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第638話

Author: タロイモ団子
「いい加減になさい!」

喜久子はバッグを振り上げ、そのまま理玖へ投げつけた。

「よくもまあ、あなたみたいな冷酷で薄情な人間が私の腹から生まれてきたものね!」

理玖は飛んできたバッグをそのまま受け止めると、落ち着き払った声で言った。

「喜久子さん、あまり怒らないほうがいい。怒りすぎると、そのままあの世行きの確率が跳ね上がるぞ」

「この罰当たりが!あなたがいつまであの女を庇い続けられるか、この目で見届けてあげるわ!」

喜久子はバッグをひったくるように取り返し、失望に満ちた眼差しを残して去っていった。

応接室から出てきた紬は、理玖の瞳に一瞬だけよぎった寂しげな色を見逃さなかった。

胸の奥に、かすかな自責の念が芽生える。

先ほど喜久子へ向けた言葉は、少し言い過ぎだったのではないだろうか。

どれほど横暴な人であっても、彼女は理玖を産んだ母親なのだから。

「ごめんなさい。私、少し感情的になりすぎたわ」

紬は歩み寄り、素直に頭を下げた。

理玖は我に返ったように瞬きをし、申し訳なさそうな彼女の顔を見ると、ふっと笑い声を漏らした。

「何に対して謝ってるんだ?」

そして肩をす
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