LOGIN「ティンタル様は…」「恐らくは酷い扱いは受けてはいないはずです、アーサー様、黒の王にとっては異母妹のティンタル姫様」「…敵には容赦ない、火焔の王…」アーサーが言葉を続ける。「しかし、その反面、情に脆く、情が深いのもまた…今の黒の王だけでなく、歴代の火焔の王達の逸話も多いか」「私達の閉じ込められている牢屋は悪くない良い場所だ、逃げるには手間がかかりそうだが」「日差しも入り、ベッドもあって食事に水も、食事は質が良かったですねアーサー様」「そうだなランディ、早くティンタル様を連れて逃げなくては」アーサーは小さな窓から外を眺めながら愛しい人、愛する自分の妻に小さな子供達の事を思う私のエリンシア、美しい白の姫…早く貴方を救わなくては…可哀想なエリンシア「今は私にはどうする事も出来ない」「我らの故郷は遠い」………………………その頃、巨人族の王達の囚われ人となっているエリンシアは疲れ果て、涙を浮かべ高い塔の一室、雪降る窓から外を見ていたのだった。…もう、疲れ果ててしまった、慰みものとなり、愛する人達にも会えない…愛するアーサー、可愛い私の子供達…エイル、黒の王女テインタル様ああ、切られた自分の翼高い塔から自分の身を投げれば砕けて…だが、次の瞬間には愛する者達まだ幼いテイナに操り人形として酷使される憐れなテインタル、黒の王女の姿が浮かび窓にかけた手が動きを止めた。窓から入る冷たい凍えるような風がエリンシアの身体を包む
ティンタルが閉じ込められた屋敷の部屋窓には鉄格子があるが、綺麗でフカフカの天蓋付きのベッドに高価な洒落た家具がある「綺麗な部屋、悪くないわね」「私が巨人族に与えられた部屋は狭く、簡素だった…子供の頃の王宮の自室は…あれほどではないけど」「部屋の壁に魔法陣の文様が?これは…一体」ガチャリ、ドアが開く「兄様?」「起きたかティンタル」異母兄アーシュに女官らしき娘、娘は料理をワゴンに乗せていた。「ティ、食べるか?」無造作にアーシュは料理を差し出す「……」戸惑いなからティンタルは口に料理を運ぶ目を見開き、一言「美味しい!」「そうか、良かった」ティンタルの表情を見ながら今度は口元に軽く笑みを浮かぶアーシュ「私をどうする気?私は裏切り者、呪いがまた発動すれば、兄様に危害を与えるわよ」「魔法陣を部屋に描き、ティンタル、お前への呪いを浄化と封じをしている…何処まで効くかは不明だが」眉をひそめ、ティンタルが問う「何の為に?私を処刑すれば良いのに、私がいれば、兄様の王位、立場にも悪影響よ」「お前を殺せば、エイルにアルに俺が殺されるな」「………」「料理は気に入ったか?ティ、ティンタル?」「ええ、凄く美味しいわ、お菓子も見た目も繊細で綺麗な菓子」一口食べて「あ、凄く美味しいわ!」「そうか、黒の姫君の褒め言葉、料理人として有難たく受けた」「え?」「料理は俺の趣味だ」キョトンとするティンタル「エイルやアル達はティが帰って来た時の為に服に宝飾品を用意している…毎年、季節事にな」「…ティンタル、心配しなくて良い、お前は黒の王女だ…帰って来ればそれで良い」そっと異母妹のティンタルの頭を撫でた。
「…私を捕まえて、どうするの兄様?」冷めた表情で剣を突きつけられテインタルは問う黙ったままテインタルの兄、アーシュはテインタルを見つめる。「私を殺さないの?早くすれば」一時の間、険しい岩場からの風…。「お前は俺の婚約者のエイルに酷い怪我を負わせたが、エイルもアル、アルテイシアもお前を庇う、お前にかけられた呪いのせいだと言う」「俺には、子供時代の記憶が無い、俺にとっては赤の他人のようなもの」冷めた表情でアーシュが言う「…………」赤の他人、その言葉に傷つき唇を噛み締めて、テインタルは自分の血の繋がった唯一の肉親、異母兄を見つめたのだった。