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第57話

Autor: 愛月花音
last update Última actualización: 2026-02-06 17:54:18

 どうしようと狼狽えるが、すぐに記憶を探っていく。そうだ、スマホだと思い出す。

 幸村の上着から彼のスマホを取り出すと、彼のパスワードを入れる。見て、記憶していたので、すぐの解除が出来た。

 幸村の両親に連絡をして来てもらった。先に到着した幸村の父親にサインをしてもらい、何とかギリギリ手術を始めることが出来た。

 後で到着した幸村の母親と加賀野家の義両親と一緒に終わるまで待つことに。

 泣きじゃくる春美に心配しながらも、義両親は幸村の両親に事情を説明してくれた。責められると思ったが、彼の両親は優しい人達で理解してくれた。

 むしろ「あの子らしい。それに、仕事人間で心配していたが、ちゃんと大切な人を見つけることが出来たようで良かった」と、言ってくれるほど。

 こういう両親だからこそ、彼は紳士的に育ったのだろう。

 その後。刺されたところが背中だったのが幸いしたのと、本人が持ち直してくれたので、無事に手術が終わることが出来た。

 しばらくの間は入院になったが、助かったと分かり、春美はホッと一安心する。

 幸村が目を覚ましたのは次の日の朝方だった。春美は心配して、ずっと付き添っていた。

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     そしてSNSの方では、星野美優と涼介のことで大炎上して賑わっていた。 あれだけ騒ぎを大きくしたのだ。今では春美と幸村に対する同情の声が多く、もう表舞台には立てないだろう。 それに星野美優は、星野家から『養子縁組解消』することになった。血も繋がっておらず、罪を犯した。裁判の末、正式に手続きが承諾された。 これで『星野』の苗字を名乗れず、これからは『中森美優』として生きることになる。もちろん、財産の相続は出来ない。無期懲役だから、どのみち意味はないが。結局は彼女の自業自得。 それだけではない。春美の本当の両親だった星野総一郎・智美夫妻は離婚することになった。 星野総一郎は、必死に償いをしたいと願い出たが、彼女はそれを却下した。 長年苦しめられ、傷ついたこと。春美を捨てるはめになった張本人で、しかも実の娘を間違えるなどあってはならないことだ。現に、そのせいで春美は危険な目にあった。 星野智美は、それがなにより許すことが出来なかった。星野総一郎は渋ってはいたが、彼女の強い意思に従うことに。 せめての罪滅ぼしだろう。財産を半分と別荘を譲ることで合意。星野智美は今後も別荘で自宅療養を続けることに。新たな人生を歩むことになるだろう。 星野智美は、春美に「会いたいと思ったら、いつでも会いに来て。どんなところに居ても、私はあなたのことを大切に思っているわ。私の可愛い子」と言ってくれた。 優しく微笑みながら頬を撫でてくれた。春美はそれを受け入れる。 変わらずに加賀野家の養女のまま。いくら本当の両親が見つかったとしても、今の生活を変える気はなかった。それを聞いて加賀野家の義両親は安心してくれた。 星野家の財産は今後どうするか決めるつもりだ。 そして春美は幸村と結婚する。自分達の望みで小さな結婚式にしたが、たくさんの人達に祝福されて、幸せを感じることが出来た。やっと、復讐を果たすことに成功する。 なによりも、自分を取り戻すことが嬉しかった。 それから数年後。 春美は大女優として芸能界で大成功する。テレビ局で行われたアカデミー賞。 そこで春美が出演女優賞など総なめした。あの事件から春美は、必死に努力をして、この地位に昇る。 司会者は「この受賞の喜びを誰に伝えますか?」と聞いた。「そうですね。ファンの皆様、関係者の皆様など多く人に支えられてきましたが、

