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第8話

Auteur: 深夜二時ノック禁止
私たちはたくさん話した。デザインの理念から将来の展望まで。

驚くほど多くの点で、私と政裕の考えは一致していた。

それは、賢仁と過ごした二十年のどの瞬間にもなかった感覚だった。

賢仁と一緒にいたあの年月、私は常に「与える側」であり、「見上げる側」だった。

賢仁は自分の学問や理想を語り、私は炊事や家事、人付き合いに追われるだけの日々。私たちの間には、どうしても越えられない深い溝があった。

けれど政裕とは違う。

私たちは対等で、お互いを尊重し、理解し合える。

その日の食事は、ただ心地よく、笑いに満ちていた。

店を出て、並んで川沿いを歩いた。

夜風が頬を撫で、空気は柔らかく、穏やかだった。

ふいに、政裕が足を止め、私を見つめた。

「依子、試験の結果が出たら、どうするつもり?」

「受かったら大学院に行くし、落ちたら仕事に専念するわ」

「……もう一つの可能性を、考えたことは?」

「もう一つ?」

政裕は私の目をまっすぐに見つめ、はっきりと言った。

「例えば……俺の彼女になる、という可能性」

その瞬間、全身が固まった。

頭が真っ白になり、何も言葉が出てこない。

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  • 運命は、もう渡さない   第10話

    その後の二日間、ネット上の炎上はさらに激しさを増した。賢仁の同僚だという人物まで現れ、「周藤先生は誠実で真面目な教師だったのに、白井さんと結婚したせいで林依子さんに目をつけられ、今では学校で孤立されている」と告発する始末だった。瞬く間に、私はネット上の批判の的となってしまった。私は仕事場に籠り、外へ出ることも、スマートフォンを見ることもできなかった。そして三日目の朝。状況は、まるで天がひっくり返ったように一変した。著名な法律系ブロガーが、一篇の長文ブログを投稿したのだ。ブログでは、これまでネット上で流布していた投稿の数々を精査し、その矛盾点と法的問題を、理路整然と指摘していた。直後、政裕の会社の法務部門が、強い口調で書かれた弁護士名義の警告文を公表。名指しで柔と賢仁、そしてデマを最も拡散した数件のアカウントを訴えると発表した。【虚偽情報の即時削除、公開謝罪、そして精神的損害賠償を求める】と。そして――決定的な一撃が放たれた。ネット上に、ある音声データが流出したのだ。そこには、柔と見知らぬ男の会話がはっきりと録音されていた。男の声「写真も文章も、言われた通り投稿しましたよ。反応は上々です。残りの金はいつ支払ってもらえます?」柔「林依子ってあの女が完全に地に落ちたら、ちゃんと払うわ。一生、顔を上げられないようにしてやる!」その直後、賢仁の声が入った。「柔、こんなこと……やりすぎじゃないか?」柔は冷たく笑った。「やりすぎ?あの女のせいで、あなたがどれだけ恥をかいたと思ってるの?賢仁、いい?あの女と私、どっちか一人しかいらないのよ!」その録音は、まるで爆弾のようにネット上に投下され、一瞬で大炎上した。世論は一気に逆転。昨日まで私を罵っていた人々が、今度は私を同情する側に回った。一方で、柔と賢仁、非難の矢面に立たされることとなった。【うわ、白井柔って女、悪意の塊じゃん!自分が不倫しておいて被害者ぶるとか最悪】【周藤賢仁も同罪だろ。止めるどころか放置とか、何考えてんの?】【悪役の二人、まさにお似合い。林さんが可哀想すぎる……】ほどなくして、賢仁が勤務する学校が【教員としての倫理問題について厳正に調査を行う】との声明を発表。柔は、名誉毀損およびサイバー暴力の疑いで、警察

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