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第577話

Author: 風羽
冬の陽射しが三人の肩に落ちる。

澄佳は夫の冷たい視線に身を竦ませ、低く呟いた。

「翔雅、そんな言い方しないで……私は、ただ……」

愛されぬ悔しさと、現場を見られた痛みに押され、口をついて出た言葉は刃のように鋭かった。

「情に流された、だけ?」

翔雅は嗤う。

「澄佳……そんなに待てないのか?せめて離婚してから次を探せばいいだろう。元カレとヨリを戻すにしても、この結婚に対する最低限の礼儀くらいはあるはずだ」

——情に流された。

——待ちきれない。

——次を探す。

言葉のひとつひとつが毒のように突き刺さる。

澄佳は視線を落とし、かすかに震える声で問う。

「翔雅……あなたは、私をそんなふうに見ていたの?」

「じゃなきゃ何だ?じゃあ今ここで何をしていた?」

智也が口を開きかけたが、澄佳が制した。

「あなたには関係ないわ。これは夫婦の問題」

智也は言葉を飲み込み、その場を去った。

残された澄佳は、空を仰ぐ。青は澄み切っているのに、心は押し潰されそうだった。

「じゃああなたは?昨夜、香坂と会っていたんでしょう。酒を飲み、シャツに口紅をつけさせたんでしょう?翔雅、どうして自分は許されて、私は許されないの?」

彼は冷えきった声で答えた。

「その通りだ。だから、もう終わりだ。離婚しよう。いつでもいい」

「じゃあ、今」

互いに惹かれ合っていなければ、スキャンダルをきっかけに結婚などしなかったはずだ。

それでも今、二人は容赦なく相手を傷つけ、最も残酷な言葉を投げ合った。

かつての温もりは、一瞬にして跡形もなく消えた。

……

その日の午前中、二人は離婚した。

結婚が唐突だったように、別れもまたあまりに唐突。

互いに大人として責任を取り、両家の親には告げぬまま。

離婚届を手にしたとき、それぞれの胸に残ったのは怒りと、言葉にならない寂しさだった。

区役所を出ると、翔雅は努めて紳士的に言った。

「送ろうか。両親には俺から説明する」

「いいえ、結構」

澄佳は黒塗りの車へ向かい、振り返って告げる。

「別荘の荷物は後日人をやって運ばせるわ。財産分けも必要ないでしょう」

翔雅は車のドアを開けながら答えた。

「わかった。俺はしばらくマンションにいる」

窓が閉まる瞬間、澄佳の瞳が潤んでいるように見えた。

だが翔雅は首を振る。

——気
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