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     どうしようと狼狽えるが、すぐに記憶を探っていく。そうだ、スマホだと思い出す。 幸村の上着から彼のスマホを取り出すと、彼のパスワードを入れる。見て、記憶していたので、すぐの解除が出来た。 幸村の両親に連絡をして来てもらった。先に到着した幸村の父親にサインをしてもらい、何とかギリギリ手術を始めることが出来た。 後で到着した幸村の母親と加賀野家の義両親と一緒に終わるまで待つことに。 泣きじゃくる春美に心配しながらも、義両親は幸村の両親に事情を説明してくれた。責められると思ったが、彼の両親は優しい人達で理解してくれた。 むしろ「あの子らしい。それに、仕事人間で心配していたが、ちゃんと大切な人を見つけることが出来たようで良かった」と、言ってくれるほど。 こういう両親だからこそ、彼は紳士的に育ったのだろう。 その後。刺されたところが背中だったのが幸いしたのと、本人が持ち直してくれたので、無事に手術が終わることが出来た。 しばらくの間は入院になったが、助かったと分かり、春美はホッと一安心する。 幸村が目を覚ましたのは次の日の朝方だった。春美は心配して、ずっと付き添っていた。「幸村社長。目を覚ましましたか!?」「……ああ、ここは病院?」「はい。背中を刺されたせいで病院に運ばれて、そのまま手術を」「……そうか。いたたっ……」 幸村は心配する春美をよそに起き上がろうとする。慌てて止める。「まだ、起き上がるのは無理ですよ!? 寝ていて下さい」「ハハッ……でも、君が無事で本当に良かった」 苦笑いしながらも、春美が無事だったことに喜ぶ幸村。それを聞いて春美の目尻に涙が溢れてくる。「……本当に心配したんですよ? 私のために怪我までして……」「君が無事なら、それでいいんだ」「……でも私のせいです。私が彼女を挑発しなかったら、こんなことには……本当に申し訳ありませんでした」 涙を流しながら頭を下げる。そうしたら幸村は、春美の手を握る。「惚れた女性は命がけで守るものだ。だから、君を守れてことに対しては後悔していないよ。むしろ誇りだ」 ニコッと微笑む彼は、とても優しく、あたたかい人だと思った。春美の胸がギュッと締めつけられて苦しい。傍に居たい。「私……まだ返事を言っていませんでしたよね?」 今なら言える気がする。しかし幸村は、それを止める。「もう

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    「……それでも間違ったことはするものではないわ。お願いだから……自首して」「ハッ? 偽善者ぶらないでよ? そもそも、騙される方が悪いんじゃない。美優はきっかけを作っただけ。それをコイツらが勝手に信じて、騙されたってだけ。美優だけのせいにしないで」 星野美優の言葉に一理ある。涼介と星野総一郎が騙されて、愚かなことをしなければ防げられたことだ。「……そうね」「大体知られたからって、何だって言うの? 今、美優がここで死んだら、あんた達だって、ただでは済まないわよ? 美優のファンが騒ぐし、株価にも影響があるかもね?」 そう言いながら、また隙を見て果物ナイフを取り出した。今度は自分の方に向けてくる。「何を考えているの!?」「美優!?」 春美と涼介は驚く。まさか今度は自殺をする気? 星野美優は、ハハッと笑う。「どうせ、もう後はない。だったら、このまま自分が死んで……あんたらを道ずれにしてやる。死んだ人間が出れば、世間はあんた達に批判をするわ。何も知らないくせに、やり過ぎだって。どうせ世間の連中は、どちらでもいいのよ。ただ批判したいだけ」「だからと言って……こんなことしないで」「うるさい。偽善者ぶるなって,言っているでしょ!? どうせ、どうなっているか知らないんだから」「……いいえ、知っているわ」「……えっ?」「リビングの小型監視カメラを仕込んでおいたの。あなた達が騒ぐだろうと思って、証拠を残すために。この監視カメラは、全国のネットに繋がっているわ。ちなみに、それを流してくれているのは、私の義両親よ。近くで様子を伺っているわ。もしかしたら、すでに警察の通報してくれたかもね? もう……終わりよ。星野美優」 実は大暴れをするか、後で捏造するのを防ぐために春美は加賀野家の義両親に頼んでおいた。もちろん、星野家にも許可をもらっている。 だから、いくら騒いだところで世間はそれを見ている。まぎれもない真実を。「……そんな」 星野美優はショックで崩れ落ちる。勢いが削がれたのだろう。星野美優だけではない涼介と中森京香も崩れ落ちていた。 その時だった。遠くの方から、パトカーのサイレン音が鳴り響いた。救急車も。どうやら義両親が呼んでくれたようだ。 しばらくして、警察官が到着。自信喪失した星野美優と涼介、中森京香は逮捕された。 パトカーに連れて行かれる。そし

