LOGIN修学旅行の帰り道、めんどくさそうにしている篝(かがり)と姉大好き灯(あかり)の双子姉妹は、深い霧に包まれた村に迷い込む。そこは、「血月村(ちづきむら)」――赤い月が空に浮かぶ、呪われた村だった。 霧の中に現れた人間、宮守(みやもり)は嫌そうな顔をしつつも、生徒たちに宿を提供する。 しかし彼は言った 「夜には出歩くな」と。 その禁忌を破った生徒達が美しい双子の吸血鬼に襲われる。 この村は双子の吸血鬼に支配された呪われた村だった。 「篝、お前は俺のモノだよ」 「灯、さぁ、おいで僕の花嫁」 花嫁として選ばれた灯を助ける為、篝は双子の吸血鬼に立ち向かう。
View More독배를 가져온 것은 황제가 아니었다.
여섯 해 동안 서련의 잠자리를 묻고, 저녁상을 물리고, 황제의 거둥을 알리던 최 내관이었다. 그는 이번에도 평소처럼 고개를 숙였다. 다만 은쟁반 위에 놓인 것이 따뜻한 배숙이 아니라 입구를 붉은 실로 봉한 백자병이라는 점만 달랐다.
“폐하의 뜻이옵니다.”
서련은 병보다 그의 손을 보았다. 오른손 엄지가 쟁반 밑에 숨겨져 있었다. 거짓말을 할 때마다 손톱을 뜯던 버릇이었다.
“조서는.”
최 내관의 목울대가 움직였다.
“마마. 조서를 보셔도 달라지는 것은 없사옵니다.”
휘장 너머에서 단비가 숨을 삼켰다. 서련은 돌아보지 않았다. 돌아보면 그 아이가 자신 대신 쟁반을 엎을 것을 알았다. 이 궁에서는 충성스러운 사람부터 죽었다.
사흘 전, 귀비 윤소하가 쓰러졌다. 서련이 보냈다는 석류청을 마신 뒤였다. 어제는 황후의 인장이 찍힌 약재 주문서가 발견되었다. 오늘 아침에는 중궁의 궁인들이 끌려갔다. 심문에 불려 간 사람은 있었으나 돌아온 사람은 없었다.
그리고 해가 지기도 전에, 독배가 왔다.
“읽어 보아라.”
최 내관이 품에서 접힌 종이를 꺼냈다. 국모의 자격을 저버린 죄. 귀비와 황실의 혈통을 해하려 한 죄. 황후 서씨를 폐하고 죽음을 내린다는 짧은 글이었다.
서련의 시선이 마지막 줄에 멈췄다.
붉은 어새 아래로 익숙한 붓끝이 내려앉아 있었다. 이겸은 글자의 마지막 획을 왼쪽으로 당겼다. 혼례 전 그녀에게 보내던 편지에서도 그랬다.
서련은 그 획을 손가락으로 짚었다.
아침까지만 해도 누군가 황제를 속였을 것이라고 생각했다. 이제 그런 생각을 할 수 없었다. 설령 그가 속았다 해도, 아내의 말 한마디 듣지 않고 제 이름을 쓴 사람은 황제 자신이었다.
“폐하께서는 어디 계시느냐.”
“연화전이옵니다.”
귀비의 처소였다.
“깨어난 귀비를 돌보고 계시겠구나.”
최 내관은 대답하지 않았다.
여섯 해 전 이겸은 서련에게 말했다. 황궁에서 믿을 사람은 너뿐이라고. 그 말이 얼마나 외로운 부탁인지 알 것 같아, 그녀는 밤마다 대신들의 이름을 외우고 궁인들의 불만을 들었다. 그를 미워하는 사람을 설득했고, 그가 약속을 잊은 사람에게 대신 머리를 숙였다.
그 모든 밤을 지나 남은 것은 이 잔 하나였다.
서련이 웃자 최 내관의 얼굴에 안도와 두려움이 함께 스쳤다.
“마마, 부디 편안히—”
“단비야.”
