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第531話

Author: 風羽
午後五時、設計院の科室が退勤時間を迎えた。

春奈が真っ先に立ち上がり、スマホを掲げて同僚たちに言う。

「今夜は茉莉のおごりで【雅苑】よ!先に着いた人は、路地の椅子でも拭いて待っててね。特に男性陣、女の子に気を遣ってあげなさいよ」

その物言いは悪意に満ちていた。

笑い声を上げる者もいれば、同情の眼差しを茉莉に向ける者もいる。

春奈の恋人は隣の科室の課長で、普段から横柄な態度で知られていた。

茉莉は入所わずか一年で大賞を受賞した。それが気に食わない春奈は、あの手この手で彼女を困らせている。茉莉が耐えられるかどうか——以前には嫌がらせに耐えきれず、涙ながらに辞めていった女性もいたほどだ。

だが茉莉は涼しい顔で言った。

「じゃあ、六時に現地集合で」

背を向ける彼女に、春奈は冷笑を洩らす。

「見栄っ張りめ」

噂では茉莉は既婚だというが、春奈は信じていなかった。

——あんな計算高い女が、早々に結婚なんてするはずがない。どうせ金持ちを捕まえようとしているに違いない。

……

茉莉が車に乗り込むと、ちょうど琢真から電話が入った。

自宅に戻った彼は、娘の真宝を腕に抱き、母を恋
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