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142話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2026-04-05 18:56:48

久保田の言葉に、もみじは居住まいを正す。

目の前の久保田に真っ直ぐ視線を向け、はっきり口にした。

「──はい。私の財産を守りたいです。夫からも、何も望みません。相手の財産も要りません」

「……財産分与の権利を放棄する、と言う事ですか?」

もみじの言葉に、久保田は驚いたように目を見開く。

久保田が驚くのは無理も無い。

もみじの夫、誠司は会社の社長だ。

2人が結婚期間中、誠司が築いた財産は彼の法的妻であるもみじは、手に入れる権利があるし、請求する事だってできる。

それなのに、夫からはびた一文足りとも要らない。その代わりにこちらにも請求しないで欲しい、と言うもみじの言葉は久保田にとって信じられない事だった。

そんな久保田に、もみじは頷いて答える。

「はい。双方、財産分与の権利放棄を。離婚成立後、相手方に請求しないようしたいです。私の望みはそれだけです」

「……理由を伺っても?」

そう聞かれるのはもみじも分かっていた。

だからこそもみじは自分の築いた財産、名誉──自分がSeaと言うデザイナーである証拠を用意してきた。

「はい、もちろん。夫は私の事をただの専業主婦
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