All Chapters of 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。: Chapter 1 - Chapter 10

52 Chapters

第一話:私は壁になりたかった

ねぇ……よくドラマで、朝目覚めたら会社のイケメンと朝チュンしてたぁ~ってみるじゃない?それがもし、自分の身に降り掛かっていたらどうする?私、木野こずえ(25歳)彼氏いない歴、年齢。女子校出身の私が、今、まさにその状態なんだけど!しかも、隣で寝ているのが……イケメンじゃなくて、妖艶な美人(♂)だったらどうする?しかも私、下着は──下の一枚だけ。鳩村課長は、シルクのナイトガウンを着ているが、胸元がはだけて色気全開。しかも、私をガッツリ抱き締めているじゃない!どういうこと?真っ青になって固まっていると、上司の手が私のマシュマロボディのお腹を撫でた。その瞬間──何故か納得した顔をして小さく頷き、そのままスヤスヤ眠り始めた。待って、待って、待って!普通、そこは胸でしょう?何でお腹?一応、私は女性なのよ!──って、違う!この状況、何なの?何故、私はスーパー受け様の白鳩様こと、鳩村課長とベッドを共にしているの?こんなの、黒鷹×白鳩腐安(ファン)にバレたら殺される。私は心の中で、腐安の心得を復唱する。①腐安たるもの、黒鷹×白鳩を遠くからめでるべし!②腐安たるもの、黒鷹×白鳩に色仕掛けするべからず!③腐安たるもの……ダメだ。冷静に考えられない。私、木野こずえ。当事者ではなく、黒鷹×白鳩の壁になりたいと思った朝を迎えていた。
last updateLast Updated : 2026-01-28
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第二話:腐女子量産コンビ

私は中、高、短大と、女子校で過ごしてきた。 就職して、いきなり男性がいる世界に放り投げ出されて、半分泣きながら暮らしていた私に、潤いを供給してくれるのが…… 我が営業部のスーパーイケメン、野宮貴生部長(32歳)と、その辺の女性が束になっても敵わない美貌の持ち主、鳩村麗(♂)課長(29歳) 野宮部長は、低音イケボで私の憧れだ。 あの腰に来る低音と、野獣味溢れるオス味が魅力のイケメン。 きっと、今まで数多の男女を泣かせて来たのよ! しかも、あの若さで部長だよ? しごでき過ぎじゃない? 憧れない要素、一個もないよね? そしてもう一方。 会社でこの人を見た瞬間、腐女子の血が騒いだ。 妖艶な美人で、声はふわりと伝わる優しい声音。 (エアー多めの、囁きボイス。これはこれで、違う意味で腰に来る) しかも、髪の毛を背中の半分まで伸ばしているなんて……。 私、鳩村課長を見た瞬間、ピーンと来たわ。 ──間違いない! 鳩村麗課長は、総受け、溺愛パートのスーパー受け様だわ!って。 しかも、名前が『麗』よ、『麗』!! 名前からして、麗しいのよ。 二人が黒鷹×白鳩と呼ばれているのは、スポーツマンの野宮部長は日焼けしたような浅黒い肌をしていて筋肉のついたガッチリタイプ。 一方、鳩村課長は色白で、今にも折れそうなほど、華奢。 名前の貴生を鷹にして、野宮部長を黒鷹。 鳩村課長は、色白で苗字の鳩村から白鳩と呼ばれているらしい。 この二人は、私が入社した段階で既に会社で公認の関係だった。 『白鳩×黒鷹しか勝たん!』 とか言ってるけど……、これだから『にわか腐女子』はダメよね。 表記が、逆よ、逆。 しかも二人が平社員だった頃、コンビでえぐい営業成績上げたらしい。 そんな二人だから、当然、モテる。 しかし、二人とも独身彼女なし! そう。この事実が、この会社の女子を腐女子にしたのよ。 二人が並んで歩くだけで、めちゃくちゃ絵になる。 野宮部長の正妻ポジは、間違いなく白鳩様だ。 ……まぁ、受付嬢とかは、こんな平和な私たちを 「腐女子とか、キモ」 とかほざいているらしいけど、あんた達が白鳩様に適うと思っているわけ? 野宮部長に色目使って近付いているみたいだけど、大概 「麗と約束あるから」 と、断られているらしい。 そんな
last updateLast Updated : 2026-01-28
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第三話:大丈夫です。私、空気が読める腐女子です。

