お漏らししてしまったのに、そこに触れてこない奏芽さんを見て、すごく気を遣わせてしまっているという思いがどんどん大きく膨らんで。
恐る恐る手を顔から下ろして奏芽さんを見詰めると、粗相で奏芽さんの手を汚してしまったことを謝ろうと深く息を吸った。
そんな私を落ち着かせるように、奏芽さんが先に口を開く。
「勘違いしてるかも知んねぇから一応言っとくけどな――」
奏芽さんが私の濡れそぼった下肢に優しく触れながら言うの。
「これ、失禁したとかじゃねぇから」
言われて、思わず「えっ?」と声を出してしまって、奏芽さんに「やっぱそう思ってたか」って小さく笑われてしまった。
「違う、んです……か?」
お漏らしじゃない?
だとしたら……何なんですか?聞きたいけれど恥ずかしくて口にできない。
も、もしかしたら……おしっこよりもっといけないものかも?とも思ってしまう。
「「むしろ俺、凜子の
言って、
色んな気持ちが一気に込み上げてきて、思わず彼の名前を呼んだ私に、奏芽さんが言った。
「尻の下、冷たいだろ。俺のと交換しような?」 その言葉で、私は自分だけが前を肌蹴られてほぼ全裸で、奏芽さんは今の今までバスローブをちゃんと着たままだったのだと改めて気付かされて、途端すごくすごく恥ずかしくなった。「起き上がれるか?」
奏芽さんに支えられるように
「そっか、じゃあ、湯から出てここに座って?」 シャワーを手にして壁に面した浴槽の縁を指さすと、壁面にお湯を掛けて冷たくないようにしてくださいながらそう言われて、私はさすがにお湯から出てしまうことに躊躇いを感じて戸惑ってしまう。 「あ、あのっ、でもっ」 「イヤは無し。さっき約束したよな?」 先刻奏芽さんがしたいようにしてもいいと言ってしまった時、そう釘を刺された。 でも、だからといってその言葉を受け入れるのは何だかやっぱり抵抗があって……オロオロと奏芽さんを見つめて困っていたら、「凜子はもう、全部俺のもの、だろ?」って、低めた声で甘えたように問いかけてくるとか……ずるい。 胸と下腹部が隠れるように手で覆いながら恐る恐る浴槽の縁に腰掛けたら、奏芽さんも浴槽内で立ち上がられて……お互い、所々にきめ細かな泡をまとわり付かせているのが、何だかやけにエッチに思えた。 いつものサラサラストレートのイメージと違って、濡れそぼった髪の毛をかき上げるように無造作に後ろへ撫で付けていらっしゃる奏芽さんのその頬が上気しているの、凄く色っぽい。 あの薄い唇で何度も口付けられたんだって思ったら、すごくドキドキしてしまった。 「凜子が今、何考えてるのか当ててやろうか?」 ソワソワと奏芽さんの顔から視線を外した私の頬にそっと手をかけると、奏芽さんが瞳を覗き込んでくる。 「――あ、あのっ」 それになんてお答えしたらいいのか分からなくて戸惑っていたら、頬に触れていた指先で唇を割り開かされて、 「キスしたい、だろ?」 つぶやくようにそう落とされてから唇を塞がれた。 クチュクチュと、艶かしい濡れた音とともに熱い舌を擦り合わせるようなキスをされて――。 「――俺も凜子の唇見てたらキスしたくなったから……お相子、な?」 口付けを解くと同時、口の端を濡らした唾液を親指の腹で軽く拭ってくださってから、奏芽さんがそう言ってニヤリと笑うの。 ずるいよ、奏芽さん。 そんな風に言われたら、否定できない。 *** 「なぁ凜子。凜子の身体中にさ、俺のだって印、残しても構わねぇ?」 ややして奏芽さんが、乳房を隠すように置いていた私の
お風呂は私が酔っていても入りたいと切望した、あの底面が色んな色に光るジャグジー付き浴槽。 奏芽さんがちゃんとスイッチを入れてくださっていて、お湯の中がほんのりカラフルに色めいていている。 ついでに私の恥ずかしさを緩和するためか、備え付けの薔薇の香りの泡入浴剤も投入してくださっていたから、お湯に浸かってしまえばお互いの身体はほぼ見えなくなるのも有り難かった。 なのに。 「あ、あのっ、奏芽さんっ、やんっ――」 シャワーで身体を洗い流してから、いそいそと湯船に逃げ込んだ私を、まるで逃さないとでも言うみたいに奏芽さんが後ろからギュッと抱きかかえてきた。 泡で見えないのが逆に仇になって、奏芽さんが水中で私のどこに触れようとしているのか、実際に触られるまで分からない。 それが余計に感度を高めるみたいで、さっきから私、お湯の中でゾクゾクさせられっぱなしで。 