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第1175話

Author: 栄子
音々の言葉を聞き、浩平は電話での詩乃の返事を思い出していた。

彼女の声は、少しも怒っているようには聞こえなかった。

だから浩平は思ったんだ。詩乃は平気なふりをしているだけで、本当は気にしているんじゃないかって。

そんな疑問を胸に、彼は新人女優である蛍を連れて町に戻った。

実は、蛍を紹介するとき、浩平はわざと意地悪なことをしていた。

詩乃がどんな反応をするか、見たかったんだ。

でも詩乃は、いつも通り物分かりが良くて、とても自然に振る舞っていた。

朝ごはんの時も、ずっと話しかけてくる蛍を相手に、浩平は相槌を打ちながらも、詩乃の様子を横目で窺っていた。

すると、詩乃は静かにうつむいて、ご飯を食べるだけで、その姿は、いつもと何も変わらなかった。

そして食べ終わると、彼女は「ごちそうさま」と言って立ち上がり、部屋に戻っていった。

そこで、浩平は詩乃の顔色が悪いのが気になり、心配になって後を追うと、彼女がまた吐いているところだった。

血の気のない顔でベッドに横たわる詩乃。目を閉じて何も話そうとしない姿に、浩平の胸は締め付けられた。

その瞬間、浩平は後悔した。

詩乃のつわりがひどいと知っていたのに。なのに、わざわざこんな時に彼女を試すようなことをしてしまった。

そこで、浩平は、自分がなんて馬鹿なことをしたんだと、初めて思った。

そして今、隠れて泣いているのに、無理して気丈に振る舞う詩乃の姿が、浩平の胸をさらに強く締め付けた。

彼はたまらなく、後悔した。

「詩乃、あなたが自分に自信を持てないでいるのは分かってる。そして、蛍が綺麗な顔をしているのは否定しない。俺が彼女を選んだのは、確かに顔が理由だ」

その言葉を聞いて、詩乃の心に残っていたわずかな望みは、完全に絶たれた。

やっぱり、蛍の顔が原因だったんだ。

浩平の、想い人にそっくりな顔が。

詩乃は浩平を見つめ、布団を握りしめる指先が、抑えようもなく震えていた。「お兄さん、分かった。正直に話してくれてありがとう。でも、木下さんがあなたにとって特別だって知りながら、私も平気なふりをしてあなたと暮らし続けることはできない」

それを聞いて、浩平は詩乃を見つめ、怪訝な顔で尋ねた。「どういう意味だ?」

すると、詩乃は息を深く吸い込んで、言った。「お兄さん、離婚しよう」

そう言われて、浩平はきょとんと
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