そんなスーパー受け様である鳩村課長と、 私が──どうして、こんな状況になっているのか。 ぐるぐると回る記憶を、必死に整理する。 昨日は金曜日だった。 営業から「朝一で使う資料が急ぎで」と頼まれ、残業して仕上げた結果、終電を逃した。 「ネカフェで過ごすか」 そう思ってパソコンの電源を落とそうとした、その時 「木野さん?」 背後から声をかけられた。 振り向くと、そこにいたのは──白鳩様こと、鳩村課長だった。 「こんな時間まで残業? 確か、住まいは埼玉県の奥地だよね。 終電、あるの?」 さらっと言われて、目が点になる。 「え? 私の住まい、知ってるんですか?」 「当たり前だろう。自分の課の子が、どこに住んでいるかくらいは把握しているよ。何かあったら困るからね」 ……いや、普通は把握してないです。 心の中で全力ツッコミを入れていると、課長は私のデスクに置かれた資料に目を落とした。 「しかもこれ、小野が安請け合いした案件じゃないか。 あいつ……最初から木野さんにやらせるつもりだったな」 そう言って、続ける。 「その資料、小野には送らなくていい。僕に送って」 「え、でも……」 戸惑う私に、 「大丈夫。木野さんには、悪いようにしないから」 にこり。 有無を言わせない、圧のある笑顔。 気付けば課長は私のパソコンに手を伸ばし、あっという間に資料を自分宛に送信していた。 「はい。僕が勝手に送ったから大丈夫」 ……色っぽすぎません? 鼻血案件なんですが? 必死に平静を装い、帰宅準備をしていると、 「この後、どうするの?」 と聞かれた。 「え? 駅前のネカフェに行こうかと……」 そう答えた瞬間、鳩村課長の目が大きく見開かれる。 「ネカフェ? 女の子が?」 「大丈夫です。私みたいなぽっちゃり、誰も相手にしませんから」 自虐気味に笑って答えると、課長は信じられないものを見るような顔をした。 「何言ってるの。女の子は、どんな子だって可愛いよ」 ……え? 「特に、貴生みたいに“ぽっちゃり好き”な奴に襲われるかもしれないだろ?」 ……はい? 部長が、ぽっちゃり好き? あー、はいはい。 分かりますよ、そのパタ
last updateLast Updated : 2026-01-28
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第四話:バカバカバカ! 推しカプの蜜月を邪魔するなんて!

「ところで……鳩村課長こそ、どうして会社に?」 確か、定時には退勤されていたはずだ。 そう思って疑問を口にすると、課長は少し困ったように笑った。 「僕の家、この近所なんだよ。 警備会社から“まだ残っている社員がいる”って連絡が来てね。様子を見に来たんだ」 「えぇっ! 帰宅されていたのに、すみません……!」 慌てて頭を下げると、鳩村課長は小さく笑って、私の頭にそっと手を置いた。 「気にしないで。 木野さんを、こんな遅くまで残業させたのは、課長である僕の責任だから」 (くぅ〜っ! さすが……さすが野宮部長の嫁!!) 心の中で感動していると、鳩村課長は少し考え込むような顔をしてから、 「ねぇ……良かったら、ウチに泊まる?」 ──なんて、とんでもないことを言い出した。 「は……はぁ?」 固まる私をよそに、鳩村課長はぽん、と手を叩いた。 「そうと決まったら、貴生を追い出さないとね」 そう言って、スマホを取り出す。 (……は? え? 今、なんて?) 嫌な予感しかしない中、 「あ、貴生? ごめん。 今から急にお客さんが来るからさ」 と、電話口であっさり告げている。 (ま、待って!? 二人の蜜月を邪魔したの、私!?) 頭が真っ白になった瞬間、私の脳内で妄想スイッチが全力稼働した。 ──オシャレな室内。 二人でグラスを傾けながら、 「麗……今週もお疲れ様」 「貴生こそ、お疲れ様」 カチン、とグラスが鳴る。 ワインを飲みながら、野宮部長が鳩村課長の長い髪に指を絡めた。 「麗、こっちにおいで」 「貴生……」 差し出された手を取ると、強く抱き寄せられ、床に押し倒され―― 「麗……」 「貴生……」 唇が、触れそうになった、その時。 ──ピリリリリ。 スマホの着信音が鳴り響いた。 動きが止まり、 「貴生、警備会社から電話だ」 そう言って起き上がる鳩村課長を 後ろから抱き締めて、 「後にしろ」 と拗ねる野宮部長に、課長は人差し指で唇を押さえる。 「だ〜め。少しだけ待ってて」 妖艶な笑顔。 耐えきれず、抱き締める野宮部長。 「早く戻って来いよ」 「良い子で待っててね」 不意打ちの頬キス。 照れた野宮部長の表情。 ──良い!! 最
last updateLast Updated : 2026-01-28
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第五話:壁さん、壁さん。一時間前を見せてください。