휘장이 들렸다. 단비는 벌써 울고 있었다.
“함에서 흰 비단을 가져오너라. 혼례 때 받은 것으로.”
“싫습니다.”
아이가 처음으로 명을 거역했다.
“수의를 마련하라 하시면 싫습니다. 저는 못 합니다.”
“수의가 아니다.”
서련이 손을 뻗었다. 단비가 입술을 깨물며 그 손을 붙잡았다. 너무 차가웠다. 서련은 아이의 손을 한 번 힘주어 눌렀다.
“내가 아직 살아 있다는 증거를 쓸 것이다.”
궁중의 오래된 규정은 누구보다 서련이 잘 알았다. 황후가 된 뒤 궁중 의례를 배우며, 황후의 의무라는 이유로 자신에게만 밤새 베끼게 했던 문서들이었다. 황후의 폐위에는 황제의 조서만 있으면 되었다. 그러나 국모였던 사람의 사형에는 종친의 재심을 청할 길이 남아 있었다.
그 길을 밟은 여자는 지난 삼대 동안 없었다.
없었던 까닭은 규정이 없어서가 아니었다. 죽음을 명받은 여자가 자신에게 아직 청할 권리가 있다는 사실을 알기 전에 잔부터 받았기 때문이다.
서련은 비단을 펴고 먹을 갈았다.
최 내관이 물러서며 문을 보았다.
“이미 폐위되셨사옵니다. 그 청은 황후의—”
“그래서 조서에 폐위와 사형을 함께 적었겠지.”
붓끝이 흔들렸다. 서련은 숨을 고르고 첫 획부터 다시 썼다. 자신의 무죄를 주장하는 글이 아니었다.
종친의 재심을 청한다. 심리 전까지 처형을 멈추고, 중궁에 소속되었던 궁인들의 생사를 확인하게 하라.
끝에 황후라는 호칭 대신 이름 두 자를 적었다.
서련.
최 내관이 비단을 받아 들지 않았다.
서련은 백자병의 붉은 봉인을 살폈다. 봉인의 끝에 검은 점이 하나 찍혀 있었다. 어약방에서 왕실의 약을 내보낼 때 쓰는 검수점이었다. 병에는 점이 있었으나 잔에는 없었다. 내용물을 누가 옮겼는지, 그 자가 왜 자신 앞에 서지 않았는지 묻고 싶었다.
그러나 지금은 살아남는 것이 먼저였다.
“네가 이것을 받지 않으면, 내가 오늘 죽은 뒤 황실에 남는 것은 조서가 아니다.”
서련이 그를 똑바로 보았다.
“황후가 재심을 청했는데 내관이 막고 독을 먹였다는 증언이지.”
단비가 눈물을 훔쳤다. 최 내관의 시선이 그녀에게 닿자 서련이 일어섰다. 비녀를 모두 빼앗긴 머리가 어깨 아래로 흘렀다.
“아이를 건드릴 생각이면 네가 직접 칼을 들어라. 두 사람의 시신을 옮기면서도 폐하께 평소처럼 문안할 수 있을지 보자꾸나.”
한동안 누구도 움직이지 않았다.
먼저 무릎을 꿇은 것은 최 내관이었다.
그가 두 손으로 비단을 받았다. 서련은 독배를 쟁반 한가운데로 밀어 놓았다. 백자와 은이 부딪히는 작은 소리가 텅 빈 전각에 길게 번졌다.
그때 바깥에서 낯선 목소리가 들렸다.
“재심 청원은 내가 가져가겠소.”
문이 열렸다. 젖은 검은 장포 아래에서 군화가 모습을 드러냈다. 어깨에 남은 눈이 아직 녹지 않은 남자였다.
변방에서 돌아왔다는 진왕 이현.
황제가 가장 싫어하는 동생이, 황제가 버린 아내의 문 앞에 서 있었다.
