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第2話

作者: 涼木
家を失った私は、コロを連れて深い山へと逃げ込んだ。

だが、それでも村人たちに見つかってしまい、コロは私を守ろうとして村人たちに殴り殺された。

私はコロの首輪を抱き締め、胸が張り裂けるような思いで泣き叫んだ。

あの頃の私は、両親もおらず、まだ16歳の少女だった。

雪奈は巨大スクリーンに映し出された、涙で顔をぐしゃぐしゃにして泣く私を見つめ、冷笑を浮かべた。

「遥、こんな結末になったのは、自業自得だとは思わないの?

あなたが犯人をかばわなければ、みんなだってこんな酷いことはしなかった。それでも自分が被害者だなんて言うつもり?

この世界で一番同情される資格がないのは、あなたよ!犯人をかくまった犯罪者!全部、自分で招いた結果じゃない!」

その言葉に、周囲の群衆も一斉に声を荒らげた。

「ほんと図々しい女だな!よくも自分がかわいそうなんて言えるもんだ!」

「こんな悲惨な過去を見せて同情でも買うつもりか?笑わせるな!犯罪者をかばった時点で共犯も同然だ!地獄へ落ちろ!」

「どの面下げて悲劇のヒロインぶってるんだ?美月の家族は崩壊して、娘は死に、母親は正気を失ったんだぞ!あの人たちより不幸な人間がどこにいる!」

その時、不意に巨大スクリーンから少女の弾むような笑い声が響いた。

「美月!待ってよ、速すぎるってば!」

画面には、まだあどけなさの残る美月の笑顔が映し出されていた。

一面の銀世界が広がる雪山で、美月は満面の笑みを浮かべながら私のほうへ駆けてくる。

「えいっ!」

そう言って、彼女は楽しそうに雪玉を私へ投げつけた。

「美月……!」

美月の父・小林浩一(こばやし こういち)は号泣しながらスクリーンへ駆け寄った。

画面の中で花が咲くように笑う娘の姿を見つめ、その場で声を上げて泣き崩れる。

十年前、美月が命を絶ってからというもの、それまで明るく朗らかだった彼は、一夜にして白髪交じりになってしまった。

それ以来、彼は一日も欠かさず警察署へ通い、「犯人は捕まったのか」と問い続けてきた。

だが、返ってくるのは、警察官が力なく首を横に振る姿ばかりだった。

あの頃、この村には防犯カメラなどなく、私の家も人里離れた一軒家だった。

あの夜、一体誰が美月の後をつけていたのか――誰にも分からなかった。

そして、その真実を知る唯一の人間が、私だった。

雪山でひとしきり追いかけっこをして遊んだあと、私は近くの小さな神社の前に立ち、そっと願い事をした。

「神様、どうか私の友達がずっと元気で幸せでありますように。そして、私たちの友情がいつまでも続きますように……」

両手を合わせ、目を閉じて祈る私の姿を見た雪奈は、ついに怒りを抑えきれなくなった。

彼女は足早に歩み寄ると、怒りに震えながら私を指差し、大声で叫んだ。

「遥、この偽善者!恩知らずの嘘つき!よくも平気な顔で、私たちの子供の頃の思い出なんか振り返れたわね!見てるだけで吐き気がする!

十年間、一度たりとも真実を口にしなかったあなたに、私たちの親友を名乗る資格なんてあると思ってるの!」

案の定、次の場面では、私が美月からもらったマンゴーをこっそり捨てている映像が映し出された。

それを見た群衆は、一気に騒然となる。

「うわっ、もらった食べ物を陰で捨ててたのかよ!」

「青木さんも美月ちゃんもあんなに優しくしてくれてたのに、友達にあんな態度を取るなんて!ただの自己中で冷血な女じゃないか!」

私が重度のマンゴーアレルギーであることを、雪奈は知っている。

それでも彼女は何も説明せず、群衆の嘲笑を黙って聞いていた。

「こいつも、青木さんが大富豪になって復讐しに来るなんて、夢にも思わなかっただろうな!」

「青木さん、早く続きを見せてくださいよ!犯人の顔を見るのが待ちきれません!」

罵声と催促の声が飛び交う中、巨大スクリーンに映し出される記憶は、再び別の場面へと切り替わった。

スクリーンの中から、雪奈の悲痛な叫び声が響き渡る。

「美月!嘘でしょ!」

それは、川から美月の遺体が引き揚げられた日の記憶だった。

冷たい雨が静かに降り続く中、私と雪奈は美月の冷たくなった亡骸にすがりつき、胸が張り裂けるような思いで泣き叫んでいた。

水に浸かっていた彼女の体はひどく膨れ上がり、氷のように冷たく硬くなっていた。

私の記憶にある、おしゃれが好きで、いつも笑顔だったあの美月とは、まるで別人のようだった。

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