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第34話(13)

Auteur: 北川とも
last update Date de publication: 2026-06-09 08:00:25

 南郷の名が出た途端、意識しないまま眉をひそめる。中嶋は、和彦のささやかな変化を見逃さなかった。

 蓋を閉めたペットボトルをラグの上に転がしてから、声を潜めてこんな質問をしてきた。

「――先生は、南郷さんと寝ているんですか?」

 思考力が少し鈍くなっている中でも、こう問われたことは衝撃的だった。和彦は嫌悪感を隠そうともせず、即座に否定する。

「寝てないっ」

 慌てた様子で中嶋は頭を下げてきたが、それがかえって和彦の自己嫌悪を刺激する。力なく首を横に振り、言葉を続けた。

「宿であんな場面を見たら、そう考えられても仕方ないか。それに、南郷さんとはなんでもないと、正直言い切れない……。あの人はなんというか――、ぼくを辱めることを楽しんでいる印象だ」

「先生……」

 中嶋の手が気遣うように肩にかかるが、かまわず和彦は続ける。

「さんざん男と寝ていて、何を言っていると思うかもしれないが、あの人は、ぼくのプライドを傷つけてくる。佐伯和彦という人間じ
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