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第94話

Author: ドドポ
海上を、豪華客船「キューピッド号」が進んでいく。

今日は篠原グループの社員旅行で、四泊五日のクルーズだ。

本来、こうした社員旅行に洵は参加しない。

だが今年は例外だ。

全社員が知っていた。洵は千雪のために参加したのだと。

「澪さん、水着に着替えないの?」

客室で、ピンクのドット柄ビキニに着替えた千雪が尋ねた。

今回、澪と千雪は同室だった。

千雪は部屋の変更を申し出なかった。

澪も自分から言い出すつもりはなかった。

怖いものなどないからだ。

「今は行きたくないの」

澪は答えた。

「残念ね。デッキのウォーターパーク、すごく楽しいのに」

千雪はそう言い残し、上機嫌で出て行った。

デッキにある巨大ウォーターパークがこのクルーズの目玉であることは澪も知っていた。

だが、行けば間違いなく千雪と洵がいちゃつく場面を見せつけられる。

見たくなかった。

洵はウォーターパークで遊ぶようなタイプではない。

少なくとも澪の記憶ではそうだ。

大学時代、洵にアプローチされていた頃、一緒にプールに行こうと誘ったことがあった。

洵は断った。

それでも、当時はまだ洵に愛されて
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