LOGINニッサの視点:デイミアンがコーヒーポットに手を伸ばし、まず私のカップにコーヒーを注いでから、自分のカップを満たすのを見て、私は笑みを浮かべ続けていた。彼はすぐに私の視線に気づいた。「どうした?」眉を寄せ、柔らかな声で尋ねる。「私のコーヒーを先に注いでくれたから」彼は片方の黒い眉を持ち上げ、本当に不思議そうな顔をした。「何か間違えたか? 先に注ぐべきではなかった?」「違うわ」私はすぐに答えた。胸の奥に温かなものが広がっていく。「ただ、気づいただけよ」彼の唇にかすかな笑みが浮かび、椅子の背もたれに少し身体を預けた。「君は何でもよく気づくな」まあ、何でもというわけではない。けれど、毒を盛られて命を落として以来、私は食事のたびに以前よりずっと注意深くなっていた。だからこそ、数秒後にデイミアンが私の皿からイチゴを一つ取った瞬間、すぐに気づいたのだ。私は目を細め、彼を見上げた。「デイミアン」鋭い目つきで囁く。彼は何の罪もないといった顔でこちらを向いた。「何だ?」「そのイチゴは私のものよ」「違うな」彼は落ち着いた声で訂正した。「これは僕たちの食べ物だ」私は信じられないという目で彼を見つめた。彼は口元を吊り上げ、ゆっくりとイチゴを唇へ運ぶと、わざと時間をかけて一口かじった。その図々しさがあまりにも見事で、私は思わず吹き出した。もう、本当に。どうしてこんな人生になったのだろう?裏切りと苦痛の中で命を落とした私が、どうして今、こんなに美しい屋敷で、街で最も力のあるアルファと一緒に、盗まれた果物を巡って笑い合っているのだろう?けれど、今の私にとって大切なのは、彼を含めたこのすべてが、正しいと感じられることだった。私の笑顔を見つめるデイミアンの眼差しが、柔らかくなる。「君がそんなふうに笑ってくれるのが好きだ」彼の銀色の瞳が長い間私の瞳を捉え、胸がきゅっと締めつけられた。何気ない口調で告げられた言葉だったかもしれない。それなのに、その言葉は私にとって何よりも大切なものに思えた。二人とも笑顔のまま、ようやく食事を始めた。それから間もなく、私たちの会話は何気ない雑談へと移っていった。最初にデイミアンが話してくれたのは、昨日、訓練場でブレイドが若い狼の一人をひどく怖がらせたという話だった。どうやら、その狼はあまりの恐
ニッサの視点:すべてが終わったあと、私は顔の赤みを抑えることができなかった。身体中がまだ熱を帯びていて、服を元に戻そうと手を動かすだけで、なんだか浮かれてしまう。頬は赤く染まり、身体は羽のように軽く感じられた。何度もキスを交わしたせいで、唇も少し腫れている。目にはまだ涙の跡が残っていたけれど、頭の中はこれまでになく澄み渡り、心も驚くほど軽かった。この新しい二度目の人生で目覚めて以来、初めて私は一人ではなかった。ようやく、すべてを知ってくれる人ができたのだ。真実を話したとき、デイミアンがどんな反応をするのか、少し怖かった。けれど今、彼はすべてを知ったうえで、それでも私のそばにいてくれている。ただそばにいてくれるだけではない。彼は以前よりも強く私を抱きしめてくれていた。その瞳を見れば、彼がどれほど深く私を愛しているのかが分かる。本当に愛されているのだと実感した瞬間、胸が幸せな痛みでいっぱいになった。「また笑ってる」彼がそっと囁いた。私は瞬きをして顔を上げた。デイミアンが、明らかに面白がっている様子で私を見つめていた。「笑ってなんかないわ」そう言い返そうとした。「絶対に笑ってる」彼の笑みはさらに大きくなった。私はすぐに表情を取り繕おうとしたけれど、彼の得意げな笑顔を見たせいで、ますます顔が赤くなってしまった。「ああ、もう!」私はわざとらしく息を呑んだ。「本当にどうしようもない人ね」「それなのに」彼は小さく呟きながら、私に一歩近づいた。「君は僕に夢中だ」私は瞬きをした。「何ですって?」彼は少し身をかがめ、額が私の額に触れるほど近づいた。「聞こえただろう?」もちろん聞こえていた。顔が再び熱くなる。私の反応を見た瞬間、デイミアンはくすりと笑った。そして、あの得意げな笑みを浮かべたまま身をかがめ、もう一度私の唇にキスをした。今度のキスは、ゆっくりとしていて、ずっと優しかった。短くて甘いキスだった。まるで、ただその感触を味わっていたいだけのように。彼がようやく唇を離したとき、その眼差しはすっかり柔らかくなっていた。「大丈夫か?」心配そうな声で尋ねられる。何気ない質問だったかもしれない。けれど、その声に滲む気遣いだけで、私の心は溶けてしまいそうだった。私は笑顔を向けて頷いた。「ええ」そして、久しぶりにその言葉を