結城の叫びは、ほとんど悲鳴だった。「篝ッ!!」 その声が、深い水の底へ沈みかけていた意識を強引に引きずり上げる。 篝の指先は影月へ伸びかけたまま空中で止まり、次の瞬間、はっと我に返った。「……っ、あ……」 息が乱れる。 胸の奥まで這い上がってきていた黒い紋様が、まだ熱を持ったまま脈打っている。 痛みは消えない――むしろ意識が戻ったことで、余計にはっきりした。 肩から胸元へ、皮膚の下を何かがじわじわと侵していくような不快感。 篝は反射的にその腕を押さえた。 影月の目が、わずかに細まる。 その表情の変化はほんのわずかだった。 だが、篝にははっきりわかった。 間違いなく苛立っている。 自分へではなく、あの声を飛ばした結城へ向けて、底の深い苛立ちが滲んでいる。「……また、あの男か」 低く吐き捨てるような声。 さっきまで篝へ向けていた甘さが、ほんの一瞬だけ剥がれた。 赤い瞳の奥で、獣めいた不機嫌が鋭く光る。 外では、結城がなおも何か叫んでいた。 結界越しで言葉は途切れ途切れにしか届かない。 それでも、篝の名を呼び続けていることだけはわかる。 宮守も札を打ち込み続けているのだろう。 社全体が低く軋み、赤布が揺れ、見えない力同士がぶつかり合う気配がしていた。「篝に触れるなと言ったはずだ」 影月が静かに呟く。 それは結城へ向けた言葉でありながら、同時に篝の耳元へ落とされた呪いみたいでもあった。 篝は苦しげに呼吸を整えようとする。 正気へ戻った、戻ったはずだ。 なのに、身体の奥へ入り込んだ熱と痺れは消えない。 影月の声も、さっきよりさらに深く残っている。 夢の残響なんかではない。今この場で直接、意識の内側へ流し込まれている。 影月は再び篝へ視線を戻した。 先ほどの苛立ちは、すでに表面から消えている。 穏やかですらある――だが、その静けさがかえって恐ろしかった。「……まだ、折れないか」「誰が……」「そう言いながら、さっきは手を伸ばしただろう?」 その一言が、篝の喉を締めつけた。 否定したい。 したいのに、指先がほんの一瞬でも影月へ向いた事実が、声を奪う。「違う……!」「違わないぞ?」 影月は篝の顎へ指を添える。 冷たい。 冷たいのに、その冷たさが火照った皮膚へ触れた途端、身体の奥の痛みがわずか
笑い声が、社の奥でひどく静かに響いた。 それを合図にしたように、空気が変わる。「……っ!」 篝が聖刀へ手をかけた瞬間、床に貼られた札が一斉に赤く燃え上がった。 火ではない――けれど火に似たものが走り、畳の上に複雑な紋を描く。 社全体が生き物のように脈打ち、壁も床も、天井から垂れた布も全てが一斉に篝へ牙を剥いた。「篝っ!」 結城の叫びが飛ぶ。 宮守が札を投げるが、白い紙片は途中で見えない壁に弾かれ、空中で焼け落ちた。 これは、結界だ。 しかも前とは比べものにならないほど濃い。 篝は反射的に灯へ駆け寄ろうとした。だが足元から黒い靄が這い上がり、足首へ絡みつく。 冷たくぬめるような感触に全身が総毛立つ。 振り払おうと身を捩ったその瞬間、背後から伸びてきた腕に腰を強く引かれた。「――捕まえた」 耳元で落ちた声に、心臓がひやりと縮む。 影月が、こちらに目を向けていた。 気配もなく背後へ回り込まれていた。 篝が振り返るより早く、影月の腕は完全に篝を囲い込み、逃げ道を塞ぐ。 乱暴に締め上げるわけではない。 けれど、一度捕らえたものを二度と離すつもりはないという静かな強さが骨の奥まで食い込んでくる。「放せッ!」「嫌だ」 低く囁く声は、奇妙なほど穏やかだった。 それが余計に恐ろしい。 社の奥で、紅月が楽しげに笑う気配がする。 灯は祭壇の前で揺れるみたいに座ったまま、こちらを見ていた。 さっきまで見せていた柔らかな笑みは薄れ、代わりに苦しげな揺らぎが瞳の奥に浮かんでいる。「篝!くそ、離れろ!」 結城が結界へ体当たりする。 鈍い音とともに弾き返され、地面へ膝をつく。 宮守も即座に札を打ち込むが、今度は社全体がそれを拒むように低く唸った。「駄目だ、分断された……!」 宮守の声が苦く沈
