LOGIN「強情にも口を割る気はないようだが、全て調べはついている。彼女が昔、赤ん坊だった春美を誘拐して人身売買をしようとしたこと。自分の娘を星野家の後継者にするために、偽装して名乗らせたこと。複数の男と関係を持っていたことまで」 星野総一郎の言葉にどんどんと顔色が変わる中森京香と星野美優。「そんなの噓よ。それに証拠がないわ!? 私達が企んだと言う証拠を見せなさいよ」 それでも認めようとはしない中森由香。往生際が悪い。 証拠を見せろと騒ぎだした。「証拠なら、あるわよ」「……えっ?」 ドアが開くと、入ってきたのは星野智美だった。車椅子ではなく、歩いて登場。 それには星野美優も驚いていた。ずっと車椅子生活で話すこともままならなかったのに。「……あんた!?」「お久しぶりね? 中森さん。何年ぶりかしら?」「どうして……あんたは、精神的におかしくなったはず……」「それは、あなた達から娘を守るためよ。私の娘なら赤色の星の痣があるはずよ」 星野智美の言葉に星野美優はフンッと笑う。「そんな美優もついているわ」 そう言って、首筋の星の痣をワザと、見せてきた。「……それだけだと思った?」「えっ?」「私は施設に預ける時に、ロケットペンダントも一緒に渡したはずよ。中には私と赤ん坊だった娘の写真が貼ってあるはずよ」「……噓っ!?」 そんなこと知らなかった星野美優の顔は一瞬で真っ青になっていく。「ちなみに私は持っているわよ。このロケットペンダントのことよね? 中の写真も間違いなく、本物だったわ」 そう言って、春美はロケットペンダントのことを見せた。これこそ、春美が本物だと言う証拠になるだろう。「これだけが証拠ではないわ。これを聞いても、違うと言える?」 春美はボイスレコーダーの電源ボタンを押した。録音の声は星野美優だった。『あんた達って、親子揃ってバカだよね? 私達親子の策略にまんまとハマって、男を盗られるなんて。いいこと教えてあげようか? あんたの娘は赤ん坊の時に誘拐されて、臓器の一部として売られるはずだったのよ? ハハッ~でも、あなたが余計なことしたせいで話がダメになっちゃったけど。でも、そのお陰で美優が星野家の娘として入り込めた。本当、バカ~』 キャハハッと大笑いしながら手を叩く星野美優。 星野智美が正気を失っていると分かってやっている行動だっ
それから2週間が過ぎた。SNSでは今でも賑わっている。 その間、一切反論はしなかった春美と幸村。逆に反論すると、飛び火が来るだろう。最高の舞台にするには準備が必要だからだ。 運命の日。星野美優は星野家に呼び出された。大事な話だから涼介も連れて来るようにと言われる。 星野美優は、きっと結婚のことも含めて、後継者に継がせる決断だろうと予測。結婚したら、経営は涼介に任せればいい。自分は一生遊んで贅沢に暮らせる。 自分のモノになる喜びを感じながら軽やかな足で中に入った。しかし何故かリビングに春美と幸村の姿が。「ちょっと、どういうことよ!? 何故あんたが??」「春美!?」 その瞬間、星野美優は心の底からマズいと思った。正体がバレてしまう。 だが、春美はニコッと余裕の表情で微笑んだ。「どうして驚くの? 私は自分の本当の家に帰ってきただけだけど?」 その意味を知っているのは星野美優と、その家族だけ。涼介は意味がある分からずに、「春美? どういうことだ?」と、聞いてくる。「ちょっと、勝手なことを言わないで」「勝手ではないけど? だって、私が本物の星野家の娘だし」 春美はハッキリとそう告げる。しかし、それに反論してきたのは星野美優だった。「違う……でたらめを言わないで。どうして、あんたが本物の娘なのよ!? 星野家の娘は私よ」「本物の……星野家の娘?」 春美は二人にDNA鑑定書を見せる。ついでに自分のDNAも調べたのだ。「えぇ、間違いなく。私と星野総一郎さんとのDNAを調べたら血の繋がりがあると証明されたわ。ちなみに、あなたと星野総一郎さんとは血に繋がりはなかったみたいよ? おかしいわよね?」「はっ?」 星野美優は慌てて、そのDNA鑑定書を奪い取って見る。そうしたら本当に自分と星野総一郎との間に血の繋がりがないと判明する。それを見た涼介も啞然としていた。「……春美が……星野家の娘?」 だが、納得がいかない星野美優は、それをぐしゃぐしゃに破り捨てる。「こんなの嘘よ! あんたが偽装したんじゃないの!?」「どうして? 私が本当の娘だと分かった以上、あなたはニセモノだと言うことになるわね。ちなみに星野智美さんともDNAを調べたら、それも血に繋がりあると証明された。つまり……私が星野夫妻の子供ってこと」 真実を突きつけると、星野美優は床に崩れ落
