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第14話

Auteur: ジョジョ
小夜子は顔を上げ、彼の姿を認めた瞬間、表情から一切の温度を消し去った。

そこに残されたのは、氷のような無関心と、隠しようのない不快感だけだった。

「……桐生さん?」

彼女は口を開いた。波ひとつ立たない、静かな声だ。「何かご用ですか?」

「桐生さん」という他人行儀な響きが、無数の針となって湊の心臓を深く突き刺した。

「君を探しに来たんだ……お願いだ、一緒に帰ろう。もう一度、話をさせてくれ」

湊は乾ききった喉で、必死に言葉を絞り出した。

「私たちに、話すことなんてあるかしら」

小夜子は、まるで道端の石ころでも見るかのような冷徹な視線を彼に向けた。

「離婚届が受理されたあの日、すべては終わったはずよ。

桐生さん、そこをどいて。急いでいるの」

彼女は冷たく言い放つと、湊の脇をすり抜けようとした。

湊は反射的に、彼女の手首を掴んでいた。

肌から伝わる体温は、記憶にある通り柔らかで温かい。だが、それが今の湊にはたまらなく恐ろしかった。

「ごめん、小夜子……」

掠れた声は、もはや哀願に近かった。

「俺が間違っていたんだ。取り返しのつかないことをしたと、ようやく分かった
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