ゆるゆると腰のラインを撫でていた奏芽さんの手が、不意に胸に伸びてきて、背後から大きな手のひらで包み込むように膨らみ全体が覆われる。 なのに巧みに1番敏感な先端はわざと避けるように指の間から逃されて、もどかしくさに身体が震えてしまう。 「凜子、気付いてる? さっきからずっと腰動いてる」 笑みを含んだ声音でそう背後から囁かれて、胸を離れた指先が、お湯に濡れた私の髪の毛を耳に掛けて首筋をあらわにする。 そのまま耳朶を食むように「ね、凜子。どこに触れられたいか、素直に言ってみ?」と、言葉とは裏腹にどこか強請るような甘えた声を落とすの。 「っ、――ぜっ、たい、無、理ですっ」 そんな恥ずかしいこと、自分から言えるわけない。 それが分かっているくせに、意地悪をしてくる|奏芽《か
私にとって、髪の毛を人前でほどくことは服を脱ぐのと同じぐらい恥ずかしいことで。 幼いころから見苦しい姿だから人に見せてはいけないと刷り込まれてきた、束ねていない下ろし髪を大好きな奏芽さんに見せてしまうことに抵抗がないと言ったら嘘になる。 でも……奏芽さんには裸だって見られているのだから、髪をほどいた姿を見られたって平気。 きっと奏芽さんならば、私のみっともない姿だって受け入れてくださる気がするから。 「はい……」 未だ少し湿り気を帯びているように感じられる髪。 ちゃんと乾かしてから結ばなかったから、ほどいてみたらいつもより乱れてしまっているかもしれない。 三つ編みをほぐしたら、みっともなく散らし髪になっている可能性だってある。 「あ、あの……もし……」 見た目が悪かったらすぐにでも結び直しますので……。 そう続けようとしたら、奏芽さんがチュッと私の髪の毛に口付けて、スッとゴムを取り去ってしまう。 そうして私の髪の毛を優しくほぐしてくださった。 恥ずかしくて思わず視線を伏せた私のあごをそっととらえて上向かせると、「おさげほどいた凜子、すげぇ可愛いんだけど」って頬をなでてくれるの。 「あ、あのっ、でもっ」 髪の毛、ぐしゃぐしゃで汚かったりしませんか? 思うけど口に出来なくて言葉が続かない。 そんな私の頭を撫でながら「ほどいたトコ、誰にも見せたことない?」って聞いて荒らした。 私はちょっぴり考えて……「物心ついてからだと……奏芽さんで……2人目です」と答える。 途端奏芽さんが瞳をスッと眇めて、空気が少しヒンヤリとした。 ――え? どうして? ソワソワしながら奏芽さんを見上げたら、「なぁ、初っ端って……やっぱりあの幼なじみの男……?」って、どこか険の感じられる低い声音で告げてくるの。 私はその言葉にキョトンとしてしまう。 そこで初めて、奏芽さんが勘違いをなさっていることに気が付いた。 「あっ、ち、違いますっ。こんな恥ずかしい姿、のぶちゃんにも見せたことないですっ」 慌てて言ったら「え?」という顔をされて、 「だったら……」 誰?という表情をなさるのへ、私は思わず笑みが漏れて
結局しばらく休んでもなかなか動けるように――というか歩けるようになれなくて……。 脚の間にいつまでも奏芽さんを受け入れたままのような感覚が残っています、だなんて……恥ずかしくて言えないっ。 そうこうしているうちに、 「そろそろ、頃合いかな。行こうか」 って奏芽さんが言う。 こ、頃合いって何がだろう? それに。 「……い、行くって……どこへです、か?」 げ、現状で歩くのはすっごく難しいです、と思ってオロオロしたら、「風呂」とか。 え!? 「あ、あのっ。いつの間にそんな話になってしまったのでしょう?」 どうしよう!?って布団を引き上げるようにして潜り込んだら、そのまま布団で包まれて抱き上げられてしまう。 「さっき。――落ち着いたら一緒に風呂入ろうな?って誘ったら、凜子、うなずいたぞ? そろそろ湯も溜まった頃だと思うし……入ろうぜ?」 ミノムシ状態の私をお姫様抱っこしたまま奏芽さんがニヤリと笑って、私は布団をギュッと握り締めて真っ赤になる。 「そっ、そんなことっ」 「ありましたよ、凜子さん」 記憶にないですと言おうとしたら、まるでそれは許さないと言う風に即座に言葉を半ばでさらわれた。 「うーーー」 うなってみたけれど、ククッと喉の奥で楽しそうに笑われただけで、流されてしまう。 あーん、奏芽さん、手強い! 脱衣所に入るなり、そっと床に降ろされた私は思いのほか足に力が入らなくてふらついてしまう。 