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第523話

作者: 青葉凛
隆之介は傍らで妻の肩を抱き寄せ、優しくなだめた。

有加里との痛ましい一件があって以来、琴音は事あるごとに州の動向に過敏になり、極度に不安がるようになってしまった。

母親としての愛情ゆえとはいえ、少しでも自分の目の届かないところにいると、すぐに最悪の事態を思い描いてしまうのだ。

「お母さん、お兄ちゃんが無事だって分かったんだし、あとは出張先で仕事を片付けるだけよ。それより早くご飯にしよう!お母さんがずっとお兄ちゃんのこと心配してるから、私たちまだ夕飯食べてないじゃない。私、もうお腹ペコペコだよ」

紫音はわざとおどけるように笑ってみせた。両親を完全に安心させるには、自分が何も気にかけていないように振る舞うしかない。

だが、その明るい笑顔の裏で、紫音の心は依然として重く沈んでいた。有加里のために乗り込んでいった兄は今、現地のどこで、どうしているのだろう。

もしかすると、危険な事態に巻き込まれて怪我をしているのではないか――そんな不吉な想像が次々と頭をよぎる。それでも、今は律を信じて待つことしかできなかった。

「そうね……お母さんが悪かったわ。州のことばかり気にして、怪我をしてい
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