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     けして忘れることも、許すことは一生出来ない。自分過去を振り返る春美。 今日のように鮮明に覚えている。瞬間記憶能力(カメラアイ)を持つ春美にとって、忘れることも出来ない記憶なのだ。「……春美。本当に悪かった」「謝らないで、気持ち悪い。私は許す気はない。それに、もう婚約破棄だって終わっている。あなたに残っているのは……後悔と罪を犯した代償よ!」 絶対に償わせる。それが死ぬよりも恐ろしい復讐なのだから。「……どういう意味だ?」 驚く涼介に春美はフフッと笑った。「今回の件も含めて、あなたを告訴するわ。お腹の子を許可なく、無理やりおろされたこと。暴行罪と名誉棄損。それだけではないわ。星野美優、中森京香。あんた達も告訴する。そうそう、あなたが過去に起こした事故もすでに調査済みよ。警察に連絡したら逮捕は間違いないわね。生きて出られるとは思わないことね?」 星野美優と中森京香は特に罪は重い。誘拐と人身売買まで手に染めようとした。 それに事故も引き起こして、人をひき殺している。殺人容疑で逮捕が出来る。偽装罪と不正行為。どれを取っても許されるはずはない。 ショックと後悔で崩れ落ちるように座り込む涼介と違って、星野美優は肩を震わせて怒りをあらわにしていた。 その時だった。急に星野美優は駆け出して、キッチンの方に向かっていく。 驚く一同だったが、星野美優は構わずにキッチンから包丁を取り出した。「ちょっと、何をする気!?」「うるさい、うるさい。どうして美優の邪魔ばかりするの? あんたさえ、居なかったら星野家は私のモノだったのに」 興奮状態の彼女は包丁をこちらに向けてくる。このままでは危険だ。「私のモノって……最初からあなたのモノではなかったはずよ!? あんた達、親子が、勝手に奪い取ろうとしていただけじゃない」「違うの。絶対に違う。全部美優のモノなの。星野家も、神崎芸能プロダクションから女優の名誉まで全てが美優のために用意されるべきなの!?」 ダンダンと何度も足踏みをしながら、訴えかけてくる星野美優。 何を言っているのだろうか? これでは駄々をこねている幼児のようだ。散々甘やかされて、自分の腕を思い通りにしてきたのだろう。 それが無理だと分かると癇癪を起こしていた。「……とにかく、包丁をおろして。危ないから」 春美は慌てて止めようとするが、星野