「黒の王」竜人のセルトが何か言いたげな様子で二人を心配そうに見る。「私、私は…私の事は良い、殺して構わないわ、でも…その二人は逃がして、兄様!」「何故?お前は黒の王女で、もっとも純血な黒の王族、お前を生かす理由はあるそれにお前を殺したら、エイルが俺を許さない…」「アル、アルテイシアはお前、テインタル王女とは親しい幼馴染」「テインタル、テイ…その二人は敵だ、特にアーサーは…」「兄様!」深紅の瞳を見開き、叫ぶテインタル「……何故、俺が、黒の王である大国、王国の主がお前の願いを叶えなくてはいけない?テインタル」歪んだ冷たい笑みを浮かべた。
「ディ!テインタル!」「兄様…殺して」時に岩場を蹴り上げ、激しい戦いを繰り広げる二人だが、その戦いは剣舞のようにも見えたのだ。「王!」竜の姿、セルト将軍も現れた。「あ、あ、あの男は竜の姿、セルト将軍」激しい憎悪、憎しみに満ちた表情を見せるテインタル昔、魔具で心を封じられたセルト、操られていたセルトの剣が大事な父親、父王の命を奪ったのだ、幼いテインタルの目の前で起きた惨劇今は魔具から解放され、異母兄の部下のセルト「来たのか?…セルト」「兄様!よそ見なの?余裕ね」キイイーン!剣がぶつかり合う音が響くテインタルはそう叫ぶように声と共に切りかかる。「魔法を使え!テイ、お前の方が魔力は上だ、剣は俺の方が強い、何度かやり合ったから知っているはずだ」ニヤリと笑う「あら、煽っているのかしらね」黒く長いテインタルの髪が舞う、そうして、クルンと踊るように身体を横回転して、また何度も剣を打ち合う「また、腕を上げた」呟く声「褒めているの、本当に余裕ね」互いの赤い深紅の瞳が見つめ合う「炎の蛇!」テインタルの魔法トグロを巻き、炎が蛇のように飛び掛かる「炎!黒の王、火焔の王が命ず、消え去れ」魔法の言葉と共に消える。その時だった!「赤毛の二人を捕らえました!」
その頃、まだ小さなティナは…母親のエリンシアの苦しみ、嘆きも父親アーサーの危機も知らずに屋敷の母親エリンシアの部屋に居たのだった。「本当はいけない事なんだけど」手には白の国の言葉を翻訳書父親の手製のものに、母親エリンシアがティナに教える為に作ったもう一冊の単語の本ゴクリ、唾を飲み込んで母親エリンシアが隠していた小箱を開ける。沢山の手紙に小さな肖像画何故、母親エリンシアに似た少女の絵があるのか?母親の故郷の白の国白の国の若者の絵に…それから黒の王女であるテインタルと同じ黒の国の男女絵の1枚の中で、母親エリンシアに似た少女は黒の国の男女と仲良く三人で描かれていた。そう、三人の表情は明るく幸せそう…「この男性の方はテインタル様と同じ赤い瞳だわ」しみじみと見るティナ「でも、ハンサムだけど…目がかなりツリ目で怖いかも」「あら、こちらの絵はエリンシアお母様とよく似た少女の子供の頃なのね、可愛い、でも子供の頃は髪が短い、それに男の子みたいね…うふふ」「あ、黒の子供、男の子…?こちらは先程の男性の子供時代なのかしら?」「これは!テインタル様の子供時代の絵!豪華な宝飾品に髪飾りに素敵な衣装!」「テインタル様は…普段は簡素な服しか着ておられなくて、あんなに綺麗なのに…どうしてなのかしら?」しばらく考え込むティナ 部屋の暖炉の薪が燃えて、そうしてパチパチと小さい音を立ていた。「そう言えば…巨人族の王様を警戒しているって、そんな話を叔母さんが話をしていたような気がする…どういう意味かしら?」ティナは小さな肖像画を見ながら首を傾げた
