เข้าสู่ระบบ「このマンションは、僕たちの祖父がオーナーでね。
貴生は生活力が皆無だから、僕があいつの食事を用意する代わりに、このマンションを無料で借りているんだ」 そう話す白鳩様に、 (大丈夫です! そういう“体(てい)”ですよね!) と、私は力強く頷いた。 ……きっと従兄弟で、幼い頃から意識し合っていた二人。 いつしか愛が芽生え、互いの両親に結婚を認めてもらいに行く。 だけど世間の目を欺くために、最上階の二部屋を借りて──。 まさに、まさに。 絵に描いたようなBL。 きっと野宮部長と鳩村課長は、BLの神様が私たちに遣わせた、尊い眷属様なのよ! 「木野さん? ……僕の話、聞いてる?」 すっかり妄想脳に突入していた私に、白鳩様が小首を傾げて尋ねてくる。 あぁ……あざと可愛い。 いや、可愛いを通り越して尊い!! ※本日、もう何回目かわからない。 「はい、元気です!」 思わず意味不明な返事をすると、 「うん、元気そうだね」 そう言って、くすくす笑うじゃない。 もう……本妻通り越して姫よ、姫! これからは心の中で、白鳩姫と呼ばせていただきます。 そんなことを考えていると、白鳩姫はテーブルの上のワインに視線を落とし、 「貴生のやつ、また赤ワイン開けて、飲みきらずに置いて帰りやがった」 と、舌打ちした。 (……ん? 今の舌打ち、姫が? いやいや、まさかね……)じっと見つめていると、何を勘違いしたのか、 「あれ? もしかして木野さん、飲める人?」 と聞いてくる。 「まあ……人並みには?」 首を傾げると、 「じゃあ、貴生が置いていって飲みきれなかったこれ、一緒に飲もう!」 そう言って、シャンパンのボトルを手に取った。 初めて見る銘柄だけど、ラベルには『KRUG』の文字。 ……私、ワインはメルシャンくらいしか知らない。 たぶん、メルシャンの良いやつだろう。 キッチンから現れた白鳩姫は、お高そうなチーズの盛り合わせを手にしていた。 「ビーフシチューもさ、貴生がワイン置いていくから、苦し紛れに作ったんだよ」 その言葉に、市販のルーじゃない!?──と、内心ひっくり返る。 テーブルの赤ワインを手に取り、 「これは明日、牛タン煮込みかな」 と呟く姫に、思わずよだれが……。 そんな私を見て、 「明日、牛タン煮込みも食べていく?」 なんて気軽に言うものだから、 「はい!──い、いえいえ、とんでもない!」 慌てて我に返る。 すると白鳩姫は楽しそうに笑って、 「遠慮しないでよ。貴生に会わせたいし」 そう言って──ほんの一瞬だけ、黒い笑顔を浮かべた。 ……気のせい、だよね? 目をゴシゴシ擦っていると、きゅるんと目を輝かせて、 「大丈夫。僕は貴生と違って、同意なく女の子に手を出したりしないから」 と、さらっと言った。 (……ん? 今、私とんでもない発言を聞いたのでは?) でも、目の前の可憐な白鳩姫が、女の子に興味あるわけないよね? そう自分に言い聞かせて、私は飲ませ上手な白鳩姫と、楽しい晩酌を過ごした──。 が。 皆様、覚えていますか? そう。目覚めたら私は、白鳩姫と下着一枚で、同じベッドにいたのです。 ……チーン。『カラーン……カラーン……』教会の鐘の音が、澄んだ空に響き渡る。舞い散るフラワーシャワーの中を、私は麗さんと並んで歩いていた。──あの日。婚約式のあと、私たちはホテルのスイートルームで、一年分の距離を埋めるように、たくさん話をした。麗さんは、私と別れてから不眠症が再発して、眠れない日々を過ごしていたと話してくれた。その夜は、たくさん話して――まるで今まで眠れなかった時間を取り戻すかのように、麗さんは静かに眠りに落ちた。私は、そっと目の下のクマに触れる。出会った頃を思い出しながら、小さく囁いた。「また……一緒に月日を重ねていきましょうね」そして、そっと唇にキスを落とす。胸がきゅっと締め付けられる。──やっぱり、私は麗さんが好きなんだ。婚約式のあと、私たちは前のマンションよりもセキュリティの厳しい、コンシェルジュ付きのマンションへ引っ越した。それは、野宮会長の指示だった。そして──もう一つの変化。「本日より、Reiko Nomiyaの支配人を務めます。鳩村麗です」な、な、な、なんと!女性だらけの職場に、麗さんが支配人として転属してきたのだ。人事は──「借りは返してもらうって、言ったわよね?」という、麗子さんの一声で決定。新居は職場のすぐ近く。なぜか、野宮会長と麗子さんが夕飯を食べに来る日々まで始まってしまった。仕事終わりにブライダルエステを受けて帰り、夕食は麗さん担当。──あの日以来、貴生さんには会っていない。麗子さんの話では、アメリカで転居手続きをしているらしい。慌ただしい毎日が過ぎていき──そして私は、麗さんとの結婚式の日を迎えた。貴生さんからは欠席の返事。その
