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第847話

Author: 栄子
安人は聞き分けがいいから母親に甘えたりしないけど、そう言ってもらえて嬉しかったみたい。

まさに戦わずにして勝ったという感じだ。

小さな男の子は綾の手を握り、笑った。その顔は誠也にそっくりだった。「母さん、安心して。僕はお父さんみたいに母さんを心配させるようなことはしないよ」

誠也は絶句した。

綾は息子の頭を撫でた。「やっぱり安人はいつもお母さんを安心させてくれるね」

安人は綾の手を握りながら、遠くの方を見た。

「母さん、輝おじさんが逃げたよ。中島おばさんが追いかけてる!」

綾は微笑んだ。「うん、二人は用事があるみたい。私たちだけで先に帰ろう」

「うん」安人は小さな眉をひそめた。「今、中島おばさんが輝おじさんに責任取ってって言ってたみたいだけど、母さん、どうして責任取らないといけないの?」

綾は少し困った。子供はまだ小さいし、あまり詳しく説明できない。

「それはお母さんにもよく分からないの。帰ったら自分で聞いてみて」

安人は頷いた。「うん、分かった」

綾は誠也を見た。「帰ろうか」

誠也は頷き、娘をスーツケースに乗せた。

優希はスーツケースの取っ手を握り、小さな足をぶらぶらさせていた。

男は片手でスーツケースを握り、もう片方の手で綾の柔らかな手を握りしめた。

綾は片手で誠也の手を握り、もう片方の手で息子の手を引いていた。

4人は空港の駐車場へ向かった。

綾は顔を少し上げて、横にいる男を見た。

誠也も彼女の方を向いて、深く落ち着いた目線を送りながらで言った。「綾、帰ろう」

綾は優しく微笑んで応えた。「ええ、帰ろう」

......

輝は空港の外に飛び出し、タクシーの後部座席に飛び乗ると、勢いよくドアを閉めた。

「早く行ってください!」

「どこへ行きますか?」

「どこでもいいから、とにかく早く行ってください――」

しかしそう言い終わらないうちに、ドアが開いた。

音々がそこに立っていた。

輝は唖然とした。

くそっ、この女は瞬間に移動できるのか?

「岡崎さん、男のくせに、私を見て逃げるなんて、そんなに私が怖いんですか?」

音々は身を屈めて車内に入り、ドアを閉めた。

輝はくるりと向きを変えて、反対側のドアを開けようとした。

「どこへ行くんですか?!」

音々は輝の襟首を掴んだ。「ちゃんと話し合うか、ここでボコボコにさ
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