デイミアンの視点:ニッサが僕の口の中で甘い息を漏らし、僕は彼女の唇を強く吸い込んだ。いつの間にか、森は再び静寂に包まれていた。彼女の中で我を忘れながらも、ニッサが打ち明けてくれた告白が、頭の中で何度もこだましていた。毒を盛られたこと、裏切られたこと、そして死を迎え、やがて生まれ変わったこと。けれど、そんな考えも一瞬で消え去った。彼女がほんの少しだけ顔を離し、温かく優しい瞳で僕を見上げた瞬間、僕の心はとろけてしまったからだ。もう何も考えたくなかった。過去も、現在も、未来も、今の僕たちには何の意味もない。大切なのは、彼女と僕たち二人だけだった。笑みを浮かべ、僕は身をかがめて再び彼女の唇を奪った。けれど、今度のキスはさっきまでとは違った。彼女に口づけるとき、僕は持てるすべてを注ぎ込んだ。初めて彼女をこの森に連れてきた瞬間から募り続けていた欲望を、一切隠すことなく解き放った。舌先で彼女の下唇をなぞると、ニッサは僕を受け入れた。そして、互いの舌が絡み合った瞬間、彼女がかすれた甘い声を漏らした。その声は、僕の下半身を一気に熱くさせた。彼女の声を聞いた瞬間、僕は息を呑み、両手を彼女の髪に差し入れた。頭をそっと後ろに傾けさせながら、さらに深く口づける。いつもそうであるように、彼女の味は朝露のように爽やかで、その奥にはもっと甘い、彼女だけの特別な味があった。いくら味わっても足りなかった。彼女の指が僕の肩を強くつかみ、爪がシャツの生地に深く食い込む。身体を走ったわずかな痛みさえ、僕の欲望をさらに燃え上がらせた。僕は彼女の唇からほんの少しだけ離れ、荒い息を吐きながら唸った。「ニッサ、君が欲しい」「ここで、今すぐに」彼女の呼吸が止まりかけた。欲望と愛情を宿した瞳で僕を見上げる。「だったら、私を抱いて」それだけで十分だった。笑みを浮かべた僕は、軽々と彼女を抱き上げ、胸元に優しく抱き寄せた。唇を重ねたまま身体の向きを変え、すぐそばにあった木の幹に彼女の背中を押し当てる。ざらついた樹皮が彼女の背中を擦ったが、彼女はひるまなかった。僕も気にしなかった。そんな些細なことなど気にならないほど、僕たちは互いに夢中だった。彼女の脚が本能的に僕の腰に絡みつき、僕を自分の身体へと引き寄せる。僕は腰を動かし、彼女に自分がどれほど彼女に夢中なのかを感じさせた。厚
デイミアンの視点:私たちを取り囲む空き地を、風が優しく吹き抜けていた。本来なら穏やかなひとときになるはずだった。だが、彼女の話はあまりにも突拍子もなく、衝撃的で、私の心はもはや穏やかではいられなかった。私は目を見開き、呆然と彼女を見つめた。心から愛する女性が、まるで空想の物語のような話を語り始めたのだ。だが、私の衝撃が落ち着くまで、それほど時間はかからなかった。なぜなら、その代わりに怒りが私の内側で膨れ上がり始めていたからだ。誰かがニッサに毒を盛り、彼女が死の感覚を今でも鮮明に覚えているほどひどく傷つけた。そのことを考えただけで、私の狼は怒りに駆られた。彼女の話を聞けば聞くほど、自分が間違っていたのだと気づかされた。私はエイドリアンに対して、すぐに戦争を仕掛けるべきだった。ここ数週間で起きたことを一つでも知っていたなら、今頃あいつは生きていなかっただろう。だが今は、評議会からの召喚状のせいで、身動きが取れなくなっていた。ニッサが深く息を吸って気持ちを落ち着かせてから、話を続けるのを見て、私の眼差しは和らいだ。「エイドリアンと番になってから、ライラの裏切りは少しずつ始まったの」彼女が前世について話し続ける間、私の顎には力が入っていた。ニッサは落ち着いた声を保っていたが、口から出る一言一言の奥に隠された痛みを、私は感じ取ることができた。「私は彼女を信じすぎていて、周りの人たちをどんどん遠ざけるようになったの」彼女は首を振った。「ライラは、みんなが私の敵だと思い込ませたのよ」私は一歩近づき、彼女を腕の中に抱き寄せた。「それに、私の知らないところで、ライラがエイドリアンに私の精神状態は不安定だと言っている、という噂まで耳にしていたの。死ぬそのときまで、ただの噂だと思っていたわ。今なら、自分が本当に何も見えていなかったんだって分かる」彼女は言葉を切り、苦々しく笑った。「それで、毒のことだが?」私は静かに尋ねた。「どうやって起きたんだ?」ニッサは一瞬視線を落としてから、話を続けた。「いつもどおりの食事だと思っていたときに起きたの。食べ終わって初めて、身体に力が入らなくなってきたわ」彼女は眉をひそめた。「最初は、自分が毒を盛られたなんて気づかなかった。たぶん熱でも出たんだろうって思っていたの。でも、立ち上がろうとしたとき、何
