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第2話

作者: 聞くな
美玖が戻ってきてから、央人は家に帰らない日が続いた。穂香は泣いて、怒って、それでも央人には「お前が面倒を起こしているだけだ」と言われた。

また手首に刃を当てたあの日、央人は慌てて家に戻ってきた。

彼は穂香を抱きしめ、優しい声で言った。「美玖は戻ってきたばかりで、俺たちの婚約を知らないだけだ。少ししたらちゃんと話す」

穂香はその言葉を信じた。しかし待っていたのは央人のプロポーズではなく、美玖から送られてきたベッドショットだった。

央人と共に過ごした七年間、彼らは別々の部屋で寝てきた。

それでも穂香は写真を消して、何度も自分に言い聞かせた。央人は自分を大切にしているから手を出さないのだと。

しかし、個室の片隅で膝をつき、ソファに腰掛ける冷たい央人を見た時、彼が自分を愛していないことをようやく認めざるを得なかった。

七年は、ただの思い込みだった。

彼女はそのまま膝をついたまま、周りに囃し立てられながらキスをする二人を見ていた。

もう心が痛むような感覚さえなくなっていた。

「穂香、もう長いこと跪いてるよ。倒れちゃいそう」

隣にいた美玖が、心配そうに央人の袖を引いた。

央人は美玖の額に手を置いて軽く撫でる。「お前は優しすぎる。そういうとこ、すぐ人に利用されるんだぞ」

「じゃあ、央人が守ってくれればいいじゃない」

美玖はそう言うと、そっと央人の胸に寄りかかった。

央人はその柔らかさを感じ、ふと穂香の方へ目を向け、笑った。「美玖が跪かせるのをやめてほしいって言うなら、代わりに何させる?」

美玖は目を細め、央人の耳元でそっと囁いた。

どれほど跪いていただろうか。穂香はぼんやりと誰かに呼ばれていることに気づいた。

央人が彼女の前に立ち、酒瓶を持っている。

「美玖が頼んでくれた。これを全部飲めば、雪野家のことを相談してやる」

周囲の男たちが面白がるように集まってきた。

「雨宮央人、どういうつもり?」

穂香は眉を寄せ、酒瓶を見つめた。

そのフルネームに、央人の目が細くなる。「会社、助けてもらわなくていいのか。おじさんとおばさん、まだ病院だよ」

「おじさんとおばさん、か」

穂香はつぶやいた。両親は何年も彼を家族として扱い、心から受け入れていたのに。それでも彼は一度も「お義父さん」「お義母さん」と呼ばなかった。

そう思うと、穂香は酒瓶を奪い取り、一気に煽った。

彼女は胃に持病があり、酒はまるで飲めない。

しかも中身は強い酒だ。穂香は一口で喉が焼け、咳き込み、地面に倒れ込む。

周囲はただ笑っていた。穂香の涙が勝手に溢れた。

「央人、もうやめよう。穂香、胃が弱かったはずだよ」

美玖が甘えるように央人の腕にしがみつく。

少し心配そうにしていた央人は美玖の言葉を聞き、何かを思い出したようにすぐに冷えた。

「全部飲め。そしたら2億円やる」

穂香は震える体で起き上がり、吐き気をこらえながら酒を飲み干した。

空になった瓶を央人へと投げつけ、穂香は真っ赤な目で言い放った。「雨宮央人。覚えておきなさい」

そう言うと、胃を押さえながら、彼を押しのけて個室を飛び出した。

穂香の見苦しい姿に、央人はなぜか胸が痛んだ。追いかけようとしたその時、美玖に引き留められた。

「央人。今はそっとしてあげて。もう少し一緒にいて?」

穂香には、もう何も聞こえない。彼女はただこの地獄のような個室から早く逃げ出したい。

錦市の冬は寒く、薄い服の中を寒さが刺し、胃はねじれるように痛む。

執事の上野(うえの)が少し離れたところで待っていたが、穂香は全身から力が抜けていくようだ。

頭がぼんやりする中、穂香は地面に倒れ込み、吐いた。

真っ白な雪の上に、赤いものが広がった。彼女は血を吐いていた。
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