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第十六話 旅へのきっぷ

Auteur: 宵更カシ
last update Date de publication: 2026-06-09 06:23:39

手を止めて諦めた物言いをクリスカさんはしました。しかしそれが、私の紡いだ口をこじ開けます。

「——私は、行ってみたいです。クリスカさんの隣で色んな景色を見たい。いずれは貴方様にお仕えする使用人になりたいです。吸血鬼の主様に仕えることが私の夢です……一度は折れましたけど、私はクリスカ様のお傍でずっと」

思わず漏れた本望。クリスカさんは立ち上がり傍へ寄って、

「なら、決まりね」

そう言って、ノートパソコンを消して私の手を取りました。

「決まりなのですか」

「行ってみたいんでしょう。旅に」

その通りなのですが、私には返せるものは何もない。だから正直に言います。「私が返せるものなんてありませんよ」

「あるじゃない。その身体に」

「身体……?」

「なぜ顔を赤くするのよ」

「だって、私の身体って申しましたので」

そりゃ、身体を求めるなんて言われたら赤くなります。

「あぁそういう事。勘違いしないでよ。私はあなたの血で贖ってと言っているの。年下の幼気な少女を抱く趣味なんてないわよ?」

「はいごめんなさい」

「よろしい」

嘆息されながらも、お許しをいただけました。私は視線が外れ
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