「ひゃっ」 小さく悲鳴をあげてよろめいた私を、奏芽さんがギュッと支えてくださって……その弾みに包まっていた布団がはらりと身体からほどけてしまった。 「あ……っ」 小さくつぶやいて布団に手を伸ばそうとしたら、役立たずの足が私を支えきれずにその場に崩折れそうになる。 「危ねっ」 奏芽さんがギュッと力を込めて私の身体を抱きしめてくださって転倒はしなかったものの、肌が密着しまくって照れてしまう。 「どうせ風呂には持って入れねぇんだし、もうこのままでいいだろ?」 奏芽さんが私のおさげをくるくると指先に絡めながら喉の奥で楽しそうに笑っていらして、行儀悪くも布団を巻きつけたまま浴槽まで入りたいぐらいの勢いだっ
どのくらいベッドにだらしなく埋もれたままでいただろう。 「凜子……」 労るような声音とともに、そっと肩に触れられて、ぼんやりとしていた視界が少しずつ像を結び始める。 「大丈夫か?」 そっと前髪をかき上げられて、まだはっきりしない頭で「奏芽……さん?」と半ば無意識のままつぶやく。 全身がものすごく気だるくて、身体に力が入らない。 なのにほんのちょっと触れられるだけで、未だに先刻体験したばかりの痺れるような感覚の余波が押し寄せてきて、その刺激にピクピクと身体がはねた。 「――まだ……しんどそうだな?」 聞かれて、素直に小さくうなずくと、「わかった」って頭を撫でられて、 「少し落ち着いたら一緒に風呂行こうな?」 って言われた。 私はそんな奏芽さんの言葉に、よく考えないままに首肯する。 そうしながら、さっきのあのジェットコースターの降下の際に感じるような……キュッとお腹の奥がくすぐったくなる……それでいて頭が真っ白になって何も考えられなくなってしまった……あの感覚はなんだったのかなって考えてしまう。 そうして、いま手足を動かすのもしんどいくらい身体が重くて自由がきかないのは、全部その果ての結果なんだと思い至った。 四季ちゃんの話では、彼を初めて受け入れたあとは下に違和感があって、歩くのが少ししんどかったみたい。 でも、こんな風に局部以外のところにまで影響が出たなんて……聞いていない。 そのことがなんだか普通ではない気がして、ソワソワしてしまった。 一刻も早く起き上がってしゃんとしないと、奏芽さんにおかしくなっ|て《・
「凜子は深いところが……好きなの?」 奏芽さんがそんな私をあやすように小さく問いかけていらして……私は自分でもどっちなのかよく分からなくて、肯定とも否定ともつかない戸惑いに揺れる目で奏芽さんを見上げる。 いつの間にか解かれていた手が、私の固くしこった胸の頂をキュッとつまみ上げて……その刺激にビクッと身体を跳ねさせたと同時に、もう一度奏芽さんに深く突き上げられた。「ひゃ、ぁ、っ、んっ」 奏芽さんがゆっくりと抽挿を繰り返すたび、内壁がこすられて、そのたびに最初は感じていたはずの痛みが徐々に麻痺していって――。 奏芽さんの動きに合わせて聞こえてくる隠しようのない水音がひどく淫らで、おかしくなりそうなぐらい恥ずかしい。 なのに、もっと私を奥の奥までかき回して、何も考えられなくなるぐらい翻弄して欲しいとも思ってしまう。 「かな、めさぁ、んっ、ぁ……」 強請るみたいに自分から口を開けて奏芽さんにキスを求めると、すぐに気付いてくださって唇を塞がれた。「んっ、……んっ」 どうしよう。 キスをされながら奏芽さんに揺さぶられるの、すごく……気持ちいい。 初めてなのにこんなに感じてしまうとか……私はすごくエッチな女の子なのかもしれない。 以前四季ちゃんに、「初めての時は痛くて気持ちよく思えなかった」って聞かされたことがある。 もしそれが一般的な反応だとしたら……。 考えたくないけれど、沢山の女性とこういう経験のある奏芽さんは、私を淫らな女の子だと思ってしまうかも。 そう気が付いたらにわかに不安になって……感じちゃいけないって心と身体にセーブをかけたくなる。 なのに奏芽さんってば、まるでそんな迷いを感じさせたくないみたいに、キスをしながら胸の先端と、秘部の敏感なとんがりと、膣内の気持ちいいところを同時に責めてくるから。 私、乱れたらダメだって思うのに……快感に身体を跳ねさせてしまうことを止められないの。 「ん、や、ぁっ、かな、めさ……っ、待っ……」 奏芽さんが下唇をやんわり食むようにして口付けをほどかれた途端、はくはくと唇を喘がせるようにして彼の名前を呼んで、ペースダウンをして欲しいと|強請《ねだ