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第344話

Author: 青葉凛
何しろ、自宅よりもオフィスで過ごす時間の方が圧倒的に長いのだ。ここに置いておけば、仕事の合間にいつでも花を愛でることができる。

それに、律が贈ってくれた花がここにあるというだけで、殺風景だったオフィスがパッと華やぎ、紫音の心は一日中、日向のように温かかった。

家に着くと、律の帰りはまだのようだった。静まり返った邸宅の中で、松田だけがキッチンで慌ただしく立ち働いている。

「紫音様、お帰りなさいませ。本日は律様から、紫音様のお好きなものを用意するようにと仰せつかっております。今夜は早く戻ってご一緒に夕食をとられるそうですから、そろそろお車がお着きになる頃かと」

主の深い愛情を伝えようとする、松田なりの温かい心遣いだった。

「ありがとう、松田さん」紫音の胸にじんわりと温かいものが広がる。律がどれほど真剣に関係を深めようとしているか、その努力がひしひしと伝わってきたからだ。

ただ、激務に追われる律の状況を思うと、無理に時間を捻出させているようで少し申し訳ない気もする。

それでも、こうして大切にされていると実感できるのは、胸がくすぐったくなるほど嬉しいものだった。

夕食の支度を待
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