配信の視聴者数は、どんどんと集まっていく。何万の人が見ている。『今回の加賀野春美さんのスキャンダルのことですが、あれは彼女の自作自演です。SNSの中傷書きも。どうして……彼女がそうしたのかと言うと、全て美優のせいです。美優が神崎社長のことを好きになっちゃって……加賀野さんから奪ってしまったから』 周りは、ざわつく。『美優は……神崎社長と加賀野さんが付き合っていることを知らなくて。神崎社長が昔から美優が好きだったと知った時は嬉しくて承諾しました。でも……後で加賀野さんとは親同士のお見合いで婚約していたことを知って……悲しくて別れようとしました。でも、それが余計に彼女の逆鱗に触れたらしくて……嫌がらせを受けるように。あまりにも付きまとってくるので怖くて……どうにかして他に気を引いてもらおうとしました』(何を言い出す気!?) 春美の眉間にシワを寄せて怪訝そうな顔をしていると、星野美優は話を続ける。『そこで女性関係が多い高橋麻斗さんに相談しました。そうしたら、それを知った彼女は、幸村社長と手を組んで合成写真を作ったりしました。他にも男性を雇って……美優。辛かった……そのせいで、神崎社長が怒ってお腹の子をおろせって。泣く泣く無理やり中絶手術を受けさせられました。今はショックで自殺未遂までしました』 そう言って、中絶手術が書いた時の書類を見せてきた。『美優が悪いのは分かっています。でも……これ以上はやめて下さい。お願いします。お腹の子まで居なくなりました……これで終わりにして下さい』 泣きながら頭を下げてきた。何度も。それにはコメントが大騒ぎに。『美優ちゃんが可哀想。そこまでする必要があるのか?』『彼女こそが被害者じゃないのか?』『結局、クズ婚約者と性悪女の不始末に美優が巻き込まれただけじゃん』 星野美優のファンは春美と涼介を批判する。あまりにもやり過ぎだと。あっという間に、春美を酷い女扱いしてきた。 だが、それに黙っていない春美のファン。『婚約していたことを知らなかったとかありえる? 元々同じ事務所だったのに』『だったら、他の男のスキャンダルは何なの? イチャイチャしていたのは確かじゃん』『婚約者に手を出す女って、本当にタチが悪い。人のせいにしているだけで、自分が悪いとは一切思っていないのが透けて見える。謝罪すらないし』 他にも男性とイチ
妻の星野智美と娘が病院から居なくなったと聞いて、慌てて探した星野総一郎。 無事に見つかった時には娘は何処にも居なかった。探しても見つからず。妻の星野智美は精神的におかしくなっており、ハハッとひたすら笑うだけだった。 情緒不安定になる妻。ブツブツと何気なく言葉が気になって調べさせたら、中森京香の噓が発覚する。 監視カメラでは、妻に嫌がらせる姿がハッキリと映っていた。騙された。 激怒した星野総一郎は、中森京香をクビにして追い出した。そして懺悔も兼ねて、妻を大事にした。それでも娘のことは諦め切れず、探し続ける。 そして何年後にして、名乗り出てくれたのが星野美優だった。偽りとは知らずに、受け入れた自分を激しく後悔する。 全ては自ら招いたことだった。「すまなかった……智美。全ては俺のせいだ」 涙を流しながら謝罪をする星野総一郎。星野智美は、無表情のまま、チラッと夫を見る。「あなたの処分は後にします。まず、この子が先よ。加藤さん、あれを持ってきて」「はい、奥様」 ハウスキーパーの加藤は頭を下げると、その場から離れた。どうやら加藤は、事情を知っていたようだ。 そして戻ってきた加藤の手には大きな封筒が。星野智美は、それを受け取ると春美に差し出した。「これは?」「開けてみて。ここには私が隠れて調べてきたことが書かれているわ」「えっ?」 春美は恐る恐る言われたように封筒を開けた。そこには思わない真実が書かれていた。「これって、本当ですか!?」「……えぇ、ちゃんと本人同士の髪の毛で調べたから間違いないわ。夫と星野美優には血の繋がりがないの」 思わない真実を突き出されることに。星野美優と星野総一郎は、親方ではなく赤の他人だった。「それは、どういうことだ!?」 それには星野総一郎の方も驚いていた。慌てて書類を奪い取って、確かめる。 それはDNA鑑定書の結果だった。2人の親子の確率は0%となっている。だとしたら、中森京香は、あの時に他の男とも関係を持っていたことになる。 そんな、からくりがあったとは……。 星野総一郎はショックで座り込んでしまう。星野智美は、はぁ~とため息を吐いた。「……あの子は私が精神的におかしいと思っていたから、色々と話してくれたわ。自慢のつもりだったのでしょうけど。お陰で冷静になれた私は色々と調べることが出来たの」 確
