前の可愛い妹がよくやってくれたな!小山家の面目は丸潰れだぞ!」悟は怒りで肩を震わせながら叫んだ。

「さっき藤原家から苦情の電話があった!結婚式はすぐに前倒しだ!三日後に執り行う!そして晴美の件は……」その目が冷たく光った。

「お前が直接、藤原家へ連れて行け。雨子と藤原家の目上の方に土下座して詫びを入れさせろ。誠意を見せるんだ。藤原家の怒りが収まるまでな!」

修二は眉間に深い皺を刻み、必死に制止しようとした。「父さん、晴美はただ一時の衝動だった。藤原家に送るなんて、悠斗の方が……」

「衝動だと?俺は、あの子がわざと藤原家との政略結婚をぶち壊そうとしているとしか思えん!」

悟は鋭い声で彼の言葉を遮ると、濁った瞳を鷹のように光らせた。

「修二、会社の現状を忘れるな!いくつもの大型プロジェクトが藤原家の投資にかかっているんだ!たかが一人の女のために、小山家の未来すべてを棒に振るつもりか!」

「小山家の未来」――その一言が、重い山のように修二の胸にのしかかり、彼のあらゆる抵抗と反論を押し潰していった。

彼の脳裏に浮かんだのは、書斎に積まれた危うい財務報告書、そして取締役会で虎視眈々と機会を狙う株主たちの顔だった。

彼は目を閉じ、喉仏が苦しげに動く。再び目を見開いたとき、その奥にあったのは疲れ切った諦めだけだった。

「……わかったよ」

その夜、郊外の別荘。

修二は珍しく自らキッチンに立ち、丁寧にキャンドルディナーを用意していた。

揺れる灯りが彼の端正な横顔を照らすが、眉間の陰りだけはぬぐい去ることはできなかった。

彼は晴美の椅子を引いて、不自然なほど優しい声で言った。「晴美、こっちにおいで。君の好きなものばかりだよ」

テーブルに並ぶのは、彼女の大好物であるフォアグラとミディアムウェルのステーキ。晴美はふと、初めて洋食を食べた日のことを思い出した。

あの時、彼女はナイフとフォークの持ち方さえ間違え、刃がお皿に当たってキンと耳につく音を立てた。それでも彼は一瞬も嫌な顔を見せず、自分のステーキを切り分けてそっと差し出した。その目には、彼女を包み込むような温かな笑みが浮かんでいた。

「俺の晴美は、俺が守る」

だが今、同じ料理、同じ人間でありながら、すべてが変わってしまった。

修二はステーキを切りながら、何げなく低く口を開いた。

「父さんのご意向だ。しばらく藤原家で過ごしてくれ。気分転換だと思って……」

晴美の手がナイフとフォークを握ったまま凍りつくように止まり、ゆっくりと顔を上げて彼を見つめた。その瞳は底なしに静かな沼のように澄み切っていた。「気分転換?それとも……お詫び?」

修二はその視線を避け、ナイフとフォークを置いて、彼女の手を取ろうとした。

「晴美、言うことを聞いてくれ。ほんの少しの間だけだ。約束する、三日だけ!

三日後には必ず迎えに行く。雨子との結婚式が終わって、状況が落ち着いたら……」

ガシャッ!

言葉が終わらないうちに、晴美は勢いよく手を振り上げ、食卓を丸ごとひっくり返した!

繊細な薄手の陶器の皿が砕け、料理と赤ワインが床一面に飛び散った。高価なカーペットはたちまち染みだらけになり、その散らかった光景は、まるで二人の崩れかけた関係そのものを象徴しているかのようだ。

「迎えに来るって?それで?また、あなたの秘密の愛人としてこっそり生きろって?雨子と仲睦まじく並ぶあなたを、じっと見てろって?」

晴美は立ち上がり、修二を見下ろした。目の縁は真っ赤に、なのに涙は一滴もこぼれない。

「修二、あなたの約束なんて、もう私には何の値打ちもないわ!私をあの時欺いたくせに!」

その決意に満ちた彼女の姿に、修二の胸の奥で激しい恐怖が込み上げてきた。彼は勢いよく立ち上がり、足元の散らかった食器も気にせず、晴美を力任せに抱きしめた。腕に全身の力を込め、まるで彼女を自分の骨肉に溶け込ませたいかのように――

「晴美……もう一度だけ俺を信じてくれ。これが最後だ。俺たちの未来のために、あと少しだけ……耐えてくれないか?」

彼の声はわずかに震えていた。まるで幼い頃、彼女が病に伏せた時、ベッドの傍でどうすることもできずに見守っていたあの時の彼の姿そのものだった。

けれど、思い出が甘ければ甘いほど、今この瞬間が残酷に感じられる。

晴美は修二の腕の中で、身体を強張らせたまま、何の返事もしなかった。

彼の腕の温もりをはっきりと感じながらも、全身が凍りつくように冷たかった。

私たちの未来?そんなもの、もう存在しない。

彼女はかすかに笑った。その笑いには尽きることのない悲しみと嘲りが滲んでいた。

修二はもう彼女の瞳を見つめることができない。ほんの一瞬でも見てしまえば、必死に積み上げてきた決意が崩れ落ちてしまう気がした。

彼は深く息を吸い込み、扉の外に向かって低く言い放った。「誰か来い!」

黒いスーツを着た二人のボディーガードがすぐに入ってきた。

「お嬢様を車に乗せてくれ」彼はそっと目を逸らすと、冷たく硬い声で指示した。

晴美は抵抗することもなく、ボディーガードに両脇を軽く支えられ、甘さと痛みを無数に刻み込まれた檻のような場所から静かに連れ出されていった。

半ば強引に車の後部座席へ押し込まれたとき、彼女は異様に平静なまま、まだ平坦な自分の下腹にそっと手を当てた。

晴美はふと、昼間に母から届いたメッセージを思い出した。

【明日の午後、施設の前で――香江市を離れ、遠くへ逃げよう】

心の中にかすかに残っていた未練と迷いは、この瞬間、完全に霧のように消え去った。

心が死んだ後、かえってこれまでにない解放感に包まれた。

彼女は窓の外を流れる夜景を見つめ、そっと目を閉じた。

頭の中では、もう冷徹な計算が動き始めている。藤原家に着いた後、どうすれば最も良いタイミングを見計らって、この牢獄から完全に抜け出せるか――ただそれだけを考えていた。
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