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第34話

Auteur: 栄子
誠也は片手をポケットに突っ込み、伏し目がちに遥を見ながら静かに言った。「いいから、お前は早く帰って休んでろ」

言葉を言い終わるや否や、彼は車のドアを閉めた。

ドアが閉まる音は、遥の心を乱し、彼女は数秒間、茫然としていた。

車が動き出すと、遥は窓を開けて誠也の姿を探したが、エレベーターに乗り込んでいく後ろ姿が見えただけだった。

「清彦、止めて」

清彦は長年誠也の専属秘書を務めているため、彼の気持ちを察するのが得意だった。

そして、今夜の誠也は機嫌が良くないことが、明らかだった。

清彦はルームミラー越しに遥を一瞥し、「桜井さん、社長に必ずあなたを送り届けるようにときつく言われております。ですので、どうか私の立場もお察しいただけると助かります」と言った。

それを聞いて、遥は俯き、静かに両手を握りしめた。

......

派手なネオンが煌めく個室の中、華奢な体型の綾は、一人ポツンと立っていた。

彼女の前のテーブルには、10杯もの度数の高い酒が並んでいる。

焼酎、ウイスキー、テキーラ......あらゆる種類が揃っていた。

「これを全部飲んだら、話を聞いてやってもいいぞ」

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