ニッサの視点:風が木々の間を優しく吹き抜けていた。私は黙ったままだった。何を言えばいいのか分からなかったからではない。この瞬間が、彼にとってどれほど大切なものなのかを感じ取っていたからだ。デイミアンは、自分の心をさらけ出すことに慣れている男ではない。ほとんどの人にとって、彼はただのアルファだった。ヴィスカウント・パックを率いる冷酷なリーダーであり、この世に生きる最強の狼の一人。けれど、この開けた場所に立つ彼を見ていると、本当のデイミアンが見えてくる。仮面も、心の壁も、肩書きもない彼の姿が。デイミアンは息を吐いてから、話を続けた。「初めて変身したのは十三歳のときだった」私は驚き、瞬きをした。「待って。そんなに若かったの?」ほとんどの狼が初めて変身するのは十六歳だった。十五歳で変身する者もいたが、あれほど幼い年齢で変身した狼の話は聞いたことがなかった。彼の唇に小さな笑みが浮かんだ。「ああ。俺はほかの者より早かった。父はそれを祝福だと思っていた」その笑みが少し薄れる。「だが、母は呪いだと思っていた」私はそっと眉をひそめた。デイミアンは私を見たあと、再び視線をそらした。「今でもあの夜のことは覚えている。人生で最も強い痛みを感じた夜だった。正直、あれはひどい痛みだった」彼の声は落ち着いていたが、それでも私は胸が締めつけられるのを感じた。「初めて骨が折れる感覚を味わったとき、俺は自分が死ぬんだと思った」彼は低く笑い、首を振った。「いや、実際に死ぬと確信していた」私は微笑んだ。聞きたいことは山ほどあった。けれど、何も尋ねずにいた。今、彼に必要なのは沈黙だと分かっていたから。「叫んでいたことも覚えている」デイミアンは続けた。彼の目が再び私へと向けられ、私の表情を確かめるように見つめる。「父は、まさにこの場所で俺を押さえつけていた」彼は一度言葉を切り、開けた場所の中央を指さした。「そして、力を手に入れるには痛みが必要だと言った。アルファとして群れを率いたいのなら、苦痛に耐え、生き延びなければならないと教えられた」私は唾を飲み込んだ。デイミアンが両親について話すのを聞いたことは一度もなかった。そもそも、私は彼の両親について考えたことさえなかった。私が知っていたのは、数十年前、暗殺未遂事件によって二人が命を落としたということ
目を覚ますと、身体が温かかった。それは単に身体的な温もりだけではなく、心まで満たされるような温かさだった。心の奥深くに染み込み、決して消えることのない、そんな温もり。目覚めてからの静かな数秒間、私はただその場に留まり、デイミアンの腕に包まれたまま天井を見つめていた。彼の腕に抱きしめられているというだけで、今でもお腹の奥がくすぐったくなる。私は微笑んだ。その瞬間、隣で彼が動く気配を感じた。背後からデイミアンの力強い腕が私の腰に回り、聞き慣れた低い声が首筋にそっと響いた。「おはよう、愛しい人」彼のほうを向くと、私の笑みはさらに深まった。「おはよう、デイミアン」私は小さな声で囁いた。「どうして私が目を覚ましたって分かったの?」私と同じように微笑みながら、デイミアンは身を乗り出して私の唇にキスをし、それから腕にさらに力を込めて抱き寄せた。「目を開ける前から、君は笑っていたよ」私は小さく笑った。「もしかしたら、理由があったのかも」「ふむ」彼の声には、得意げな響きが混じった。「笑う理由があったって? それは俺だったのかな?」私は彼の腕の中で身体を完全に向き直し、銀色の瞳をじっと見つめられる位置まで近づいた。彼は穏やかで幸せそうだった。その満ち足りた表情を見ているだけで、私の心はさらに溶けていく。前世では、私はデイミアンとほとんど関わることがなかった。彼について耳にする話といえば、いつも戦争と裏切りによって研ぎ澄まされた怪物のような男だというものばかりだった。けれど今、私と一緒にいるときの彼は、いつだって穏やかに見えた。「また見つめているね」彼が囁いた。私は瞬きをしてから、くすっと笑った。「自分の番を見つめるのは罪なの?」わざと眉をひそめながら尋ねる。彼は眉を上げ、口元にいたずらっぽい笑みを浮かべた。「ほう?」「私は……」それ以上何かを言う前に、彼が笑い始めた。私はすぐに口にしたことを後悔した。彼の顔に広がった笑みが、あまりにも危険だったからだ。「何を考えているんだ?」彼が尋ねた。「何でもない」私は首を振った。しかし、ほかに何かを言う前に、彼は私の上へと身体を転がし、優しく私を囲い込んだ。「デイミアン……」私は息を呑んだ。「何?」「重いわ」「失礼だな」彼は笑いながら答えた。「本当のことなら失礼じゃ







