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第463話

作者:
楓も深くは追及せず、先ほどの話題を続けた。

しばらく会話を交わした後、雅也は検討した末、楓の研究室に投資することを決めた。

祝賀パーティーが終わったのは十時を回っていた。楓は先生と共にホテルの入り口に立ち、雅也や他の投資家たちを見送った。

今回雅也が連れてきた秘書は雨宮明和(あまみや あきかず)といい、四年前に展望技術に入社した。恭平が自ら指導したため、仕事のスタイルは恭平によく似ていた。

帰りの車中、明和は思わず感嘆の声を漏らした。

「望月さんは本当にお綺麗で、その上能力も高い。きっと大勢の男性から言い寄られているんでしょうね!」

書類に目を通していた雅也は、それを聞いて視線を上げ、彼を一瞥した。

「お前が口説きたいのか?」

明和は慌てて手を振った。

「とんでもないです。彼女が私のような人間を相手にするはずがありません」

それくらいの身の程はわきまえているつもりだった。

雅也は淡々とした表情で視線を戻し、再び書類に目を落とし、それに対して肯定も否定もしなかった。

今回の新薬開発による収入だけでも、楓は経済的な自由を手に入れることができる。普通の男では確かに彼女
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    結衣がいなければ、今の楓は存在しなかったと言っても過言ではない。五年前、彼女は海へ転落した後、溺れる寸前に一人の親切な人に助けられた。あの時、彼女はもう二度と聖都に戻りたくなかったし、過去に関わった人たちとも一切縁を持ちたくなかったため、結衣に連絡して自分を連れ出してもらったのだ。彼女の気持ちが完全に落ち着くまでに、そこから三ヶ月の月日を要した。聖都の知り合いたちが皆自分のことを死んだと思っていると知り、彼女はいっそのこと母親の姓を名乗ることにした。そしてお腹の中の子供も、奇跡的に生き延びたのだ。その後しばらくの間、彼女は結衣が借りてくれた部屋で、身重の体をいたわりながら受験勉強をした。翌年になってようやく大学院を受験し直す機会を得て、そこからは大学院に通いながら子供を育てる生活が続いた。ここ数年、決して楽な生活ではなかったが、それでも彼女は深く満ち足りていた。もし雅也が突然現れなければ、彼女の生活はこのまま平穏に続いていくはずだった。結衣は彼女を軽く睨みつけた。「そんな他人行儀なこと言うなら、次からは手伝ってあげないわよ」ここ数年の付き合いで、結衣はすでに楓を自分の本当の妹のように思っていた。楓が今日まで歩んできた道のりを、彼女は誰よりもよく見てきたし、その苦労も痛いほど分かっていた。「分かりました、もう言いません」結衣は少し心配そうに彼女を見た。「湊のことだけど、一時的に隠し通せても、一生隠し通すことはできないわよ。もし雅也に気づかれたら……」楓は目を伏せ、しばらく沈黙してから口を開いた。「とりあえず今は隠しておきます。湊は私のすべてですから、絶対に誰にも渡しません」「とにかく、何があっても事前にしっかり準備しておくのよ」「はい、分かっています」結衣が帰った後、楓はソファに座ってぼんやりとしていた。今夜の雅也の自分を見る目は、本当に自分のことを知らないようで、演技には見えなかった。そう考えると、楓はすぐにパソコンを開き、【桜井雅也】と入力して検索した。首都にやって来てからというもの、彼女は聖都の人間や出来事について一切関心を払っていなかった。もし雅也が本当に自分のことを忘れているなら、ネット上に何か彼に関するニュースがあるかもしれない。ほどなくして、楓は五年前

  • 縁が逆転~元カレの叔父が夫~   第463話

    楓も深くは追及せず、先ほどの話題を続けた。しばらく会話を交わした後、雅也は検討した末、楓の研究室に投資することを決めた。祝賀パーティーが終わったのは十時を回っていた。楓は先生と共にホテルの入り口に立ち、雅也や他の投資家たちを見送った。今回雅也が連れてきた秘書は雨宮明和(あまみや あきかず)といい、四年前に展望技術に入社した。恭平が自ら指導したため、仕事のスタイルは恭平によく似ていた。帰りの車中、明和は思わず感嘆の声を漏らした。「望月さんは本当にお綺麗で、その上能力も高い。きっと大勢の男性から言い寄られているんでしょうね!」書類に目を通していた雅也は、それを聞いて視線を上げ、彼を一瞥した。「お前が口説きたいのか?」明和は慌てて手を振った。「とんでもないです。彼女が私のような人間を相手にするはずがありません」それくらいの身の程はわきまえているつもりだった。雅也は淡々とした表情で視線を戻し、再び書類に目を落とし、それに対して肯定も否定もしなかった。今回の新薬開発による収入だけでも、楓は経済的な自由を手に入れることができる。普通の男では確かに彼女には見合わないだろう。突然、スマホが鳴り響いた。恵理からの着信だと確認し、雅也はスワイプして電話に出た。「雅也、さっきショッピングしてて、二つのドレスのどっちを買うか迷ってるの。写真を送ったから、ちょっと見てくれない?」雅也はメッセージアプリを開き、恵理から送られてきた写真をタップした。一着は黄色いVネックのシルクのマーメイドドレスで、上品で優雅な印象。もう一着は赤いベアトップのミニドレスで、セクシーで人目を惹くデザインだった。彼はスマホを横に置き、書類を手に取りながら言った。「黄色い方だ。お前の雰囲気に合っている」「分かったわ、じゃあ黄色にする!」電話を切り、恵理はベッドの上に置かれた黄色と赤のドレスを見つめた。そして黄色のドレスを手に取って綺麗に畳み、スーツケースに詰め込み、明日雅也に会いに行くことを思い、胸を躍らせた。雅也が記憶を失った後、彼女は二年の歳月をかけて、ようやく雅也の婚約者の座を手に入れた。しかしその後の三年間、彼女がそれ以上の関係を求めようとする度に、雅也は無情にも彼女を突き放してきた。ある時など、彼女が服を全て脱ぎ捨

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