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第216話

Author: 青葉凛
紫音は淡々と答えながら、机に向かう彼の背中を見つめた。

「それより、どうしてまだ起きているの?仕事が立て込んでいるのはわかるけれど、これじゃ体が持たないわ」紫音の目には、明らかな心配の色が浮かんでいた。

律はいつも「健康第一だ」と紫音に説くくせに、自分自身のこととなると、驚くほど無頓着になる。

「例のプロジェクトの納期が厳しくてね。先日の騒動以来、先方の不信感も強まっている。今、私たちが誠意を見せないわけにはいかないんだ」

「……でも」

「君は先に休んで。私のことは気にしなくていいから」

律は紫音に歩み寄り、優しくその肩を叩いた。自分の苦労を分かち合うよりも、愛する女性に一秒でも長く眠ってほしい――その不器用な優しさが、今は少しだけ切なかった。

書斎をそっと辞した紫音は、そのままキッチンへ足を向けた。夜の冷気に当てられたせいか、急に小腹が空いていることに気づいたのだ。

律もまだ起きているし、何か作っていこうかな。そう思い立つと、なんだか無性に温かい気持ちになった。二人で夜食を囲む――そんな当たり前のような時間が、今の彼女には何よりの幸せに感じられた。

ほどなくして、紫
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