剣が素早い動きで、幾度も重なりぶつかり合う!ジャンプして横回転!テインタルの黒髪が舞い、スカートがめくり上がる。「炎の玉!炎の蛇、我が前の敵を滅ぼせ」テインタルが魔法を放つのだ。少年の姿をした異母兄、黒の王アーシュランもまた、身体を回転させテインタルが放つ、容赦ない炎の魔法をかわして時には片手で身体を支え、またジャンプ岩場を蹴り上げ二人は時には横壁の岩を駆けて、また剣を交わすテインタルの顔は呪いのせいで半ば正気を無くして狂気を帯びた憤怒の表情…そして、哀しみの涙が流している。笑い声を上げながら、また異母兄である黒の王アーシュランに襲いかかるのだ。対して、異母兄アーシュランの表情は冷たく狂気的なテインタルの攻撃を受け流して戦う。「炎…」呟くように彼、異母兄の黒の王もまた攻撃の魔法を放つが、その効果は弱めで暴走しているテインタルの体力、魔力が消耗するのを待っているようだった。「テインタル様!」「テインタル様ぁぁ!」アーサーにランディは大勢の黒の兵士達と戦いながら時折、視線を彼女、黒の王女テインタルの姿を見ている。「おい、お前達、その赤毛の二人を殺さずに、だが、逃すなよ!」黒の王アーシュランが叫ぶ…それは黒の兵士達への命令の言葉だった。
ティンタルの話は驚愕するものだった。「黒の王アーシュランは、兄様は、ただ一人を救いたいが為に恋した一人の白の姫、エイル、エル卜ニア姫…その為だけに白の国を救ったわ」え?今、なんとティンタル王女は言ったのだ?エイル、エルトニア?私の産んた、恋人との忘れ形見? ティンタルは言葉を続ける。「アーシュラン兄様、黒の王であるアーシュラン兄様が子供時代、白の国の人質の時代にエイルと親しくなって恋したみたい」「でも…でもね」ティンタル王女「当然、黒の王国を滅亡に導いた白の王国には皆は悪感情しか無い何より、二千年近く戦ってきた敵同士の仇(かたき)よ」「皆を説き伏せ、合意を得られぬらまま
ティンタルと家にある蒸し風呂、サウナに入るエリンシアティンタル王女の肌あの白磁の滑らかで美しい白い肌に彫られた残酷な文様の入れ墨に、息を飲み、気が遠くなりかけた。「奴らは私を下僕にする為に彫ったわ、片方の胸の上まで、心臓の上に…とても辛かったわ」「生憎、私を抱く事だけは…私の魔法が暴走するから出来ないけど」熱源に時折、水をかけて、木の椅子に並んで座り、エリンシアは娘のティナを膝に乗せ抱き締めている冷めた表情で淡々とティンタルは入れ墨の事を話すのだった。「黒の国へ潜入してたわ…兄様は王として活躍していた」「ただ一人を救う為に、黒の国を裏切り、滅亡に導いた白の国まで救うなんて、英
「謎の矢文のお蔭ですね」リュース公がしみじみと言う 矢に括り付けられた手紙に地図 内部の深い情報に精通した者しか知りえない重要な情報の数々 「時々、矢文がこちら側の砦、出城に打ち込まれるが、内部に、詳しく者の情報だ」「そうですねアーシュラン王子」「危うく、俺の竜人、守護者セルトが罠にはまり、悪くすれば殺される所だったが、矢文の情報で罠を回避を出来た」「はい、王子」「しかし、一体、誰が何の目的なのか…敵に入り込んでいた…敵側の黒の貴族でしょうか?」「さあな…リュース公、だが、予定より作戦が進み、成功している、この勢いでヴァン伯爵を追い詰められるだろう」「黒の王国を取
次の日の事だった。「ヴァン伯爵が?」 「連絡が取れないの」いつものように 部屋に訪ねて来た黒の王妃アリアンの為の演奏するエリンシアその後での庭園の東屋での演奏ブーゲンビリアの花に沢山の花達、噴水の水音アリアン王妃の衣装だが黒みを帯びた円筒形のチュニックだが、胸元と裾には宝石付き刺繍入りの金帯が付いたもの左肩の片方にのみ、淡いクリー厶色のトーガを斜め掛けして、チュニックごと、艶やかな赤のグラデーションの布帯を腰に巻き、腰の布帯の上からは金細工と真珠と珊瑚のチェーンを巻いたもの 首には豪華な首飾りの宝飾品対してエリンシアは淡い若草色したチュニック肩に片方だけかけたチュニ