反応があった。春美だけではなく、。星野総一郎も驚く。 今まで表情1つ返ることも困難だったのに。 春美は動揺しながら「お母さん」と声をかけると、星野智美は急に立ち上がった。そして春美の両手をギュッと握り締める。「……私の赤ちゃん。よく戻ってくれたわね」 そう言って、そのまま抱き締めてくれた。春美は啞然とする。「智美。正気に戻ったのか!?」 星野総一郎は驚きよりも正気に戻ったことに喜んだ。しかし星野智美は、それを無視して春美を見る。 ニコッと微笑むと春美の頬に優しく触れる。さっきとは表情が違う。「……私の可愛い子。あなたに話しておきたいことがあるの」「えっ?」 それは、どういう意味だろうか? そうしたら星野智美は、過去のことを話し始めた。さっきまで正気を失っていたと思えないほど淡々と。 しかし、それは衝撃的な内容だった。夫の星野総一郎と愛人で秘書の中森京香と不倫をしていたが、それだけではなかった。 中森京香は星野智美に数々の嫌がらせをしていた。なのに星野総一郎は、それを信じてくれなかった。 むしろ星野智美が嫌がらせをしていると吹き込んでいたのだ。 それだけでは飽き足らず、妊娠までする。星野智美も子供を身籠っていた。1人で春美を出産するが、自分の子を継がせたい中森京香は星野母子が邪魔だと思うように。 そして、たまたま聞いてしまったのだ。同じ病院に入院していた中森京香が電話で話しているところを。 産まれたばかりの春美を誘拐して、人身売買することを企んでいた。行方不明になれば、星野総一郎は、縛れるものはなくなる。そうなれば妻の座を自分に引き渡す。。 その上に大金まで手に入ると。星野智美も絶望してくれるだろうと笑っていた。 恐怖を感じた星野智美は春美を連れて、慌てて病院から逃げ出した。両親に頼りたかったが星野グループの権力と財力を当てにしている。前に離婚したいと言っても聞いてもらえなかったことがあった。 むしろ不倫ぐらいは男なら誰でもする。それぐらい我慢しろと言われる始末。 星野智美は途方に暮れる。もし居場所が分かったら連れ戻される。そうなれば、子供の身が危ない。 身近な友人達では足がつくし、迷惑はかけられない。1人でやれるだけのお金と長年専業主婦だったので仕事はない。 その時は、逃げるのに精いっぱいで他のことを考える余裕も体
真実を知った星野総一郎は騙した星野美優親子に怒り心頭だった。 彼がもっと早く気づいて対処してくれたら、こんなことにはならなかったのに。そう思ったが、これから動いてもらう必要がある。 春美色々と頼んだ。まずしばらくは、星野美優とは今と同じように親子関係で居てほしいと。証拠が揃うまでは泳がしておきたい。 下手に知られたら裏工作する可能性がある。そうなれば、自分の身を守るために涼介も同じ動くとややこしくなる。 星野総一郎は「分かった」と言って承諾してくれた。しかし一つ頼みがあると言ってくる。「一度でいい。妻に会ってくれないか?」「あなたの……奥さんに!? それって」 実の母親に会ってくれと言ってきた。心の病で別荘に居る彼女に会うことは難しいかと思っていたが、こんな形で会う機会をもらえるとは。 実の父親と違って、母親には一度会ってみたいと思ったことはあった。捨てたとはいえ、状況が状況だ。同情も出来る。「……分かったわ」 春美は承諾する。後で幸村には事情を説明したら、けじめをつけるにもいい機会と賛成してくれた。 そして、星野家が所有する車で別荘に向かった。場所は、東京から車で1時間以上はかかる神奈川県にある箱根。箱根温泉とか観光でも有名なところだ。 別荘に着くと、2階建ての大きな一軒家だった。インターフォンを押すと、ハウスキーパーの年配の女性が出てきた。「まぁ、旦那様!?」「急に来て、悪かったね。どうしても妻に会わせたい人を連れてきたんだ」 そう言って春美を紹介する。ハウスキーパーの女性は驚いた表情をしていた。あまりにも星野智美に似ていたからだ。「まあ、この方は奥様にそっくりだわ!?」「紹介する加賀野春美。俺の本当の娘だ」「えっ!? あなた様が、旦那様と奥様の娘!? では……美優お嬢様は?」「細かいことは後で話す。春美、彼女は昔からハウスキーパーとして働いてもらっている加藤さんだ。信頼が出来る人だから安心してくれ」「そうですか、加賀野春美です。よろしくお願いします」「加藤です」 ハウスキーパーの加藤は慌てて頭を下げてくれた。雰囲気は少しふくよかで優しそうな女性だった。「さあ、中に入ってくれ。加藤さん、妻のところに案内してくれ」「は、はい。こちらです」 そのまま中を通してもらい、リビングの方に案内をしてくれた。広々としたリビン