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第510話

Auteur: 栄子
彼は綾が以前言った言葉を思い出した――

「誠也、優希が怒っているのか甘えているのか、あなたにはわかっていない」

ということは、今、娘は甘えているのか?

誠也には確信が持てなかった。

しかし、理解しようと努めなければいけない。

父親として当然の責任だ。

誠也は、可愛らしい娘を見つめ、優しい声で言った。「優希、お父さんは抱っこしてあげたいんだけど、いいかな?」

優希は瞬きをした。彼は子供をあやすのが本当に下手なんだなぁ、と改めて思った。

だけど、仕方ない。自分の父親だもの、自分で教えなきゃ。

「お父さん、抱っこしてほしいなら、まず可愛いって褒めてくれないと」

素直に教えを受け入れ、誠也は言った。「優希は本当に可愛いね。抱っこしてもいいかな?」

「いいよ!」

優希は両腕を広げた。

誠也の黒い瞳に喜びの色が浮かんだ。それと同時に、これが子供をあやす方法なのか、と少し戸惑いも感じていた。

彼は娘を抱き上げた。

父親の膝の上に座った優希は、小さな鼻をひくつかせた。彼の体から、かすかに漢方の香りがするを感じた。

要の漢方診療所では、こういう薬を沢山扱っているので、この
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