社へ足を踏み入れた瞬間、篝は息を止めた。 前に来たときと同じはずの場所なのに、空気の質が違う。 赤い布、揺れる灯火、壁を埋める札、床板に染み込んだ古い匂い――どれも見覚えがあるのに、今夜はそれらが妙に整いすぎて見えた。 まるで誰かのために、丁寧に舞台が用意されたみたいに。 ――その中央に、灯はいた。 花嫁衣装をまとい、祭壇の前に静かに座している。 白い衣は灯火を受けて薄く紅を溶かし、黒い髪が肩口に滑り落ちていた。 指先は膝の上で綺麗に重ねられ、背筋はすっと伸びている。 その姿だけ見れば、ひどく整っていて、ひどく穏やかだった。 穏やかすぎて、逆におかしい。「……灯」 篝の声が、思ったより小さく出た。 胸の奥で心臓が痛いほど脈打つ。 ようやく会えたはずなのに、喜びより先に背筋へ冷たいものが走っていた。 灯はゆっくりと顔を上げる。 その動作には、前に見たようなぎこちなさがなかった。 まるで夢の底から引き上げられかけているような危うさもない。 ただ静かに、滑らかに、篝の方へ視線を向ける。 そして――微笑んだ。「――篝お姉ちゃん」 その呼び方に、篝の足が止まる。 懐かしい声。 懐かしいはずなのに、どこか薄い膜を一枚挟んで聞いているような違和感がある。 抑揚はある、ちゃんと灯の声だ。 けれど、そこに灯そのものの熱がない。 まるでよくできた人形が、覚えた台詞を綺麗に口にしたみたいだった。 灯は小さく首を傾げる。「来てくれたんだね」「……灯」「うれしい」 笑顔は柔らかい。 だが、その柔らかさが篝にはひどく不気味に思えた。 灯はこんなふうに静かに笑う子ではない。 もっと無遠慮で、もっと感情が顔に出る。 嬉しいなら嬉しいで、駆け寄ってきて腕にしがみつくくらいの子だ。 今、目の
夜は、まるで最初から待っていたみたいに森へ降りてくる。 日が落ちるのを待っていたのではない。 寧ろ陽が沈んだ瞬間から、こちらがようやくあちらの時間へ足を踏み入れるのだと気づかされるような夜だった。 木々の隙間に沈んだ闇は深く、風さえどこか湿り気を帯びている。 宮守の隠れ家を出た時、篝は無意識に一度だけ背後を振り返った。 戻る場所を確かめたかったのか、それとも、今夜を越えられない予感を振り払いたかったのか、自分でもわからなかった。「行くぞ」 宮守の低い声が、夜気を裂く。 篝は短く息を吸い、頷いた。 隣では結城が黙って歩調を合わせる。 腰には札と縄、簡素な刃物。 戦う力は篝ほどない。 それでも、今夜ここへいるという意思だけは、誰よりも固かった。 三人は森の奥へ進んだ。 足元の落ち葉は湿り、踏むたびに鈍い音を返す。 前回、灯を取り戻せなかった夜と同じ道のはずなのに、今夜の森はまるで別の場所みたいだった。 木々の影が濃い。 遠くで鳴く鳥の声も、途中で首を絞められたみたいに不自然に途切れる。 篝は聖刀を抱えるように持ちながら歩いていた。 鞘の中の刃は相変わらず沈黙している。 だが重みだけは確かだった。 灯を助けるために必要なもの。 双子を断ち切るために必要なもの。 そして、自分の中の何かとも向き合わなければ抜けないもの。 