「ごめんね。散らかっているけど、どうぞ」連れて来られたのは、会社から徒歩五分の高級マンションだった。──徒歩五分。しかも高級。さすが課長。こんなところに住めるなんて……。空いた口が塞がらないままエントランスを抜けると、部屋は最上階。しかも、ワンフロアに二部屋だけ。 (強者……!)玄関で固まっていると、先に入った部屋の奥から顔を出し、「どうしたの?」と、白鳩様こと鳩村課長が不思議そうに首を傾げた。「そんなところに立ってないで、入って」ひらひらと手招きされ、課長は再び部屋の中へ消える。(やっぱり……ネカフェにしておけば……)一瞬そう思った、その時。(……あれ? ちょっと待って。さっきまで、野宮部長がいたんだよね?)──見たい。二人の、愛の残像を。私の中の腐った全私が、全力で背中を押してくる。「行け! 今しか見られないんだぞ!」と。「……おじゃまします」びくびくしながら、足を踏み入れた。大理石の玄関。木目調の廊下。ピカピカで、生活感ゼロ。(築四十年の我が家とは、次元が違う……)課長の消えた部屋をそっと覗いた瞬間、「わぁ……!」思わず感嘆の声が漏れた。そこは、まるでテレビドラマのセットのような、おしゃれなリビング。しかも、明らかにさっきまで二人で晩酌していたであろう、赤ワインとおつまみ、食器を──白鳩様が片付けている。(尊い……)思わず両手を合わせて合掌していると、「ごめんね、今片付けるから。適当に座ってて」と言われ、革張りの高級そうなソファの端に、ちょこんと腰を下ろした。……目の前に並ぶ、赤ワインとおつまみ。(あ……夕飯、食べ損ねた)そう思った瞬間、『キュルルル……』盛大に鳴る、私のお腹。(は……恥ずかしい……!)顔が熱くなっていると、白鳩様は「あっ」という顔をして、「お腹、空いてるよね?僕が作ったものだから、味に保証はできないけど……」そう言って、キッチンの鍋に火を入れた。 「そんな! お気遣いなく……」と言ったそばから、再びお腹が鳴る。スーツの上着を脱ぎ、エプロンをつけて準備をする後ろ姿。それはもう──新妻。(尊い……)※本日二回目私はそっと立ち上がり、リビングの壁に手を当てた。──壁さん、壁さん、壁さんやい。どうか私に、お二人の姿を見せてくださいな。………
last updateLast Updated : 2026-01-29
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第六話:見た目は新妻、料理はシェフ並みでした。

「とりあえず……僕たちの残り物みたいになってるけど、よかったらテーブルの上のもの、つまんでて」白鳩様の言葉に、私はこくこくと頷いた。促されるまま座った席の目の前には、フランスパン。その上に白いクリーム状のものが塗られ、乾燥パセリがぱらりとかかっている。恐る恐る口に入れた瞬間──「……おいしい!」思わず目を輝かせ、かぶりついた。「本当に? よかった……」ふわりと微笑む白鳩様。……あなた、天使様ですか?この世の生き物とは思えません。思えば私、腐女子ではあるけれど、二次元以外は基本受け付けないタイプだった。なのに、野宮部長と鳩村課長は、2.5次元を通り越して二次元寄りの美貌。──本当は人間じゃないのでは?もぐもぐ考えているうちに、気付けば全部食べ終わっていた。「わぁ。あっという間に食べてくれたんだ」そう言われ、私はソファの上で全力土下座。「す、すみません! あまりにも美味しくて、全部食べてしまいました!」「いいんだよ。そんなふうに美味しそうに食べてもらえると、作りがいがあるから。貴生なんて、何を食べても無表情でさ。作りがいがないんだよ」そう言いながら、私の前にビーフシチューと、柔らかそうなパンを並べる。生クリームがきれいにかかったビーフシチューは、まるでお店みたいだった。「いただきます」「召し上がれ」微笑まれて、スプーンを口に運ぶ。「……おいしい」噛みしめるように呟くと、「本当に? よかった〜。苦労したのに、貴生のやつ、何食べても無言だからさ」くすっと笑う、その表情が可愛すぎる。「このパンも、すごく優しい味で美味しいです」 調子に乗って感想を言うと、「本当? それ、初挑戦だったんだ」にっこり笑って、少し照れた白鳩様。……あなた、私を出血死させる気ですか?しかも今、トレーを抱えてちょこんと座っている姿の破壊力ときたら。(……負けた)いや、そもそも争う気なんて、ないんだけど。そんなことを
last updateLast Updated : 2026-01-30
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第七話:大丈夫です! 私、空気読める腐女子なので!

