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第4章:離婚届

Auteur: Noona Aurora
last update Date de publication: 2026-09-06 14:05:07

シエナは、息を少し弾ませてドアのしきいに立つダミアンを見つめた。

たちまち小さな部屋の中に緊張感が満ちた。シエナは机の上の書類や足元の段ボール箱を隠そうとはしなかった。彼女は手にしていた本をゆっくりと置くと、真っ直ぐに立ち上がって夫と対峙した。

「背後でなんてしていません、ダミアン」

シエナの口調は、平坦で落ち着いたトーンを保っていた。

「明日は私たちの契約の最終日です。私はただ、一年前から書面で合意していたことを準備しているだけです」

ダミアンは一歩前へ踏み出し、二人の距離を縮めた。シエナの顔に浮かぶ疲労の色と、それと同時に見える固い決意の表情がはっきりと見て取れるほどだった。

「俺たちの合意は、互いの目的が達成された後、円満に別れることだったはずだ」

ダミアンの声は低く、鋭かった。

「だが、ここ数日の君の態度は、まるで俺が悪者であるかのようだ。家で閉じこもり、俺の家族を無視し、挙句の果てに俺たちが弁護士を交えて話し合う前にこんな書類を用意しているなんて!」

シエナは小さく笑い声を漏らした。ダミアンの耳には、あまりにも苦々しく響く笑いだった。

「話し合う? あなたの弁護士と?」

シエナは恐れることなくダミアンの瞳を見つめ返した。

「何のためにです、ダミアン? あなたの弁護士が、私がブラックウェル家から慰謝料や財産分与を一切請求しないよう新しい条項を作成するためですか?」

シエナの視線が一瞬だけ鋭さを増し、そして再び言葉を続けた。

「心配なさる必要はありませんわ。これをご覧なさい」

シエナは机の上のファイルを取り、ダミアンの胸元へ差し出した。

「すでにサインしてあります。そこにはっきりと書かれていますでしょう。私は結婚後の手当や権利をすべて放棄すると。ブラックウェル家の土地を1平方メートルたりとも求めませんし、先日の資産提携書類で私がお手伝いしてあなたが獲得したモール事業の利益からも、1セントたりとも受け取りません。私は、最初にここへ来たときに持って来たものだけを持って出て行きます」

ダミアンは一枚の紙を見つめた。そこにはシエナのサインが、几帳面かつ毅然と記されていた。

インクの筆跡に迷いはなかった。それを見た瞬間、ダミアンのみぞおちに突然ぽっかりと空虚な感覚が押し寄せた。ビジネスの場で常にすべてをコントロールすることに慣れていた男が、今、その支配権を完全に手放してしまったかのように感じていた。

「なぜそれほど焦るんだ?」

ダミアンが尋ねた。自分でも気づかないうちに声が和らぎ、そこには覆い隠しきれない焦燥の色が滲んでいた。

「母親の家は戻ってきたんだろう。君の財団の立場だって……君が望むなら、母さんに話してチャリティーイベントに戻すよう取り計らうこともできる」

「必要ありません」

シエナは素早く言葉を遮った。

「お義母様の仰る通りです、ダミアン。私はあなた方の世界と同等ではありません。メディアの前で歩くとき、足に靴擦れができようとも、見栄えを良くするためだけにサイズの小さな靴を履くフリをするのは、もう疲れましたの。かざりものとしての私の任務は終わりました。明日の朝8時で、私の契約は丸一年を迎えます」

ダミアンは床の段ボール箱に視線を落とした。

中には数冊の古い本、シエナの母の形見である真珠のネックレス、そして彼と結婚する前にシエナが買った数着のシンプルな服が入っているだけだった。

豪華なドレスや、フォーマルなイベントのために彼が買い与えたダイヤモンドのジュエリーはすべて、主寝室のクローゼットに几帳面に保管されたままだった。シエナは本当に何一つ手を触れていなかったのだ。

「そんな家族の状況で、ゼロから生活をやり直すのが簡単だとでも思っているのか?」

ダミアンは自尊心と未練を隠しながら、シエナを引き留めるために再びビジネスの論理を持ち出そうとした。

「ブラックウェル・グループの後ろ盾がないと知れば、君の父親も継母も黙っちゃいないだろう。ゾーイだって、この機会を利用して君を再び陥れようとするに決まっている」

シエナは微笑んだ。今回は、新しく芽生えた自信に満ちた笑みだった。

「分かっています。彼らと向き合うのは難しいでしょう。でも少なくとも、そこでは私自身のために戦うことができます。自分の家族に尊厳を踏みにじられているとき、振り返りもしない男の名声を守るための盾になるよりは、ずっとマシです」

その言葉は、ダミアンの顔面に真っ直ぐ突き刺さった。あのパーティーの夜の記憶が、彼の脳裏で再現された。部屋の隅からシエナが助けを求める視線を送っていたとき、自分は大臣に挨拶するために顔を背けることを選んだのだった。

ダミアンは立ち尽くし、突如として言葉を失った。野心家であるその男は、シエナの言葉に反論するための論理的な反論を何ひとつ見出せなかった。

シエナは再びかがみ込むと、最後の本を取り出して段ボール箱に入れた。

「もう遅いですわ、ダミアン。お休みになってください。明日はブラックウェル・グループにとって大切な日であり、私にとっては新しい日なのですから」

ダミアンは静まり返った部屋の中央でしばらくのあいだ呆然と立ち尽くしていたが、やがて胸を焼くような複雑な感情を抱えたまま、踵を返して外へ歩き出した。

彼はまだ、これは単なる「ルーティンへの依存」の問題に過ぎないと自分に言い聞かせていた。単に手厚く世話されることに慣れていただけだ、それ以上でもそれ以下でもない、と。

明日、あの女が去れば、すべてが元通りになるはずだ。固い否認の中で、彼はそう思おうとしていた。

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