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第7話

Author: 狐坂
翌日の早朝、正人が羽織をS国まで届けに来た。

包みを開いた瞬間、私は呆然とした。

白地の布地はしわくちゃになっており、母が自分で縫い付けた赤い刺繍糸は切れていた。

新しい切り口だ。

誰かに乱暴に引きちぎられたようだった。

包みの中には、あの古い木箱も一緒に入っていた。

中を見ると、対になっている耳飾りの片方がなくなっていた。

ぽっかりと空いた場所に視線が吸い寄せられ、胸が締め付けられるほど切なくなった。

その耳飾りは、母が最後に舞台に立った時につけていたものだ。

かつて柊也の俳優活動を支えるため、ほとんどの遺品を売ってしまったけれど、これだけは手元に残しておいた。

それも、もう片方しかない。

私は正人にメッセージを送った。

【もう片方はどこですか?】

10分後、彼から返信があった。

【一ノ瀬さんからは、浅倉さんが収録の際に紛失したとのことで、探しているとのことです】

私はその文字を、長い間じっと見つめていた。

完全に冷め切ったはずの心も、案外まだ痛むものだ。

柊也のためじゃない。

かつて彼のためにすべてを捧げ尽くした、自分自身のために痛めているのだ。
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