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第93話

Author: 栄子
「ワン!」子犬は元気よく吠えた。

輝はわざと、「『ワンちゃん』でいいんじゃないか?」と言った。

子犬は輝を見て、「クンクン」と悲しそうに鳴いた。

輝は驚いて、「マジで?もしかして、本当に言葉を理解してるのか?」と言った。

「ゴールデンレトリバーは賢い犬種ですから」綾は言った。「あなたの付けた名前は気に入らなかったみたいです。『縁ちゃん』の方が、好きみたいですね」

「ワン!」

輝は、綾の言葉に反応する子犬を見て、「まいった!君は、まさに縁ちゃんにとって運命の飼い主だな!」と言った。

綾は子犬を見ながら、微笑んだ。数日ぶりに、彼女の目に光が宿った。

綾がケージを開けようとした、その時、外から聞き覚えのある声が聞こえてきた――

「母さん!」

綾は動きを止めた。

アトリエのドアは開いていたので、誠也が悠人を連れて入って来た。

「母さん!」

綾は立ち上がり、ペットケージを抱えて走ってくる悠人を見た。

悠人は毛糸の帽子をかぶっていて、顔色も良かった。怪我の方は、もう大丈夫そうだった。

輝は立ち上がり、片手をポケットに突っ込みながら、「また、あいつらか」とため息をついた
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