皆様、ご無沙汰しております。覚えていますか?私は、木野ちゃんの元同僚にして──腐女子トリオの一人、安川正恵です。え?エンディング間際に、なんでお前が出てくるんだって?分かります、分かりますよ!知りたいですよね?婚約式後の、あの二人のこと──!……でも、その前に言わせてください!私たち、会場に着いてまず何に驚いたと思います?招待状は――「野宮貴生 木野こずえ」だったのよ?それが、式場に着いたら──「鳩村麗 木野こずえ」になってるじゃない!!この衝撃、分かります!?当然、木野ちゃんに詰め寄りましたよ。そしたら、あの子、頬を赤らめてこう言うの。「実は……前に話していた彼って……麗さんなの」……は?じゃあ何?絶倫ヤバ男って──鳩村課長だったわけ!?あの、一見優しそうで「僕は性欲なんてありません」みたいな顔してるくせに……中身、野獣!?ちょっと待ってよ、そのギャップ!!最高か!!そりゃあ、ひーちゃんも白目剥くわよ!でもね。鳩村課長の隣に立ってる木野ちゃん──本当に、幸せそうだった。お互いを見つめる視線がね、もう……完全に恋人同士で。なんで相手が入れ替わってたのか──なんて、そんな野暮な話は、誰もしなかった。きっと。野宮本部長は、全部分かってて身を引いたのよ。……何それ。全然俺様じゃないじゃない。むしろ──良い男すぎるでしょ。なんて、私とひーちゃんはシャンパン片手に、二人の婚約式を見守っていたわ。木野ちゃん。おめでとう。──幸せになってね。
マッサージ、フルメイク、ヘアアレンジ。すべてを整えられ、麗子さんが選んでくれた真っ白なワンピースに着替えた。ミニブーケを手渡されて――まるで結婚式みたいだ、と思いながら控え室へ向かう。ドアを開けた、その先にいたのは――貴生さんじゃなかった。短く切り揃えられた、色素の薄い髪。タキシード姿の――麗さん。息を呑んだ私に気付き、ゆっくりと振り向く。「こずえちゃん、久しぶり」ずっと……聞きたかった声。視界が涙でぼやけていく。「どうしてここに……? それより、その髪と服……どうしたの?」震える声で問いかけると、麗さんは柔らかく微笑んだ。「全部、片付けてきた」静かに、でもはっきりと。「僕は裸一貫だけど……それでも、こずえちゃんはついて来てくれる?」不安を滲ませながら、そっと覗き込む。「でも……貴生さんは?」「貴生が……僕に、こずえちゃんを託した」その一言で──涙が溢れた。貴生さんは、気付いていたんだ。私の中に残っていた、麗さんへの想いに。ブーケで顔を隠す私を、麗さんが優しく抱き締める。懐かしい匂い。ずっと、好きだった人。「こずえちゃん……やっぱり、僕じゃなくて貴生がいい?」不安そうな声に、私は強く抱き返した。「私……最低なんです。貴生さんを傷付けたのに……今、こうして麗さんが来てくれたことが……嬉しいなんて」その言葉を、唇で止められる。「僕がヘタレだったから、ごめん」「違います……!」首を振る。「私こそ……一方的に別れを告げて、ごめんなさい」「何言ってるんだよ。僕のために、辛い選択をしてくれたんだろ?」頬に触れる手が、あたたかい。見つめ合う。麗さ
ドアが閉まり、こずえの姿が見えなくなった。込み上げる感情を押し殺すように、両頬を叩く。 「よし」小さく呟き、顔を上げた。スマホには、麗が“ざんばら髪で到着した”という連絡が入っている。……その姿を見られなかったのが、少しだけ惜しいと思った。メイク室からは、こずえとスタッフたちの明るい笑い声が聞こえてくる。ドアを一度だけ見つめて、呟いた。 「じゃあな、こずえ。幸せになれよ」踵を返し、歩き出す。向かう先は、駐車場。──伏兵は去るのみ、ってな。そう思った、その時。 「貴生!」今は一番聞きたくない声に、思わず舌打ちが出た。振り返ると、身なりを整えられた麗が立っている。 (ババア……そのまま出させろよ)心の中で毒づきながら、口元に笑みを浮かべる。 「よぉ」余裕を装う。麗は駆け寄ってきた。 「貴生……何から何まで――」その言葉を、指で遮る。 「それ以上言ったら、ぶっ飛ばす」低く告げる。 「別に、お前のためじゃねぇ」戸惑う麗を見て、ぽつりと続けた。 「俺の前だと、あいつ……笑わないんだよ」胸ぐらを掴み、顔を引き寄せる。 「いいか。次にこずえを泣かせたら――アメリカに連れてくからな」そう言って手を離した。乱れたタキシードを整えながら、背を向ける。 「分かったら、行ってこいよ」一瞬だけ、声が揺れた。 「こずえを笑わせられるのは……悔しいけど、お前だけだ」 「貴生!」呼び止められる。だが振り返らない。 「勝者が敗者にかける言葉なんか、ねぇよ」軽く手を振り、そのまま歩き出す。駐
いよいよ、婚約式の日になった。 この一ヶ月、私は実家で過ごし、家族とゆっくり向き合ってきた。 そして──前日の夜。 「ねぇ、こずえ……もし、あんたに他に好きな人がいるなら、無理に結婚しなくていいからね」 突然、母にそう言われた。 「え?」 「人の気持ちってね、頭で考えるようにはいかないものなのよ」 思わず、苦笑いがこぼれる。 「こずえ。お父さんもお母さんも、あんたの幸せが一番だからね」 ……その意味が、よく分からなかった。 貴生さんとは、送迎の時に少し会話をするくらいで、以前のような恋人らしい空気はなかった。 あの日――初めてすべてを受け入れたのに。 赤ちゃんは出来なかった。 月のものが来て、ほっとしてしまった自分に、戸惑う。 覚悟を決めたはずなのに。 そう思っていると、貴生さんがぽつりと聞いた。 「こずえ……どうだった?」 「すみません……今、来てます」 「そうか……」 その時の、少しだけ寂しそうな笑顔が、頭から離れない。 ──貴生さんが、消えてしまう気がした。それでも、婚約式の準備は進んでいく。そして迎えた当日。朝早く、貴生さんが迎えに来て、私たちは会場へ向かった。流れを確認しながら車は到着し、すでに麗子さんやスタッフの方々が待っていた。そのまま控え室へ案内される。私は、この日のために用意された白いワンピースに着替える予定だった。 「準備が出来たら迎えに来るわ。少しここで待っててね」そう言って麗子さんが出ていく。 ──二人きり。あの日以来の静かな時間に、少しだけ緊張していると。後ろから、抱き締められた。 「こずえ……婚約指輪、預かってもいいか?」突然の言葉に、振り返る。 「婚約式のセレモニーで、みんなの前でつけるらしい」
会場に到着すると、まるで僕が来るのを分かっていたかのように、麗子さんが立っていた。「来たわね、麗。こっちよ。ついて来なさい」歩き出す背中に声をかける。「その前に……こずえちゃんは?」「慌てないの。まだ控え室で支度中よ。ほら、あんたもこっち。そんな頭で行くつもり?」言われて、ぐっと息を飲んだ。連れて行かれた控え室には、おじい様がいた。「麗、よく来たな。しかし……これは野宮家を敵に回すことになる。それでも構わんのか?」厳しい眼差し。僕は両手を強く握り締めた。「こずえちゃんを取り戻せるなら、裸一貫からやり直す覚悟で来ました」そう言うと、おじい様はにやりと笑った。「よく言った。お前が覚悟を決めるのを待っていた。麗子、あとは頼む」そう言い残して、部屋を出て行く。すると麗子さんが、パン、と手を叩いた。「さぁ!一気に仕上げるわよ!」その声を合図に、どこからともなく現れた女性陣に囲まれ、半ば強引に椅子に座らされる。「我らが木野ちゃんの王子様を、綺麗に仕上げるわよ!」「おー!」気合いの入った声に、思わず苦笑がこぼれた。髪を整えられ、フェイスマッサージを施される。「麗……あんた、クマ酷すぎ!」そのままメイクまでされてしまった。手際よく動く彼女たちが、口々に言う。「もう……木野ちゃんを泣かせないで下さいね」「次泣かせたら、貴生様に連絡して即アメリカ送りにしますから!」「絶対に幸せにしてあげて下さいね!」激励(?)を浴びながら、最後に麗子さんが差し出した。「これは、貴生からよ」白いタキシード。僕はそれを抱き締め、涙をこぼした。「僕に……これを着る資格があるんでしょうか」思わず漏れた言葉に、麗子さんは腕を組んだまま、じっと僕を見る。「甘







