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身代わり彼氏を譲ったのに、私が悪いの?
身代わり彼氏を譲ったのに、私が悪いの?
作者: ゆば好き

第1話

作者: ゆば好き
私はテレビの前まで歩き、電源コードを一気に引き抜き、彰人に向き直った。

「一緒にスーパーへ行ってほしいって言ったときは、仕事が忙しくて時間がないって言ったよね。それなのに、未緒と毎晩試合を見る時間はあるの?」

彰人は仕方なさそうに立ち上がり、私の前まで来た。

「澄乃、これは話が別だ。

前にも言っただろ。未緒は今、うちに泊まってるんだ。長くいるわけじゃないんだから、その間くらい気を配ってやらないと。冷たくするわけにはいかないだろ。

買い物なら、今回は行けなくても、これからいくらでも行けるだろ」

「そうだよ、澄乃。怒らないで」

早川未緒(はやかわ みお)は彰人の後ろに身を隠した。その目は、以前私の元彼を奪ったときと同じように、勝ち誇っている。

深く息を吸い、元彼・黒川奏太(くろかわ そうた)とどこか似た彰人の顔を見つめた。それから、ゆっくり口を開いた。

「それなら、未緒のことは好きなだけもてなしてあげればいい。私はもう付き合ってられない」

二人にはもう目を向けず、寝室へ行って荷物をまとめ始めた。

寝室まで追ってきた彰人は、私の手から服を奪ってベッドに投げ、疲れのにじむ声で言った。

「澄乃、いい加減、拗ねるのはやめてくれないか?今日は仕事で疲れてるんだ。明日の朝も会議がある。本当に喧嘩する余裕はない」

また、それだ。

私と何かする余裕はいつもないのに、未緒のことなら何でも喜んでやる。

顔を背け、服をもう一度抱えた。

「じゃあ、喧嘩はしない。私が外に泊まる」

「澄乃!」

彰人は私の肩を押さえた。「いったい何をそんなに騒いでるんだ?」

「私が騒いでる?」

顔を上げ、彰人の目をまっすぐ見た。

「未緒は彰人の元カノでしょう。その元カノを私たちの家に住まわせて、毎日べったり一緒にいる。それでも、騒いでるのは私だって言うの?」

彰人は唇を引き結んだ。

「俺と未緒のことは、もう終わってる。今はただの友達だ。少し助けてやりたいだけなんだ」

私は鼻で笑った。

「本当に優しいのね」

彰人が眉をひそめた。

「澄乃、そんな嫌味を言って何になるんだ?俺がどういう人間か、澄乃なら分かってるだろ」

彰人は昔から、困っている人を放っておけない。

友人に頼まれれば、どんなに大変なことでも引き受ける。

以前、友人が貸した金を取り戻すのを手伝い、相手に刃物で手を切りつけられて、1か月入院したことさえある。

私の親戚や友人にも、いつも親身になってくれる。けれど今回は、本当にそれだけなのだろうか。

そのとき、未緒がおそるおそるドアを開けて入ってきた。

「ごめんなさい。私のせいで、二人が喧嘩しちゃって。今夜、ここを出ていくから。これ以上、迷惑はかけない」

彰人は一瞬言葉に詰まり、すぐに未緒をなだめた。

「気にするな。こんな時間に一人で出るのは危ない。あと数日したら……」

「未緒はホテルに泊まればいい」

冷たく言葉を遮った。

「澄乃!」

彰人は責めるように私を見た。

私も一歩も引かなかった。

「未緒が出ていかないなら、私が出ていく」

彰人は険しい顔で黙り込み、しばらくして口を開いた。

「俺が未緒をホテルまで送る。澄乃は先に寝ててくれ」

玄関のドアが開く音を聞いてふと思い出し、慌てて二人を追いかけて呼び止めた。

「彰人がホテルに泊まって。未緒にはここに残ってもらう」

彰人は驚いたように振り返った。

「俺を信用できないのか?」

唇をかんだまま、何も答えなかった。

彰人を疑っているわけではないが、未緒がどんな手を使うかは嫌というほど知っている。

前も同じように油断して、足をくじいた未緒を奏太にホテルまで送ってもらった。結局、二人はその夜、関係を持った。

私が黙っていると、彰人は私が自分を信用していないのだと思ったらしい。腹を立て、「分かった、分かった」と繰り返し、そのまま出ていき、ドアを乱暴に閉めた。

部屋の中は、しんと静まり返った。

未緒が笑みを浮かべた。

「へえ。さすがに同じ失敗はしないのね」

未緒をちらりと見て、ソファの隙間に隠していたタバコを取り出した。箱を軽くたたき、一本取り出して火をつけた。

未緒もついてきて、私の隣に腰を下ろした。タバコの箱を手に取って眺め、自分も一本に火をつけると、意味ありげに言った。

「何年経っても、まだこれが好きなのね」

「未緒だって、同じでしょ」

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