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第708話

Penulis: 栄子
しかし、誠也は後悔していなかった。

十年どころか、一生かけても構わないと思っていた。

彼は綾の手を離し、彼女の顔の涙を拭った。

「綾、これは俺自身の決断だ。十年かけて二人の子供に両親が揃った人生を与えられるなら、安いものだ」

そうはいうものの、綾にもどうすることもできなかった。ただ受け身のまま、このような結果を受け入れるしかなかった。

「俺はお前を助けたかった。新井さんは名ばかりの夫が必要だった。こうなったのは互いに必要があったからだ」誠也の声は沈んでいた。

「綾、自分を責めるな。まして俺に引け目に感じる必要もない。本当はこんなことはお前には知られたくなかった。しかし、もう知ってしまった以上、これは定められた運命だと受け入れて欲しい。これが仮に輝や石川さんだって、俺と同じ決断をしたはずだ」

綾はじっと彼を見つめた。

彼は自分をあの二人を比べるなんて......

そんなの比べられるはずもないでしょ?

そんな風に比べることなんでできるはずないのに。

そう思うと、綾はひどく無力感に襲われた。

運命に押し流され、抗えない無力感が彼女を包み込んだ。

彼女は疲れていた。

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