「このマンションは、僕たちの祖父がオーナーでね。貴生は生活力が皆無だから、僕があいつの食事を用意する代わりに、このマンションを無料で借りているんだ」そう話す白鳩様に、(大丈夫です! そういう“体(てい)”ですよね!)と、私は力強く頷いた。……きっと従兄弟で、幼い頃から意識し合っていた二人。いつしか愛が芽生え、互いの両親に結婚を認めてもらいに行く。だけど世間の目を欺くために、最上階の二部屋を借りて──。まさに、まさに。絵に描いたようなBL。きっと野宮部長と鳩村課長は、BLの神様が私たちに遣わせた、尊い眷属様なのよ!「木野さん? ……僕の話、聞いてる?」すっかり妄想脳に突入していた私に、白鳩様が小首を傾げて尋ねてくる。あぁ……あざと可愛い。いや、可愛いを通り越して尊い!! ※本日、もう何回目かわからない。 「はい、元気です!」思わず意味不明な返事をすると、「うん、元気そうだね」そう言って、くすくす笑うじゃない。もう……本妻通り越して姫よ、姫!これからは心の中で、白鳩姫と呼ばせていただきます。そんなことを考えていると、白鳩姫はテーブルの上のワインに視線を落とし、「貴生のやつ、また赤ワイン開けて、飲みきらずに置いて帰りやがった」と、舌打ちした。(……ん? 今の舌打ち、姫が? いやいや、まさかね……)じっと見つめていると、何を勘違いしたのか、「あれ? もしかして木野さん、飲める人?」 と聞いてくる。 「まあ……人並みには?」 首を傾げると、 「じゃあ、貴生が置いていって飲みきれなかったこれ、一緒に飲もう!」そう言って、シャンパンのボトルを手に取った。 初めて見る銘柄だけど、ラベルには『KRUG』の文字。 ……私、ワインはメルシャンくらいしか知らない。たぶん、メルシャンの良いやつだろう。キッチンから現れた白鳩姫は、お高そうなチーズの盛り合わせを手にしていた。「ビーフシチューもさ、貴生がワイン置いていくから、苦し紛れに作
last updateLast Updated : 2026-01-31
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第八話:はい!「俺のもの」発言、いただきました!

朝、目を覚まして、私は一瞬で真っ青になった。その直後、部屋のドアの鍵が開く音が響く。慌ててベッドの下に散乱していた服をかき集め、必死に身につけた。 「麗! 腹減った」ドアの向こうから聞こえてきたのは、野宮部長の声。 (ど……どうしよう!服は着たけど、どう考えても“朝を一緒に迎えた感”がある!推しカプが修羅場になったら……!!)オロオロしていると、隣で眠っていた白鳩姫が、ベッドの中で小さく身じろぎした。 「ん……」 はだけたガウンのまま、まだ半分眠ったような表情。──やばい。色気が……色気が、やばい……!でも、やっぱり胸は平らなのを確認して (おぅ……。美しくても、やっぱり男性でしたか……)などと、どうでもいいところで納得していると、 「麗! 飯、できてないじゃねぇか!」野宮部長の怒鳴り声と同時に、寝室のドアが勢いよく開いた。私と部長、目が合って──固まる。次の瞬間──私の視界が、完全に塞がれた。 「木野!」強く腕を引かれ、そのまま野宮部長の胸に抱き込まれる。顔が、がっつり胸元に埋まった。 (ちょ、近い! 近い近い近い!!──ていうか、何も見えない!!)背後で、鳩村課長がゆっくりと目を開く気配がする。 「……うるさいな。朝から……」完全に寝惚けた声。その間も、野宮部長は私を抱き締めたまま怒鳴る。 「木野! 大丈夫か!? 麗になにかされなかったか!?」 「……失礼だな」鳩村課長は、ベッドの上で身体を起こしながら、眠たげに言った。 「僕は貴生と違って、素面の時に同意がなければ手を出したりしないよ……」 (……ん? 今、さらっと何かとんでもないこと言わなかった?)首を傾げる暇もなく、野宮部長が噛みつく。 「木野、油断するなよ! こいつは、女みたいな顔で油断させて、とんでもない野獣なんだ!」 「朝から失礼だな……」 長い髪をかき上げながら、
last updateLast Updated : 2026-02-01
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第九話:ヤバい!(女子だけの)社内秘がバレた!【前編】