今夜の目的ははっきりしていた――灯を取り戻し、そして儀式そのものを壊す。 もう一度だけではない。今度こそ終わらせる。「――ここから先は、声を落とせ」 宮守が足を止めずに言う。 その手には、すでに数枚の札が挟まれていた。 白い紙は夜の中で妙に浮いて見える。「社の周りには前より濃い結界が張られているはずだ。私はそれを崩す」「俺は?」「篝の補助だ。それと、無理に前へ出るな……お前の役目は篝が踏み込む道を切らさぬことだ」「……わかった」 結城の返答は短い。 けれど、その声に怯えはあっても迷いはなかった。 篝は前を見たまま、指先へ少しだけ力を込める。 影月と向き合わなければならない、避けては通れない。 あの男はおそらく、今夜も篝を待っている。 拒絶されるたびに喜ぶような、あの壊れた執着を胸に抱えたまま。 思い出したくもないのに、夜になると影月の声はひどく近くなる。 ――俺のところへ来
篝が霧を切るように駆け出した、その瞬間だった。 影月は抱えていた相楽を、まるで価値のない玩具でも捨てるかのように、無造作に放り投げた。「相楽ッ!」 叫びながら、篝は足を止めない。 だが、影月の冷酷な手から放られた相楽の体は、硬い地面に叩きつけられた。 鈍い音とともに、血の赤が広がる。 じわじわと地面へ染み込み、夜の土に吸い込まれていくその様子に、篝の胸がひやりと凍った。「な……っ」 すぐ近くにいたはずなのに。 もっと早く駆けつけていれば、助けられたのかもしれない。 そんな悔しさと、自分の無力さが、胸の奥で鈍く軋んだ。 一方、相楽を投げ捨てた影月は、赤い瞳をわずかに細め
村の老人――宮守に導かれ、篝たちは古びた木造の宿へと足を踏み入れた。 宿の外観は煤けた木板に覆われ、屋根は今にも崩れそうに歪んでいる。 柱にはひびが入り、入口の木戸は軋むような音を立てて開いた。 中に入った途端、湿った空気が肌にまとわりつく。 畳にはカビじみた匂いが染みつき、廊下の壁には色褪せた掛け軸が斜めにぶら下がっていた。 天井の梁には無数の蜘蛛の巣が垂れ、提灯の明かりがゆらゆらと揺れている。 静まり返ったその空間に、生徒たちは思わず足音をひそめた。 普段なら冗談や軽口が飛び交うような場面でも、誰ひとりとして声を発しなかった。「――今夜は、こ
道を失った生徒たちは、誰ひとり口を開くことなく、霧の中を進み続けていた。 空気はどこまでも湿っていて冷たく、まるで目に見えない糸が何本も絡みついてくるようだった。 一歩踏み出すたびに靴底がぬかるみに沈み、足取りは次第に重くなっていく。 篝と灯は、互いの手をしっかりと握り合っていた。 かすかに震える灯の手を包み込むように握り返しながら、篝は霧の奥をじっと睨む。 見えない何かが、自分たちの行く手を試している――そんな直感が、ずっと胸に引っかかっていた。「篝、灯、大丈夫か?」 濃い霧の向こうから、聞き慣れた声が届く。 振り返ると、クラスメイトの結城が霧の中
(……今日もめんどくさい一日だったな……人付き合いも騒がしいのも苦手だし、修学旅行なんて疲れるだけだ) 篝はバスの座席に深く腰を沈め、流れていく窓の外をぼんやりと眺めていた。 車内は修学旅行の帰り道らしい浮ついた空気に包まれている。 笑い声、カメラのシャッター音、はしゃいだ声。 どれもが耳につき、それだけで気分が重くなった。「ねえ、篝。さっきの写真、見る?」 隣から軽やかな声が飛んでくる。双子の妹、灯だった。 彼女のスマホには、クラスメイトたちと並んだ記念写真が映っている。 中央で明るく笑う灯と、その隣で露骨に目をそらしている篝。並んでいるだけで、まる