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    「そんな……じゃあ、俺がやってきたのは何だったんだ!?」 初恋の人が出会ったら感謝を伝えたかった。今度は守れるように。なのに、現実はあまりにも残酷だ。自らの手でボロボロに壊してしまった。 ヤバいと思った星野美優は必死に涼介の腕を掴んだ。「涼介さん、騙されないで。あの女が、あんなのAIを使って録音したのよ。美優がそんなことするわけがないじゃない」 しかし涼介をそれを無視して、大きく腕を振り払った。星野美優は勢いで尻もちをついてしまったが、それでも足にしがみつく。「ねぇ、お願い。美優を信じて。あれは、間違いなの。家を追い出されるのが怖くて、やったことで本心じゃない。あなたを愛しているの」「今まで散々俺に噓をついてきたな!? そのせいで俺は大恥をかいたんだ。お前のせいで……俺は」「でも、あなたは美優を愛してくれたじゃない!? 許してくれたら反省する。もう、この人達とかかわらないようにするから」 ここまでくると2人とも醜いものだ。春美は呆れて、ものが言えなかった。 愛していた婚約者は、ここまで哀れだと思わなかった。殺したいほど憎んだ星野美優も、今は哀れに救いを求めている。 はぁ~と、春美はため息を吐くと自分の腕を組んだ。「まだ噓を言うのなら、実の母親から無理やり居場所を聞いて、星の痣を彫った美容整形に確かめればいいわ。もしかしたら、記録が残っているかもね?」 何年前だから残っているかは分からないが、脅すには丁度いいだろう。 ビクッと肩を震わせる星野美優を振りほどいて、涼介は春美のところに向かってきた。「春美。全て間違いだったことは認める。すまなかった。二度と同じような過ちはしないから、最後のチャンスをくれ」 春美の両腕を掴みながら必死に許してほしいと言ってきた。イラッとした春美はそれを振り払う。「嫌よ。あなたは、私にしてきたこと忘れたの? そんな男をどうして、許さないといけないのよ?」「どうしてだ? お前は俺を愛していただろう? 相手を間違えただけで、前から俺は春美のことを愛していたんだ。ようやく、それが分かったんだ。だから……あんなに惹かれていた」 何を言っているのだろうか?「愛していた? 間違えた上で、ようやく分かった?? あんた……本気で言っているの?」 勝手に自己判断で納得しないでほしい。そのせいで、どれほど絶望を味わい、苦

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    「強情にも口を割る気はないようだが、全て調べはついている。彼女が昔、赤ん坊だった春美を誘拐して人身売買をしようとしたこと。自分の娘を星野家の後継者にするために、偽装して名乗らせたこと。複数の男と関係を持っていたことまで」 星野総一郎の言葉にどんどんと顔色が変わる中森京香と星野美優。「そんなの噓よ。それに証拠がないわ!? 私達が企んだと言う証拠を見せなさいよ」 それでも認めようとはしない中森由香。往生際が悪い。 証拠を見せろと騒ぎだした。「証拠なら、あるわよ」「……えっ?」 ドアが開くと、入ってきたのは星野智美だった。車椅子ではなく、歩いて登場。 それには星野美優も驚いていた。ずっと車椅子生活で話すこともままならなかったのに。「……あんた!?」「お久しぶりね? 中森さん。何年ぶりかしら?」「どうして……あんたは、精神的におかしくなったはず……」「それは、あなた達から娘を守るためよ。私の娘なら赤色の星の痣があるはずよ」 星野智美の言葉に星野美優はフンッと笑う。「そんな美優もついているわ」 そう言って、首筋の星の痣をワザと、見せてきた。「……それだけだと思った?」「えっ?」「私は施設に預ける時に、ロケットペンダントも一緒に渡したはずよ。中には私と赤ん坊だった娘の写真が貼ってあるはずよ」「……噓っ!?」 そんなこと知らなかった星野美優の顔は一瞬で真っ青になっていく。「ちなみに私は持っているわよ。このロケットペンダントのことよね? 中の写真も間違いなく、本物だったわ」 そう言って、春美はロケットペンダントのことを見せた。これこそ、春美が本物だと言う証拠になるだろう。「これだけが証拠ではないわ。これを聞いても、違うと言える?」 春美はボイスレコーダーの電源ボタンを押した。録音の声は星野美優だった。『あんた達って、親子揃ってバカだよね? 私達親子の策略にまんまとハマって、男を盗られるなんて。いいこと教えてあげようか? あんたの娘は赤ん坊の時に誘拐されて、臓器の一部として売られるはずだったのよ? ハハッ~でも、あなたが余計なことしたせいで話がダメになっちゃったけど。でも、そのお陰で美優が星野家の娘として入り込めた。本当、バカ~』 キャハハッと大笑いしながら手を叩く星野美優。 星野智美が正気を失っていると分かってやっている行動だっ

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