楽しくお酒を飲んでいた私。気づけば、すっかり泥酔状態になっていた。 「木野さん、大丈夫?」と、心配そうに私の顔を覗き込む。 「らいじょうぶれす!」 へらりと笑う私に 「うん。全然、大丈夫じゃないね。ほら、立てる?客室に案内するから」手を差し出され 「うふふ。白鳩姫は、優しいなぁ~」と呟き、私は……鳩村課長に抱きついた! (腐安にバレたら、死刑確定案件!) 「白鳩……姫?」首を傾げる鳩村課長。 「らいじょうぶれすよ。私、二人の愛を応援してます~」 「二人の愛って……誰と誰?」顔を引きつらせる鳩村課長に 「良いんれす、良いんれす。私、空気読めますから~」華奢だと思っていた抱きついた胸は、思ったより鍛えられていて逞しかった。 「ちょっと待って! 誰と誰が?」ウトウトし始めた私に、鳩村課長が必死に聞いている。身体を揺れ動かされ、目覚めた私は 「はい! 鳩村課長の寝室が見たいれす!」と手を上げて叫んだ。 「え? 何で?」 「鳩村課長の、寝室の壁さんとは……仲良くなれるかなぁ?」 「木野さん? 言ってる意味、分かんないんだけど?」 戸惑う鳩村課長。 (そりゃそうだ) 「見~た~い~れ~すぅ~」駄々っ子になった私。頭を抱えた鳩村課長が「分かった、分かった。見せたら、僕の質問に答えてくれる?」そう言われて 「あいっ!」っと、元気よく再び手を上げた。寝室は木目調で統一された、品の良い部屋だった。私は壁に顔を付けて、目を閉じて集中する。 「木野さん? なにしてるの?」困惑した声が聞こえる。 「お前も見せないんかい」ポツリと呟いた。 「木野……さん?」おそらく……いや、間違いなく、鳩村課長にはホラーだっただろう。 「鳩村課長~! この壁さんも、見せてくれないれすぅ~」 「
last updateLast Updated : 2026-02-02
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第十話:ヤバい!(女子だけの)社内秘がバレた!【後編】

「ちょっと待って。なんで僕と貴生が?」声のトーンが、ワントーン下がった。……が、この時、酔っ払い最強状態だった私は、そんな変化に気付くわけもない。 「私、お二人を応援してます~」にへら~っと笑い、聞かれてもいないことを堂々と宣言する。「お二人は~、社内の~、理想のカップルですぅ~」「木野さん、誤解だよ? 僕と貴生は――」「大丈夫れす! 私、誰にも言いません!」鳩村課長の言葉を遮り、ドヤ顔で叫んだ。「勘弁してくれよ……」ぼやく声が耳に入った、その瞬間。「あぁ!」と、私が叫ぶ。「今度はなんだよ……」明らかに怯えた顔で、課長が返してきた。「聖地に……こんな普段着で踏み込んでしまいました……」そう呟き、私ははっとする。「……課長。ガンジス川は、どこでしょうか?」真顔で尋ねた私に、鳩村課長の困惑は、はっきりとした恐怖に変わった。「聖地巡礼しているのに、身を清めずに……。私ったら、腐女子の風上にも置けませんね」そう言いながら、私は服を脱ぎ始める。「わっ……! 木野さん、落ち着いて!服、脱がないで!」慌てて叫ぶ課長に、私は真剣な顔で答えた。「鳩村課長。身を清めるには、川に入らなければなりません。着衣のまま川に入ったら、溺れてしまいます」一拍置いて、にやり。「……まぁ、私は、黒鷹×白鳩沼に溺れてますけどね」「はぁ!? 黒鷹×白鳩? え? それって、どういう――」課長の言葉が、さらに焦りを帯びる。「待って! 木野さん、下は脱ぐのやめようか!」必死に止める鳩村課長。「……課長。川が、ありません」涙目で訴える私。「……今度は川!?……川はないけど、シャワー浴びる?お風呂、
last updateLast Updated : 2026-02-03
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