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第3話

مؤلف: 赤い小葉
そう、私はかつて、それほど彼を愛していた。

全てを許し、一度また一度と彼の行き過ぎを容認できるほどに。

しかし、彼は私に何をくれた?幾度も延期された挙式、偽りの婚姻届受理証明書、多くの人々からの罵倒と、果てしないネット上の暴力。

私は無意識に雄一を押しのけようとしたが、彼がぐいと抱きしめて離さない。

「梨帆、俺が悪かった。許してくれないか?」

そう言いながら、そっと私の額に口づけした。

柔らかく、そして少し湿ったそのキスは、かすかなおずおずしさを伴っている。

かつては、彼がこんな風に甘えれば、私はどんなことでも許すことを選んだ。

でも今回は、もう苦しみを飲み込むことも、許すこともしたくない。

――背後から鋭い女の声が響いた。

「お兄ちゃん――!!何してるの!まだこの女に未練があるんでしょっ!私が本当に死ななきゃ、この女から離れないってことか!?」

雄一はぱっと私を押しのけた。不意を突かれた私は、仰向けに床に転がった。

お腹を押さえ思わず痛みに声を漏らしたが、雄一は一瞥もくれない。

駆け出していく砂絵子を追いかけていた。

その背中は、あれほど焦り、必死だった。

さっきの確かな誓いなど、まるで嘘のようだ。

砂絵子は、もう雄一の血肉の一部と化しているようだ。だから、彼は私と赤ちゃんのことなど、少しも気にかけていない。

砂絵子は、いつだって彼の第一選択なのだ。

この瞬間、私はすべてを悟った――

雄一とは、ここで完全に終わったのだと。

……

私は病院で午後いっぱい点滴を受けた。

退院する時、雄一が包帯を巻いた手の砂絵子を大事そうに抱いているところに出くわした。

私が通り過ぎるのを見て、雄一はさっと身をかわした。

砂絵子の視線を遮るように。

――砂絵子は、そう簡単にはごまかされない。

彼女は一瞬で私に気付き、目は得意げに輝き、口元をゆるめた。

私の前で……わざと雄一に深くキスした。

私は視線をそらさずに通り過ぎようとしたが、彼女が手を伸ばして私を引き止めた。

砂絵子は雄一の手を取り、二人の同じデザインの指輪を誇示して見せた。

「丹山さん、私とお兄ちゃん、明日挙式なの。ぜひ来てくださいね!」

私は静かに雄一を見た。

彼は少し慌てふためいた様子で。

「砂絵子、梨帆には言わないって約束しただろう?」

砂絵子は唇をとがらせ、目に涙をためて訴えた。

「だって……私だって言いたくなかったんだよ。丹山さんが何度もお腹をさすりながら私を挑発してくるから、言わざるを得なかったの!お兄ちゃん、それでも私が悪いの?

それに、私が言わなくたって、丹山さんにはわかってたはずだよ。だって、もうあなたたちの友人には全部伝えてあるんだから」

私は珍しく問い詰めることもせず、雄一をもう一目も見なかった。

……

病院の下でタクシーを待っていると、雄一が追いかけてきた。

私の手をぎゅっと握り、息を切らして言った。

「梨帆、話を聞いてくれ……俺と砂絵子の式は、ただの形だけなんだ……彼女の願いを叶えてやるだけ。お前が一番愛している人なのは変わらない」

静かに彼を見つめた。

一途に見えるその魅力的な目がまっすぐ私を見つめ、その中には私しかいないようだ。

――しかし、私が知っている。

これらすべてが偽物だということを。

彼は、婚姻届、挙式、そして伴侶としての時間――これらの大切な儀式と証明を、口では愛さないと言う砂絵子に与えた。

苦しみと罵声、そして嘘を、愛していると言う私に与えたのだ。

そのよく知り尽くした顔つきを見て、不思議に思った。

以前なら、彼がどんなに信じがたいことを言っても、私は信じたものだった。

けれど今、彼の口から出る約束は、もう信じられない。

信じる勇気も、信じたい気持ちも、失っていた。

私は適当にうなずいた。

雄一はまだ何か言おうとしたが、後から出てきた砂絵子に呼び止められた。

私はほっとしたように、背後で雄一が呼ぶ声にも構わず、まっすぐタクシーに乗り込んだ。

家に着き、私は眠りについた。

ここ数日、ろくに眠れていなかった。

心が死んだこの日、なぜか格別にぐっすりと眠った。

もうかつての悪夢も出てこない。

赤ちゃんが手を振る姿も、もう見えない。

おそらく、あの子も知っているのだ――

父親に愛されていないこと、そして母親である私さえも、あの子を諦めようとしていることを。

あの子は二度と私の夢には現れなかった……

結婚行進曲の音――その響きで、目を覚ました。

夢かと思った。

ぼんやりとドアを開けると、そこには私が幾度も試着したあのウェディングドレスを着た砂絵子が、タキシード姿の雄一の腕を組んで立っている。
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